弱酸と弱塩基の電離度とpHの求め方(オストワルトの希釈律)

弱酸と弱塩基の全濃度と電離定数より電離度またはpHを求める問題の解説です。
オストワルドの希釈律の関係式を公式として利用する方法が一般的ですが、なかなか覚えきれるものでもありません。
全濃度と水素イオン濃度と電離度との関係をここで改めて見なおしておきましょう。
捨てていた問題が拾えるようになるかもしれませんよ。

今回の内容は少し難しいと思える内容です。
計算も算数程度では済まない計算があります。
申し訳ないですが平方根の求め方などは中学の数学の教科書で確認しておいてください。

オストワルトの希釈律を利用する方法

単なる平衡定数からの式変形なので、詳しく説明して時間をつぶす気はありません。
酢酸を例に関係式を出しておきます。

酢酸の電離は
 \mathrm{CH_3COOH \rightleftharpoons CH_3COO^-+H^+}
という平衡になります。

酢酸の全濃度を C
電離度を \mathrm{\alpha}
電離定数を K_a
とすると

\mathrm{CH_3COOH} \mathrm{CH_3COO^-} \mathrm{H^+}
C(1-\mathrm{\alpha}) C\,\mathrm{\alpha} C\,\mathrm{\alpha}

なので
 K_a=\mathrm{\dfrac{[CH_3COO^-][H^+]}{[CH_3COOH]}}=\dfrac{C\mathrm{\alpha}\times C\mathrm{\alpha}}{C(1-\mathrm{\alpha})}=\dfrac{C\mathrm{\alpha^2}}{1-\mathrm{\alpha}}
酢酸は弱酸なので \mathrm{1-\alpha}\fallingdotseq 1 とみなせるので
  C\mathrm{\alpha^2}\fallingdotseq K_a
つまり
  \mathrm{\alpha}\fallingdotseq \sqrt{\dfrac{K_a}{C}}

これがオストワルトの希釈律で水素イオン濃度は
 \mathrm{[H^+]}=C\mathrm{\alpha}=C\sqrt{\dfrac{K_a}{C}}=\sqrt{K_aC}
となることからpHを求めることができます。

これは覚えておくか、その場で導くことができるか、
難しい問題の部類に入るこの手の問題の答を導くためにはどちらかはできた方がいいです。

電離度を後回しにする方法もあります。

水素イオン濃度を直接求める方法

ちょっと順序が違ってきますが、
水素イオン濃度を x とおくことで解くこともできます。

 \mathrm{CH_3COOH \rightleftharpoons CH_3COO^-+H^+}

濃度 C (mol/L) の溶液1Lの溶液中で、
電離する \mathrm{CH_3COOH} の物質量を x とすると、

\mathrm{CH_3COOH } \mathrm{CH_3COO^-} \mathrm{H^+}
(C-x) x x

 x が水素イオン濃度そのものになります。 

このとき平衡定数 K_a
 K_a=\mathrm{\dfrac{[CH_3COO^-][H~+]}{[CH_3COOH]}}=\dfrac{x^2}{C-x}
弱酸から出てくる水素イオンは少いので
 C-x \fallingdotseq C とみなして
 K_a=\dfrac{x^2}{C}\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}x^2=K_aC
x\textgreater 0 なので
 x=\mathrm{[H^+]}=\sqrt{K_aC}
となりこれからpHを求めることができます。

また、電離度 \mathrm{\alpha} はもとの全濃度から電離する割合だから
 \mathrm{\alpha}=\dfrac{x}{C}
から求めることができます。

実際に比べてみましょう。

2つを比べる例題

例題1
0.2 mol/Lの酢酸水溶液中の水素イオン濃度と電離度を求めよ。
 K_a=1.8\times 10^{-5} (mol/L) とする。

酢酸の電離は
 \mathrm{CH_3COOH \rightleftharpoons CH_3COO^-+H^+}

電離度を \mathrm{\alpha} とすると平衡状態で

\mathrm{CH_3COOH } \mathrm{CH_3COO^-} \mathrm{H^+}
\mathrm{0.2(1-\alpha)} \mathrm{0.2\alpha} \mathrm{0.2\alpha}

