私たちは日常生活で力という言葉はいろいろな使い方をしますが、
物理でいう力には定義があり、2つの条件の内どちらかを満たすものをいいます。
また、力の効果を決める3つを力の三要素といいます。
力の種類もいくつか名前がありますので力の単位とともに確認しておきましょう。
力とは
物理で力とは
・物体を変形させるはたらき
・物体の運動の状態を変えるはたらき
をするものを力といいます。
運動の状態が変わるというのは、物体の速さが変わるときや、方向が変わるときをいいます。
※
普段の日常生活では、集中力や体力などという言葉も使いますが、物理でいう力とは別物です。
力の三要素
力が物体に働くときは面ではなく点で、方向は直線で考えます。
(面で働く力もありますが表し方は点として表します。)
物体に力が加わるとき、力がはたらくともいいますが、力が働く点を作用点といいます。
力は速度や加速度と同じように大きさと方向があります。
ベクトルと同じことですが、
ベクトルの始点、つまり力のはたらく点を「作用点」
ベクトルの方向、つまり力の働く方向を「力の向き」といい直線「作用線」で表します。
(方向は矢印で表します。)
これらの3つで力の効果を表し、
・力の大きさ
・力の方向
・作用点
を、力の三要素といいます。
力の単位
力にはいろいろな種類があります。
計算式もいろいろありますが、単位は\(\color{red}{\mathrm{N}}\)(ニュートン)を用います。
力の種類と名前
それぞれの力については詳しく別のところで説明しますが、
力の名前だけでも確認しておきましょう。
重力
良く耳にする力の1つです。
地球が物体におよぼす力が「重力」です。
重力よりは「重さ」という言葉を良く使いますが同じです。
ただし、質量と重さは違います。
実は重力は場所によって変わりますので重力は同じ物体でも場所によって変わります。
しかし、質量はどこでも同じです。
重力(重さ)の単位は \(\mathrm{N}\) で、質量の単位は \(\mathrm{kg}\) です。
1gや1kgの質量を表すものはたくさんあります。
1mLの水などといっても温度で体積は変わりますので変化します。
物理の厳密であり、あいまいなところではありますが、現在の国際的に決められた1kgは「キログラム原器」が表す質量をいいます。
基準となる物体があるということです。
ちなみに \(\mathrm{\color{red}{k}g}\) の \(\color{red}{\mathrm{k}}\) は1000を意味していますので、
その1000分の1が1gです。
このときの \(\mathrm{k}\) は小文字ですので、1\(\mathrm{\color{red}{K}g}\)とはしないように気をつけておきましょう。
当サイトでも気をつけていますが、入力ミスでKgなどとあればkgだと広い心で見ておいてください。
張力
物体を糸でつるすと静止します。
動いている場合でもかまいませんが、糸がピンッと張っている場合は糸が物体を引っ張っています。
このとき糸が物体を引く力を「張力」といいます。
張力は重力に対する力で上向きになります。
垂直抗力
例えば床の上にある物体は床に対して重力をおよぼします。
おかれている物体は床の上で静止していて、重力に釣り合う力が床から物体に働いているはずです。
このときに、床の面と垂直な方向にはたらく力、
(床が物体におよぼす力)
を「垂直抗力」といいます。
摩擦力
あらい面の上を動く物体は、徐々に速さを失い、やがて止まります。
これは物体が床から動きを邪魔する力を受けるからで、
この動きを妨げる力を「摩擦力」といいます。
摩擦力の方向は、物体の動く方向と向きは逆になります。
※
面の性質を物理では、「あらい面」と「なめらかな面」という表現をします。
あらい面とは、摩擦が生じる面のことで、
なめらかな面とは、摩擦がない(摩擦が生じない)面としてあります。
摩擦が生じないということではなく、無視できる、という意味ですが、
「なめらかな面」とあれば、摩擦は考えなくて良い、ということです。
物体が接触している物体から受ける力をまとめて「抗力」といいます。
垂直抗力や摩擦力は、抗力の一種です。
弾性力
力が加わって、元に戻ろうとする力を「弾性力」といいます。
いろいろと考えられますが、知っておくのは、
ばねが伸びてもとに戻ろうとする場合だけで良いです。
ばねは伸びきってしまわない限り、
(ばねの弾性力を失わない範囲でということですが、)
ばねの伸びる長さと弾性力の大きさは比例します。
これを「フックの法則」といいますが練習問題など詳しくはまた別に説明します。
簡単に説明しておくと、
【フックの法則】
ばねの伸びを \(x\) とし、弾性力を \(F\) とすると
\(\large{\color{red}{F=kx}}\) ( \(k\) は定数)
ここで、定数 \(k\) をばね定数という。
ばね定数はそれぞれのばね特有の定数で、
単位は \(N/m\) (ニュートン毎メートル)です。
※
ばねに加える大きさが弾性力を失うくらい大きすぎると、比例関係はなくなります。
小さなコイルを思いっきり引っ張るとただの針金みたいになることをイメージするとわかりますね。
弾性力で注意することはばねのもとの長さは関係なくて、
「ばねの伸びに比例する」、ということです。
その他の力
他にも「静電気力」や「磁気力」や「圧力」や「浮力」なども力です。
全部を一度に理解することは難しいので、
先ずはこれまでにあげた力について少しずつ見ておきましょう。
力で大切になるのはつり合い、合成、分解、そして運動の法則です。
ところで、最初に戻ってもらいたいのですが、
力とは
「物体を変形させる」「物体の運動の状態を変える」
はたらきをするものです。
等速直線運動はどちらにもあてはまりません。
力が働いていないということです。
自由落下などの等加速度運動は速度が変わりますので力が働いていますよ。
力がはたらくのは1つの方向からだけではありません。
いろいろな力を求めるには合成と分解は必ず必要になります。