2019年(平成31年)度に行われたセンター試験化学の第6問と第7問の解説です。
第6問は高分子化合物の性質の問題、第7問は糖類とジペプチドの問題でどちらかの選択です。
どちらも適当なもの選べば良いだけなので覚えていないものがあっても大丈夫そうです。
共通テストではこの選択問題がなくなります。(という予定だそうです。)

正解は大学入試センターにあります。

⇒ 2019年度センター試験化学の問題

各問題付近にある(⇒ リンクはこのサイト内の解説です。)

第\(\,6\,\)問

問\(\,1\,\)
アクリル樹脂アクリロニトリルを付加重合させます。

 \(\,n\mathrm{CH_2=CH(CN)} \overset{ 付加重合 }\longrightarrow \left[\mathrm{-CH_2-\overset{\overset{\displaystyle CN}|}C-}\right]_n\,\)

ホルムアルデヒド(\(\,\mathrm{HCHO}\,\))は使いません。

尿素樹脂尿素とホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応させてプレポリマー(低分子)を作り、
その後、酸性条件にしてプレポリマーを加熱して縮合重合を進行させます。

⇒ プラスティックの種類と性質(熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂)

ビニロンは、ポリビニルアルコールは水溶性なのでアルデヒドでポリビニルアルコールをアセタール化して水に溶けない繊維、ビニロンとなります。

⇒ ポリエステル系(PET)とポリビニル系合成繊維

フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドを加熱すると生成します。

⇒ フェノール類の性質と特徴および構造式

メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合重合させると得られます。

⇒ 天然繊維と化学繊維(ナイロンなどの合成繊維)の種類と化学合成

答え \(\color{black}{\fbox{ ① }}\)

問\(\,2\,\)

この問題は構造式を書いてくれているので、
テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合重合した物質だとかは関係ありません。

高分子化合物\(\,\mathrm{A}\,\)は両端にカルボキシ基\(\,\mathrm{-COOH}\,\)を持っている物質です。

つまり\(\,1\,\)分子に\(\,2\,\)個のカルボキシ基を持っています。

 \(\,\mathrm{\color{red}{HOOC}-[\,R\,]}_n-\mathrm{\color{red}{COOH}}\,\)

この高分子化合物\(\,\mathrm{A}\,\)

 \(\,1.0\,\mathrm{g}\,\)には\(\,1.2\times 10^{19}\,\)個

のカルボキシ基があるので、
平均分子量を\(\,x\,\)とすると、

 \(\,x\,\mathrm{g}\,\)中には\(\,2\times 6.0\times 10^{23}\,\)個

のカルボキシ基があることになります。

⇒ 物質量とmol(モル)とアボガドロ定数

これは比例関係になるので

 \(\,1.0:1.2\times 10^{19}=x:2\times 6.0\times 10^{23}\,\)

この比例式を解いて

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
1.2\times 10^{19}\times x&=&2\times 6.0\times 10^{23}\\
x&=&\frac{2\times 6.0\times 10^{23}}{1.2\times 10^{19}}\\
&=&\underline{ 1.0\times 10^5 }
\end{eqnarray}\)

比例関係に慣れている人なら

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
x&=&1\times \frac{2\times 6.0\times10^{23}}{1.2\times 10^{19}}\\
&=&\underline{ 1.0\times 10^{5} }
\end{eqnarray}\)

のように求めて良いです。

どっちにしても、平均分子量で\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)と考えて単なる比例式です。

第7問

問\(\,1\,\)

二糖類について誤りを含むものを選ぶ問題です。

⇒ 二糖類(マルトース、スクロース、ラクトース)の構造と性質

単糖\(\,2\,\)分子が互いのヒドロキシ基どうしで脱水縮合してできたエーテル\(\,\mathrm{C-O-C}\,\)構造をグリコシド結合といいます。

スクロースとマルトースはどちらも分子式\(\,\mathrm{C_{12}H_{22}O_{11}}\,\)で互いに異性体になります。

スクロースを希酸や酵素(スクラーゼ,インベルターゼ)で加水分解すると、
グルコースとフルクトースが\(\,1\,\)分子ずつ生成します。

この等量混合物を転化糖といいます。

マルトースの水溶液では一部が開環してアルデヒド基を生成するので還元性を示します。

二糖類で還元性を示さないのはスクロースです。

ラクトース(乳糖)を希酸または酵素(ラクターゼ)で加水分解すると、ガラクトースとグルコースを生じます。

グルコース\(\,2\,\)分子ではありません。

答え \(\color{black}{\fbox{ ⑤ }}\)

