私たちの身の回りにある物質は、いろいろな物質が混じり合った混合物といわれるものがほとんどです。混じりがない物質を純物質といいますが、分離方法などの名前を覚える前に純物質と混合物についてどうやって区別するかまたは見分け方を知っておきましょう。
少し例をあげておきますので参考にして下さい。
純物質と混合物
純物質とは1種類の物質からなるものをいいます。
ここでいう物質とは分子や化合物のことです。
純物質の特徴
純物質の特徴をまとめておきます。
1.
ろ週(液体と固体が混じったものをろ紙などで分離)、
蒸留(加熱し沸点の低いものから順に分離)、
昇華(固体から直接気体になる性質を利用し分離)、
再結晶(解けている物質を結晶にすることで分離)、
抽出(物質の溶媒への解けやすさの違いを利用して分離)、
などの分離方法を物理的方法といいます。
これらの分離方法は後で説明しますが、
この物理的方法で2種類以上の物質に分けられない物質のことです。
2.
沸点や融点が一定していること。
例
酸素( \( \mathrm{O_2}\) )
水素( \( \mathrm{H_2}\) )
塩化ナトリウム( \( \mathrm{NaCl}\) )など
身のまわりに存在する一般的な「水」は不純物を含んだ状態でも「水」と呼ばれますが、
化学において「水」といえば沸点が100℃、
凝固点が0℃の一定の数値を不純物を含まないもののことを示します。
海水などは純物質ではなく沸点は100℃とはなりません。
これは海水に含まれる塩化ナトリウムや他の物質によって水が混合物となり少し沸点が上昇するためです。
※
純な水に他の物質が溶けて水の沸点が上昇することを「沸点上昇」、
凝固点が下がることを「凝固点降下」といいます。
混合物の特徴
混合物とは2租類以上の純物質が混ざり合ったものをいいます。
1.
物理理的方法で2種類以上の純物質に分けられます。
2.
沸点や融点などは.混合している純物質の割合によって変わります。
例: 海水、塩酸、空気、牛乳、泥水 など
空気は窒素と酸素が8:2の割合で混じった混合物としてよく出てきますが、
実際には二酸化炭素や他にもいろいろな気体が混じったものです。
ただ、化学の問題の中で空気は「窒素:酸素=8:2」として出題されることが多いので問題に応じて考えてください。
また塩酸は純物質と勘違いされることも多いですが、
塩化水素の水溶液を塩酸といいますので「塩酸」は混合物です。
純物質と混合物の区別
蒸留を繰り返したり,再結晶を繰り返したものに対して,沸点・融点が一定であるかどうかを調べ、
沸点・融点か一定になれば,不純物を含まない純物質になったと判断できます。
混合物の場合は不純物の割合によって沸点や融点は変わってきます。
だから沸点や融点が一定になっていない場合は純物質では無いと判断できるわけです。
ここまでをまとめます。
物質は「純物質」と「混合物」に分けられます。
純物質は1種類の物質からなり、融点や沸点が一定である。
混合物は2種類以上の純物質からなり、融点や沸点が混合の割合によって変わる。
ということですね。
補足:
物理的分離方法は、沸点、融点、密度、などを利用し混合物を分ける方法のことです。
詳しくは「分離方法」でまとめてありますので参考にして下さい。
混合物の例で出した塩酸は、
塩化水素( \( \mathrm{HCl}\) 気体)を水に溶かしたもので、
塩化水素と水の混合物になります。
空気は、主に窒素と酸素で他にも二酸化炭素などが混じった混合物です。
石油は、灯油、ガソリン、軽油などが混じった混合物です。
このように身の回りに存在する物質はほとんどが混合物として存在していますが、
マレに、氷山の氷や、地中に金や白金が純な状態で見つかることもあります。
少し掘り下げた混合物の分類
カコウ岩などのように岩石を構成する鉱物の含まれる割合が部分的に違うので、
このような混合物を不均一混合物といいます。
それに対し、海水などはどこをとっても差はあまりありません。
このような混合物を均一混合物といいます。
どちらも混合物です。
純物質はいいですね、
水も水道水は混合物ですが、純水としての水( \(\mathrm{H_2O}\) )は純物質です。
純物質の水は0℃で凍り、100℃で沸騰します。
これが一定になっていれば純水だと判断出来るということですね。
純物質と混合物との違い分かりましたか?
後々出てくる化学物質は純物質が多いですが、
身の回りにある物質は混合物が多い、
と感覚的に覚えておいてまた復習してみてください。
きっと区別できるようになりますよ。
物質の分離方法
分離方法の名前はよく問われるので忘れないように復習しておいてください。