電離定数から
 K_a=\mathrm{\dfrac{[CH_3COO^-][H^+]}{[CH_3COOH]}}\\ \\  =\mathrm{\dfrac{0.2\alpha\times 0.2\alpha}{0.2(1-\alpha)}}\\ \\  =\mathrm{\dfrac{0.2\alpha^2}{1-\alpha}}

ここで \mathrm{1-\alpha \fallingdotseq 1} なので(みなせるので)
 K_a=\mathrm{0.2\alpha^2}=1.8\times 10^{-5}\\ \\  \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \mathrm{\alpha^2}=9.0\times 10^{-5}

電離度は
 \mathrm{\alpha}=\sqrt{9.0\times 10^{-5}}\fallingdotseq 9.5\times 10^{-3}

水素イオン濃度は
 \mathrm{[H^+]=0.2\alpha}=1.9\times 10^{-3} (mol/L)

次は全濃度は 0.2 (mol/L) で水素イオン濃度を直接
 \mathrm{[H^+]}=x
とおいて計算してみます。

平衡状態で

\mathrm{CH_3COOH} \mathrm{CH_3COO^-} \mathrm{H^+}
0.2(1-x) x x

平衡定数は変わらないので、
 K_a=\mathrm{\dfrac{[CH_3COO^-][H^+]}{[CH_3COOH]}}\\ \\  =\dfrac{x \times x}{0.2-x}=\dfrac{x^2}{0.2-x}

ここでもやはり 0.2-x\fallingdotseq 0.2 とみなせるので
 K_a=\dfrac{x^2}{0.2}=1.8\times 10^{-5}\\ \\  \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x^2=3.6\times 10^{-6}

よって水素イオン濃度が
 \mathrm{[H^+]}=x\fallingdotseq 1.9\times 10^{-3} (mol/L)
と先に求まります。

電離度は全濃度と水素イオン濃度の割合なので
 \mathrm{\alpha}=\dfrac{1.9\times 10^{-3}}{0.2}=9.5\times 10^{-3}

ここまでだと差はないように見えますよね。
では次はどうでしょう。

例題2

電離定数を 1.8\times 10^{-5} (mol/L) とするとき、
0.4 mol/L の酢酸水溶液の pH を求めよ。
 \log_{10}2.7=0.43 とする。

電離度を求める必要がないので水素イオン濃度を直接文字でおきます。
 \mathrm{[H^+]}=x (mol/L)

\mathrm{CH_3COOH} \mathrm{CH_3COO^-} \mathrm{H^+}
0.4-x x x

弱酸なので 0.4-x\fallingdotseq 0.4 とみなすと電離定数は
 \dfrac{x^2}{0.4}=1.8\times 10^{-5}\\ \\  \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x^2=7.2\times10^{-6}

これから
 x=\mathrm{[H^+]}\fallingdotseq 2.7\times 10^{-3}

よって求めるpHは
 \mathrm{pH}=-\log_{10}(2.7\times 10^{-3})\\ \\  =-(\log_{10}2.7+\log_{10}10^{-3})\\ \\  =-\log_{10}2.7+3\\ \\  =-0.43+3=2.57

電離度は求めなくて良いですが、公式を覚えている場合、
 \mathrm{[H^+]}=\sqrt{K_aC}
なので
 \mathrm{[H^+]}=\sqrt{0.4\times 1.8\times 10^{-5}}\fallingdotseq 2.7\times 10^{-3}
から求めるのが1番早いです。

でも、この公式を覚えいるのは定期テストの前後だけじゃないでしょうか。笑

弱塩基の場合も同じようにすれば良いのでここでやめておきます。

⇒ 平衡定数の求め方と化学平衡の法則(質量作用の法則)

せめて、平衡定数や電離定数の意味は覚えておく必要がありますね。




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