中学3年の式の計算では文字式の展開公式がありますが、覚えなくて良い公式と覚えた方が良い公式があります。
展開は公式がなくてもできますが、公式が使えるものは使った方が断然早いです。
公式は「覚えて使う」で良いのですが、
展開においては公式利用とそうでないものの見分けを出来るようになると意味なく覚えることが減ります。


覚えなくて良い展開公式

さっそく問題入りますが、公式とはなっていても覚えなくていいものもあります。

公式は覚えて使う」を勧めていますが、
展開公式には覚える意味のない公式もあるのです。

問題1
次の計算をせよ。

(3)\( (x+4)(2x-7)\)
(4)\( (a+5)(a+8)\)
(5)\( (x+7)(x-4)\)
(6)\( (a-12)^2\)
(7)\( (7x+y)^2\)


問題1の(1)(2)はここにはありません。

⇒ 文字式の展開とは?分配の方法と割り算のときのポイント(中学3年)

展開について初歩的な説明をしています。

(3)\( (x+4)(2x-7)\)

これは公式がないわけではありません。

 \( (ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd\)

というものですが、これは中学の公式からは外れていると言っていいです。

高校でも必要ありません。
因数分解の際は、「タスキガケ因数分解」しますので、展開公式としては必要無いのです。

だからこの問題は、高校でも地道に展開する方が早いです。
この公式を一般的に覚える時間があれば地道に展開してください。
それで良いです。

(かっこ)の中はどっちも計算できないので、一つひとつかけます。

展開はこの一つひとつかけるという作業さえすれば必ず答えが出ますから、
 『公式を忘れたら地道に展開
これが一つのキーワードです。

 \(\hspace{10pt} (x+4)(2x-7)\\ \\
=2x^2-7x+8x-28\\ \\
=2x^2+x-28\)

\(\,2\,\)行目の\(\,4\,\)回の展開をすれば必ず答えは出ます。

公式を覚える前にすること

(4)\( (a+5)(a+8)\)

これは公式がありますね。

 \( (x+\color{red}{ a})(x+\color{red}{ b})=x^2+(\color{red}{ a+b})x+\color{red}{ ab}\) ・・・①

公式というと「この形を覚えなければいけない」みたいに感じるかもしれないけど、
公式そのものは使える様になることが大切です。

公式を一般的な形で覚える前にいくつか練習してみてください。

すぐにどういう規則になっているか覚えることができるから。

覚え方の順序が逆なんですよね。
ほんの少しで良いので公式を覚える前に、その公式を見ながらでも良いから具体的な数字で計算してみてください。

例題をいくつかやってみると『公式』なんてことは思わずに、自然に公式使って計算するようになります。

 \( (a+5)(a+8)\) を計算するとき、
 \( a^2\) が最初に来るのは分かります。

次は \( a\) の\(\,1\,\)次の項です。

\(\,a\,\)の\(\,1\,\)次の項は、\(\,5\,\)と\(\,8\,\)を足して\(\,13\,\)、それに \( a\) をつければ良いだけです。
 \(\hspace{10pt}\color{red}{5}a+\color{red}{8}a\\
=(\color{red}{5}+\color{red}{8})a\\
=13a\)

定数項は、\(\,5\,\)と\(\,8\,\)をかければいいだけです。
 \(\color{blue}{5\times 8=40}\)

中学生でも普通にやっていると思うのですが、地道に展開したとすると、

 \(\hspace{10pt}(a+5)(a+8)\\
=a^2+\color{red}{8}a+\color{red}{5}a+\color{blue}{40}\\
=a^2+(\color{red}{8+5})a+\color{blue}{40}\\
=a^2+13a+40\)

としますよね?
それが公式として書いてあるだけで、計算慣れした人が暗算しているのと同じです。

 \(\hspace{10pt} (a+5)(a+8)\\ \\
=a^2+\color{red}{13}a+\color{blue}{40}\)

