文字式の展開とは(かっこ)がついた式からかっこを無くすために分配することです。
ここではかけ算と割り算の分配の方法と割り算のときのポイントを簡単な問題でお伝えします。
計算ミスを減らすためにも焦らずじっくり取り組んでください。
後に出てくる因数分解ほど練習は必要ありませんし、展開でつまずく人は少ないですが、ここがおろそかだと因数分解が遅いです。
式の展開とは?
ここでは簡単な計算問題しか採り上げていませんが、
答えよりも、計算方法や、処理の仕方を重点的に学んで欲しいと思います。
ここは展開だけですのでさっそく問題に行きましょう。
法則の名前は定期テスト対策としては覚えておいた方が良いかもしれませんね。
(1)\( 6x(2a-5b)\)
(2)\( (12x^2+3xy)\div 3x\)
問題に「計算せよ」とありますが、「展開せよ」と同じことです。
展開とは「(かっこ)を無くせ」ということ
なので、
次の項目に出てくる因数分解と逆のことです。
因数分解が公式や順序を覚えておかなければできないのに対し、
展開は強引に計算してしまえば、答えは出るから覚えておく必要はない、
といってしまえば覚える必要はありません。
しかし、展開公式は覚えておいた方が計算は早いです。
この式の計算はこの単元だけで使うだけではなくて、すべての単元で使うことなので\(\,1\,\)つの計算が少し速くなれば全体では相当な時間の差が出てきますよ。
どっちみち、因数分解で覚えなければいけないので、この際だからいくつかやって覚えてしまえばいい。
これは公式も何もありません。
分配法則にしたがって展開するだけです。
ただ、\( 6x\) は(かっこ)の中の両方にかけなければならないので注意して下さい。
\(\hspace{10pt} 6x(2a-5b)\\ \\
=12ax-30bx\)
本当は(かっこ)の中を先に計算するというのが基本だけど、
ここでは文字が違う(同類項ではない)ので計算できないから分配法則を利用して展開するのです。
文字式の表し方を少し復習しておくと、
定数、文字の順番
で書きます。
文字の順序はアルファベット順
にします。
例えば、
\(\hspace{10pt} b\times a\times 2\times c\\
=2\,a\,b\,c\)
高校になると対称性からこの規則は適用しないこともありますが基本はアルファベット順です。
だから絶対ではありませんのであまり気にしなくて良いですけど。
\(\color{red}{円周率\,\pi\,は定数}\)ですよ。
例えば円の面積で半径が\(\,r\,\)だとすると
\(\hspace{10pt} 半径\times 半径\times 円周率\\
=r\times r\times \color{red}{\pi}\\
=\color{red}{\pi}\,r^2\)
とするように文字よりは先におきます。
割り算の展開方法とポイント
これも(かっこ)の中はこれ以上計算できないので、
「 \( \div 3x\) 」で(かっこ)の中の両方を割り算します。
『割り算は、逆数のかけ算』
が基本です。
しかし、このくらいの計算は暗算でできるようになりたいですよね。
両方やってみましょう。
先ずは、暗算でやります。
学校でもこれは暗算でしょう?
\(\hspace{10pt} (12x^2+3xy)\div 3x\\ \\
=4x+y\)
両方の項を割ります。
割られた文字は消えるので、\( x\) が一つずつ次数が下がります。
今度は逆数のかけ算でみてみましょう。
\(\hspace{10pt} \displaystyle (12x^2+3xy)\div 3x\\ \\
\displaystyle =(12x^2+3xy)\times \frac{1}{3x}\\ \\
\displaystyle =\frac{12x^2}{3x}+\frac{3xy}{3x}\\ \\
=4x+y\)
2行目の処理は \(\displaystyle \frac{1}{3x}\) は両方にかけることを忘れないようにして下さい。
その後約分するんだけど一気に答えを書くんじゃなくて、
1,2年のときと同じように係数、文字の順に分かったものからその都度書いていくと良いですよ。
この問題は暗算の方が早いです。
しかし、ややこしそうな分数の割り算は、逆数のかけ算の方が断然分かり易くなります。
係数、文字に注意しながらやれば、暗算でできる場合とできない場合がすぐに区別できるようになりますので、迷ったら逆数のかけ算をすればすべての割り算はできるようになります。
後は計算ミスがないか確認する時間をどれだけ作れるかと、計算そもそものスピードアップです。
最初なのでちょっと説明が多くなりました。
問題も多いから一旦ここで終了します。
⇒ 文字式の展開公式で覚えなくて良い公式と覚えた方が良い公式(中学3年)
ここからが公式と呼ばれる展開方法です。