文字式の表し方や計算規則や数量の表し方などを中学1年の文字式としてまとめます。
文字式の約束事は中学2年以降も変わりませんので、考えなくてもすぐに理解できるほど確認しておくと良いでしょう。
公式などを表すのも日本語ではなくて文字になって来ますので重要な単元です。
文字式の重要性
数学では、文字を式の中に組み込みます。
そして、この単元では文字式の計算をしますが、そこに重点を置いてはいけません。
計算は算数で十分です。
「正の数と負の数」で計算は十分にできるようになっていれば、文字を扱った計算も同じようにできるはずです。
力の入れどころ、時間のかけどころを間違わないようにしましょう。
この単元は、日本語を数学の言葉に置きかえる、という重要な作業の基礎になります。
他の単元で力を抜いても良いということではありませんが、
中学1年生の数学の中で1番重要な単元とも言えるでしょう。
この単元をしっかり理解し、文字を扱えるようになれば、文章題は苦手ではなくなります。
つまり、次の単元にある「方程式」の文章題も非常に楽になるということなのです。
方程式の部分部分は、文字式からできています。
それを=(等号)で結んだものが方程式です。
その方程式の部分部分となる文字式を作るための単元が、この「文字と式」という単元で、ここをおろそかにしている中学生は必ず、後々苦労することになります。
中学2年、3年生で数学が苦手という人はここからやり直すと良いかもしれません。
ここがつまずきの原因だと言えるのは、先ず文字を使うということになれていない。
そして、文字を使って表すということが、数学の言葉に置きかえることだと理解していない。
そのため、「数学は難しい」とこの単元で言い始めるんです。
難しいのではなく、分かっていない、知らない状態ですね。
知ってしまえばむずかしくはないのでここで数学を嫌いにならないようにしましょう。
この単元のポイントは、
文字を使って式を作ることに「なれる」
ことですが、もう一つ重要なのが、単位換算です。
つまり、単位を換えて文字で表すこと。
単位を換えると言っても、\(\,\mathrm{g}\,\)(グラム)を\(\,\mathrm{m}\,\)(メートル)に換えるとか、そんな馬鹿げたことはしません。
\(\,\mathrm{g}\,\)を\(\,\mathrm{kg}\,\)に変えるとか、\(\,\mathrm{m}\,\)を\(\,\mathrm{km}\,\)に変えるとか、またはその逆に単位をかえて表現するということです。
小学校の算数でやっているはずなんですが、できない人が実は多いのです。
面積や体積の単位もかえられるようにしっかり算数の復習と、文字とを組み合わせるということになれておくと良いでしょう。
文字式の意味がしっかり理解できていれば、「代入」は問題ではありません。
単なる計算となります。
「代入」という言葉だけを新たに知るだけです。
この単元は、難しいわけではないのです。
数学が文字を扱うものだと知れば良いだけです。
ただ、数学で文字をあつかう場合の約束(ルール)がいくつかあるので、それに注意して、数学の言葉を重点的に攻めると攻略は簡単になるでしょう。
教科書の言葉をまとめておきます。
次数、単項式、多項式、同類項という言葉は、2年の「式の計算」で取り上げます。
文字と式の表し方
1-(1)文字を使った式の表し方のきまり
① \(\color{black}{\fbox{ 積の表し方 }}\)
乗法つまりかけ算の×ははぶくことができます。
\(a\times b\times c=abc\)
文字と数の積では数を文字の前に書くのが習慣的な約束です。
\(x\times 3\times y=3xy\)
同じ文字の積は累乗の指数を使って表します。
\(x\times x\times x=x^3\)
② \(\color{black}{\fbox{ 商の表し方 }}\)
除法つまり割り算では÷を使わず分数で表すことができます。
※
÷という記号を使ってはいけないということではありませんが、分数で表すのが普通です。
\(\displaystyle x\div y=\frac{x}{y}\)
③ \(\color{black}{\fbox{ 乗除や四則の混じった式の表し方 }}\)
乗除の部分は①②と同じで、加法の+や減法の-は省略するとはできません。
