割合と歩合と百分率の使い方と原価や定価(値段)の関係を文字式で表す方法です。
割合は小学校で習いますが忘れている人、苦手にしている人も多いです。
復習と、中学の文字式との組み合わせの確認のためここで簡単に説明しておきます。
割合と歩合と百分率の使い方
割合とは、「全体に対する比率」のことです。
普通は小数を使って表します。
「割合」を言葉で説明しようとすると理解できない人が多くいるので、先ずは使い方を覚えてください。
言葉の理解は後で納得いくまで勉強してください。
教科書に良くある問題なので先に定価をつける問題から見ていきましょう。
ものを売るとき、損はしたくないでしょう?
割合と歩合の関係
割合の
1 が 10 割です。
0.1 が 1 割(わり)
0.01 が 1 分(ぶ)
0.001 が 1 厘(りん)
野球で良く聞くと思いますが、
打率3割というと10回打席に立ち3回ヒットを打つ、という割合です。
全体が10で、ヒット回数が3回、
\(3\div 10=0.3\)
この 0.3 を割合といい、「3割」という言い方をします。
小数でいうと、打率 0.3 ですが割合を表す小数ではなく、
「3割」という言い方をするのです。
「割合」と「割」で同じ字を使うのでややこしいですね。
打率0.28 なら、2割8分
これは100回打席に立てば28回ヒットを打つ、という割合。
ちなみに打率3割というとプロ野球ではすごく良い打率になりますが、
イチロー選手は3割でも「低迷」とかって言われてましたよね。(笑)
原価と利益と定価の表し方
『原価1000円の品物に2割の利益を見込んで定価をつける。』
「原価」とは「仕入れ値」のことです。
(ここでは加工費などは考えていません。)
原価より安く売ると損をしますので利益を足して定価にします。
2割とは0.2のことです。
利益は
\(\hspace{7pt}1000\times 0.2=200 (円)\)
なので、
定価は \(\,1000+200=1200\,\)円 となります。
『定価』= (原価)+(利益)
ダイレクトな計算では、
\(\hspace{7pt} 1000\times (1+0.2)\\
=1000\times 1.2\\
=1200 (円)\)
となります。
でも、なれるまでは二段階の計算で良いと思いますよ。
無理に一発で出そうとするから分からなくなっている人が多いです。
文字式でも同様にすれば良いだけです。
文字を使った定価の付け方
具体的な数と同じように文字をおけば良いだけです。
『原価 \(\,\color{red}{x}\,\) 円の商品に\(\,3\,\)割の利益を見込んで定価をつける。』
\(\hspace{7pt}利益は x \times 0.3 =\color{blue}{0.3x} (円)\)
なので定価は、
\(\hspace{10pt} \color{red}{x}+\color{blue}{0.3x}\\
=(1+0.3)\,x\\
=1.3\,x (円)\)
となります。
次に百分率(%)の表し方です。
百分率と割合の関係
割合の
1 が 100 %
0.1 が 10 %
0.01 が 1 %
歩合と百分率だと、
10割 が 100%
1割 が 10%
1分 が 1%
百分率を文字を使って表す方法
『生徒\(\,300\,\)人の\(\,45\,\)%が図書室の本を借りた。』
\(\,45\,\)%は、\(\,0.45\,\) なので、
\(\hspace{7pt}300\times 0.45=135 (人)\)
が本を借りた。
『定価 \(\,a\,\) 円の商品をの\(\,15\,\)%引きで売った。』
\(\,15\,\)%は、\(\,0.15\,\) なので、
\(\hspace{7pt} 0.15\times a 円の値引き\)
となるので、
\(\hspace{10pt} a-0.15a=0.85a (円)\)
が売り値になります。
1段階で計算するなら、
\(\,15\,\)%引きは、\(\,0.85(=1-0.15)\,\)を定価にかければいい。
\(\hspace{7pt}売り値 a\times 0.85=0.85a (円)。\)
割合は小数でも分数でもどちらで表しても構いません。
行数の関係で小数を使いましたが、
方程式をたてるときは分数を使うと後の処理が簡単になることが多いです。
増減を百分率で表す例
\(\hspace{7pt}定価を a 円とすると\)
定価の20%増
\( a\times \displaystyle \frac{120}{100}\)
定価の15%減
\( a\times \displaystyle \frac{85}{100}\)
定価の2割増
\( a\times \displaystyle \frac{120}{100}\)
定価の1割5分減
\( a\times \displaystyle \frac{85}{100}\)
定価と割引価格の表し方
さらに一歩進めると分からなくなる人が多いですが、
文字式はかっこ( )でくくると分かり易くなります。
例えば、
「原価の3割の利益を見込んで定価をつけ、定価の2割引で売った。
利益は880円。この商品の原価はいくらか。」
求めたいものを文字で置きます。ここでは原価です。
原価を \(\,x\,\) 円とすると、
定価は\(\,3\,\)割の利益を加え \(\,\color{red}{1.3x}\,\) 円となります。
さらに、定価の\(\,2\,\)割「引」の売値は、
\(\hspace{10pt} (\color{red}{1.3x})\times (1-0.2)\\
=1.3x\times 0.8\\
=1.04x (円)\)
利益は、(売値)-(原価)なので、
\(\hspace{10pt} 1.04x-x\\
=(1.04-1)x\\
=0.04x\)
この \(\,0.04x\,\) が利益の\(\,880\,\)円です。
\( 0.04x=880\)
より
\(\hspace{7pt} x=22000 (円)\)
となり、原価は\(\,22000\,\)円と求めることができます。
わかることを1つひとつ文字で表して、
方程式を利用していますが方程式を使わなくても求まりますね。
答えが出たら実際の数値で検算してみるとミスがあるかどうかが確認出来ます。
人数のように答えが整数のはずなのに、分数や小数で出てきたらミスしているとすぐに分かるものがほとんどです。
金額や人数や個数などを求めるときは、出てきた答えが整数でなければどこかでミスしていると考えて良いでしょう。
すぐに最初から見直して下さい。
\(\,22000\,\)円の\(\,3\,\)割り増しは、
\(\hspace{7pt} 22000\times 1.3=28600(円)\)
これが定価です。
定価の\(\,2\,\)割引は、
\( 28600\times 0.8=22880(円)\)
これが売値で、利益は、
\(\hspace{7pt} 22880-22000=880(円)\)
となり問題と一致しています。
数字が大きくややこしそうに見えますが、一気にやらなければ難しくはないので見直しを徹底して下さい。
最後に、普通ではやってはならないことを伝えておきます。
やってはならない値段の付け方
例えば、1000円で仕入れた商品に2割の利益をつけて定価をつけたけど、売れないので原価だけでも取り戻そうと定価の2割引きで売ったら、
\(\hspace{7pt}仕入れ 1000 円\\
\hspace{7pt}定価 1000\times 1.2=1200 円\\
\hspace{7pt}定価の2割引 1200\times 0.8=960\)
損してますからね、売れば売るほど赤字が増えます。笑
生ものなど廃棄しなくてはならない場合は、安売りしてでも売り切った方が良いですけど。
文字式の復習もわすれずにしておいてくださいね。
⇒ 中学数学で使う文字式の一覧(奇数や偶数などの整数の表し方)
おもに整数の表し方ですが、問題になるのは奇数や偶数などの整数です。