この項別の暗算を意識して\(\,5\,\),\(\,6\,\)題簡単な展開問題をやれば覚えてしまいますよ。

(5)\( (x+7)(x-4)\)

これは(4)の練習題と同じですね。文字が違うだけです。
\(\,x^2\,\)の項の係数は\(\,1\,\)なので

 \(x^2\)

までを書き出します。

次に、\(\,x\,\)の\(\,1\,\)次の項は各因数の(かっこでくくられた)後ろの定数を足して
 \(7+(-4)=\color{red}{3}\)

なので

 \(x^2+\color{red}{3}x\)

までを書き出します。

定数項は各因数の(かっこでくくられた)後ろの定数をかけて
 \(7\times (-4)=\color{blue}{-28}\)

なので

 \(\hspace{10pt} (x+7)(x-4)\\ \\
=x^2+\color{red}{3}x\color{blue}{-28}\)

分からない、公式がまだ使えないときは、地道に展開すれば良いんですよ。
暗算しなければならないという公式ではありません。
ただ、暗算は意識して練習しないとはなかなかやくはならない、ということは覚えておくと良いです。

覚える気で使った方が良い公式

(6)\( (a-12)^2\)

これは展開公式

 \((x-\color{red}{ a})^2=x^2-\color{red}{ 2a}x+\color{red}{ a^2}\)

が使えます。

\(a^2\)を書き出して、

 \(\color{blue}{a^2} (展開途中)\)

\(\,a\,\)の\(\,1\,\)次の項の係数は\(\,-12\,\)の\(\,2\,\)倍で\(\,-24\,\)

 \(\color{blue}{a^2-24a} (展開途中)\)

定数項は\(\,-12\,\)の\(\,2\,\)乗で\(\,(-12)^2=144\,\)

 \(\hspace{10pt} (a-12)^2\\ \\
=a^2-24a+144\)

公式が使えなければ \( (a-12)(a-12)\) を普通に展開計算しても良いんですよ。

でもいずれは公式が使えるようになりましょう。
因数分解が出来ません。

\(\,2\,\)乗の展開公式は二つありますが、

 \(\color{red}{(x+a)^2=x^2+2ax+a^2}\) ・・・②

 \(\color{red}{(x-a)^2=x^2-2ax+a^2}\) ・・・③

③は②の公式で \(\color{red}{a}\) の変わりに \(\color{blue}{-a}\) を入れてしまえば同じですからね。
②さえ覚えていれば実は③を覚えておかなくても良いんです。

 \(\hspace{10pt} (x-\color{red}{a})^2\\ \\
=\{x+(\color{blue}{-a})\}^2\\ \\
=x^2+2(\color{blue}{-a})x+(\color{blue}{-a})^2\\ \\
=x^2-2ax+a^2\)

これも慣れたら意識しなくても良くなります。
とにかく、この展開と、因数分解は、公式を覚えるよりも、慣れて覚える感覚でやった方が早いです。

長くなるけどもう一題だけ進めておきましょう。

(7)\( (7x+y)^2\)

これは\(\,2\,\)乗公式が使えるけど、\( x\) の係数が\(\,1\,\)では無い場合です。
でも考え方は同じです。

 \( (a+b)^2\) の
\(\,a\,\) を\(\,2\,\)乗して、
次に\(\,a\,\)と\(\,b\,\)をかけて\(\,2\,\)倍して、
最後に\(\,b\,\)を\(\,2\,\)乗すれば公式通りの計算になります。

 \(\hspace{10pt} (7x+y)^2\\ \\
= (7x)^2+2\times (7x)\times y+(y)^2\\ \\
=49x^2+14x+y^2\)

分からなければ?
地道に計算です。

 \((7x+y)^2=(7x+y)(7x+y)\)
と同じですからね。

次からは違う公式とちょっと複雑な計算練習をしましょう。

⇒ 展開公式と計算ミスのポイントおよび覚えておくと良い変形(中学3年)

展開はここまでの手順ですべてできるようになります。

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