\(\hspace{10pt}x\times y+a\div b b-m\times n\\
\displaystyle =xy+\frac{a}{b}-mn\)
1-(2)いろいろな数量の表し方
いろいろな数量を文字式で表す場合は1-①②③の表し方に従って表現します。
1-(3)式の値
式の中の文字を数に置き換えることを文字にその数を代入するといいます。
代入して計算した結果をそのときの式の値といいます。
※\(\color{red}{\fbox{ ポイントアドバイス }}\)
代入するとき、文字式を簡単にして最後に代入するのですが、
教科書には、「負の数はかっこをつけて代入」とあるかもしれませんが、正の数の場合もかっこをつけて代入するクセをつけておくとミスが減ります。
文字式の計算
2-(1)項と係数
式を加法だけで表したとき、式のなかのそれぞれを項といいます。
\(\hspace{10pt}2a-3b+5c\\
=(\color{red}{2a})+(\color{red}{-b})+(\color{red}{5c})\)
文字をふくむ項で、数の部分をその文字の係数といいます。
\(\color{red}{3}a\color{red}{-4}ab\color{red}{+5}a^2b^3\)
2-(2)1次式
項の中で文字が1つだけ(累乗された文字はふくまない)の項を\(\,1\,\)次の項といい、
\(\,1\,\)次の項、または定数項(数だけの項)で表すことができる式を1次式という。
\(3x\,,\,2x-4\)
※
定数だけでの式は1次式とはいいません。
2-(3)項をまとめる
式の中で同じ文字の部分が同じ項は、1つの項にまとめることができる。
\(\hspace{10pt}\color{red}{2x}\color{blue}{+3y}\color{red}{+5x}\color{blue}{-y}\\
=\color{red}{7x}\color{blue}{+2y}\)
(文字の同じ項は、同類項といい、2年で習います。)
2-(4)1次式の加法と減法
文字の部分が同じ項をまとめる。
\(\hspace{10pt}(2x+2)+(3x+6)\\
=5x+8\)
2-(5)式と数の乗法・除法
①(項が1つの式※)×(数):係数と数の積に文字をつける。
\(\color{red}{2}x\times \color{blue}{4}=\color{red}{2}\times \color{blue}{4}\times x=8x\)
②(項が2つの式※)×(数):分配法則を使って計算する。
\(\color{red}{2}(a+b)=\color{red}{2}a+\color{red}{2}b\)
また、逆も同じです。
\((a+b)\times \color{blue}{3}=\color{blue}{3}a+\color{blue}{3}b\)
※
単項式、多項式という言葉は2年生で出てくるのでここでは使っていません。
2-(6)計算
分配法則を使ってかっこをはずし、文字が同じ項(※)をまとめる。
\(\hspace{10pt}2(x+2)+3(x+2)\\
=2x+4+3x+6\\
=5x+10\)
※
同類項という言葉は2年生で出てくるのでここでは使っていません。
2-(7)文字を使った公式の表現
図形の面積や体積を求める公式を文字を使って表すことができるようになります。
例① 底辺が\(\,a\,\)高さが\(\,b\,\)の三角形の面積\(\,S\,\)は
\(\displaystyle \,S=\frac{1}{2}\,a\,b\,\)
例② 半径\(\,r\,\)の円の面積\(\,S\,\)は
\(\,S=\pi\,r^2\,\)
※
円周率は\(\,\pi\,\)という記号で表すようになります。
と、いったところですがこんな教科書のような表現では数学は好きにはなれません。
自分でやる演習の中で良いので楽しんでやれるようにまとめ直すと良いですよ。
特に、文字式の表現は壁に貼って覚えても良いくらい、の単語みたいなものです。
⇒ 中学数学で使う文字式の一覧(奇数や偶数などの整数の表し方)
文字式は、負の数へと数字の世界が広がったあと、初めての数学ですので楽しんで見てください。