⇒ 糖類(単糖類、二糖類、多糖類)の分類と加水分解

問\(\,2\,\)

構成元素の比率からアミノ酸の組み合わせを求めます。

\(\,3\,\)種類のアミノ酸があるのでペプチドの種類は、
同じアミノ酸どうしも考えて組み合わせは\(\,6\,\)種類あります。

ジペプチド\(\,\mathrm{A}\,\)は構成元素に硫黄\(\,\mathrm{S}\,\)を持っているので、
少なくてもアミノ酸の1つは\(\,\mathrm{S}\,\)を含んでいるシステインです。

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{red}{システイン}\,\)
 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)
 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{magenta}{チロシン}\,\)

の\(\,3\,\)組に絞られます。

システインどうしの組み合わせだと、
\(\,\mathrm{S}\,\)の比率は\(\,\mathrm{H_2O}\,\)が抜ける分、
アミノ酸のシステイン中の\(\,\mathrm{S}\,\)の比率より大きくなるはずなのでこれはありません。

また、炭素の構成比率からベンゼン環を組んでいるチロシンとの組み合わせも考えにくいので、

 \(\\color{red}{,システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)

の組だと推測できますが、分子量や組成比から確認してみましょう。

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)の場合

水\(\,1\,\)分子が脱水するのでペプチドの分子量は

 \(\,121+133-18=236\,\)

この中に硫黄\(\,\mathrm{S(=32)}\,\)は\(\,1\,\)個なので
 \(\displaystyle \frac{32}{236}\times 100≒\underline{ \color{red}{13.6} }%\)

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{magenta}{チロシン}\,\)の場合

ペプチドの分子量は

 \(\,121+181-18=284\,\)

この中に硫黄\(\,\mathrm{S(=32)}\,\)は\(\,1\,\)個なので
 \(\displaystyle \frac{32}{284}\times 100≒11.3%\)

微妙ですか?

炭素の含有率をみてみると、

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)の場合

炭素\(\,\mathrm{C(=12)}\,\)は\(\,7\,\)個あるので
 \(\displaystyle \frac{12\times 7}{236}\times 100≒\underline{ \color{red}{35.6} }%\)

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{magenta}{チロシン}\,\)の場合
 
炭素\(\,\mathrm{C(=12)}\,\)は\(\,12\,\)個あるので
 \(\displaystyle \frac{12\times 12}{284}≒50.7%\)

ジペプチド\(\,\mathrm{A}\,\)の炭素の比率は\(\,35\,\)%程度なので明らかに

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)

答え \(\color{black}{\fbox{ ② }}\)

酸素(\(\,\mathrm{O=16}\,\))の質量パーセントでも良いですよ。
ただし、水として酸素は1つ抜けているので気をつけましょう。

 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{blue}{アスパラギン酸}\,\)の場合
 \(\displaystyle \frac{16\times 5}{236}\times 100≒\underline{ \color{red}{33.9} }%\)
 \(\,\color{red}{システイン}\,\)-\(\,\color{magenta}{チロシン}\,\)の場合
 \(\displaystyle \frac{16\times 4}{284}\times 100≒22.5%\)

答え \(\color{black}{\fbox{ ② }}\) は変わりません。

センター試験\(\,2019\,\)化学の解説は終わりです。

⇒ 2019年度センター試験化学の第1問の解説(共通テスト対策)

問\(\,1\,\)は物質の性質

⇒ 2019年度センター試験化学の第2問の解説
 
問\(\,2\,\)は物質の状態変化

⇒ 2019年度センター試験化学の第3問(無機化学)の解説

問\(\,3\,\)は無機化学

⇒ 2019年度センター試験化学の第4問第5問(有機化学)の解説

問\(\,4,5\,\)は有機化学

そしてこの選択問題\(2\)問が高分子化合物と問題に偏りは例年通りありません。

対策は共通テストになっても同じなので広い範囲の基礎をきっかり身につけておきましょう。