素因数分解とは整数を素数に積に分解することで式の計算でも使いますが平方根の単元で大いに利用します。
素因数分解の分解の方法と最小の自然数を求める方法を練習問題の中で解説します。
ルートを外す問題としてよく出題されますが、平方数となることがポイントになります。
2次方程式の問題でも使いますので、必ずできるように練習しておきましょう。
素因数分解とは?
例えば、\(\,20\,\)を素因数分解(素数の積に)してみると、
\( 20=2\times 2\times 5\)
なので
\( 20=\color{red}{ 2^2\times 5}\)
とすることです。
※
\( 20=4\times 5\)
ですが、4は素数ではないのでこれは素因数分解とはいいません。
素因数分解の方法は簡単で、
割り算を縦に進めていきます。
素因数分解の方法
先ず\(\,20\,\)を割り切れるできるだけ小さい数を探します。
\(\,2\,\)で割り切れるので\(\,2\,\)で割ると、
\(2\underline{)\,20}\\
\hspace{10pt}10\)
まだ終わりではありません。
次に\(\,10\,\)を割り切れる数を探します。
\(\,2\,\)で割れるので\(\,2\,\)で割ると、
\(2\underline{)\,20}\\
2\underline{)\,10}\\
\hspace{15pt}5\)
のようにできるだけ小さい素数から割り算していけば良いのです。
\(\,5\,\)は素数なのでこれで終わりです。
(\(\,1\,\)は素数ではないので\(\,5\,=\,5\times 1\,\)とする必要はありません。)
これは「素因数分解」を全く知らないという場合を除いて、
少し練習すれば今までできなかった中学生に出会ったことがありません。
だから練習すれば誰でもできるようになりますので、
後に出てくる「平方根を求めること」と「素因数分解する」ことの違いさえ気をつけておけば大丈夫ですよ。
ただ、ある程度暗算できるようになると素因数分解を書かない人をたまに見かけますが、
ミスしない人はいないので確実にやっておいた方が良いですよ。
素因数分解を利用する例題
①32 ②56 ③90
①
\(2\underline{)\,32}\\
2\underline{)\,16}\\
2\underline{)\hspace{6pt}8}\\
2\underline{)\hspace{6pt}4}\\
\hspace{15pt}2\)
\(\hspace{7pt}\color{red}{ 32=2^5}\)
②
\(2\underline{)\,56}\\
2\underline{)\,28}\\
2\underline{)\,14}\\
\hspace{15pt}7\)
\(\hspace{7pt}\color{red}{ 56=2^3\times 7}\)
③
\(2\underline{)\,90}\\
3\underline{)\,45}\\
3\underline{)\,15}\\
\hspace{15pt}5\)
\(\hspace{7pt}\color{red}{ 90=2\times 3^2\times 5}\)
①\(\,225\,\) ②\(\,484\,\) ③\(\,576\,\) ④\(\,729\,\)
\(\color{red}{平方数とは\,\mathrm{A}^²\,となっている数}\)
のことです。
例えば、
\(\,25\,\)は\(\,5^2\,\)なので、\(\,25\,\)は\(\,5\,\)の平方数
ということになります。
ここでは、
\(\mathrm{A}^2\,\)と素因数分解して\(\,\mathrm{A}\,\)を答えれば良いことになります。
※
\(x^2=4\) となる \(\,x\,\) は \(\,\pm 2\,\) ですが、
どのような\(\color{red}{ 自然数}の平方になっているか?\)
なので正の整数(自然数)だけを答えれば良いのですよ。
①\(\,225\,\)を素因数分解すると、
(自分でして下さい。人の計算を自分でやったように勘違いする人が多いです。)
\(\begin{eqnarray}
225&=&3^2\times 5^2\\
&=&(3\times 5)^2\\
=15^2
\end{eqnarray}\)
となるので、\(\,225\,\)は\(\,15\,\)の平方数です。
だから答えは \(\,\underline{15}\,\) です。
\( ②484=22^2 なので答えは \underline{22} です。\)
\( ③576=24^2 なので答えは \underline{24} です。\)
\( ④729=27^2 なので答えは \underline{27} です。\)
素因数分解が難しいのは、11,13,17,19 などの素数の平方数です。
あまり大きな素数の平方数を聞かれることは少ないですが、
\(\,11\,\)から\(\,15\,\)ぐらいまでの平方数は覚えておくと便利です。
\( 11^2=121\)
\( 12^2=144\)
\( 13^2=169\)
\( 14^2=196\)
\( 15^2=225\)
正方形の面積は\(\,1\,\)辺の平方(\(\,2\,\)乗)になっています。
例えば、
\(\,1\,\)辺の長さが \(\,5\,\mathrm{cm}\,\) の正方形の面積は \(\,5^2=25\,\mathrm{(\,cm^2\,)}\,\) です。
これから、面積が\(\,324\,\)ということは、
\(\,324\,\)を素因数分解して何の平方になっているか、
を求めれば良いことになります。
\(2\underline{)\,324}\\
2\underline{)\,162}\\
3\underline{)\hspace{6pt}81}\\
3\underline{)\hspace{6pt}27}\\
3\underline{)\hspace{11pt}9}\\
\hspace{20pt}3\)
\(\begin{eqnarray}
324&=&2^2\times 3^4\\
&=&2^\color{red}{2}\times 3^\color{red}{2}\times 3^\color{red}{2}\\
&=&(2\times 3\times 3)^\color{red}{2}\\
&=&18^2\end{eqnarray}\)
となるので、求める答えは \(\,\mathrm{\underline{18\,cm}}\,\)
ここまでは図形問題の計算過程でも出てくるものですが、
それだけでちょっとした小問集合問題の一部になるのが次です。
最小の自然数を求める素因数分解問題
平方根でも同じような問題が出てきます。
ある自然数の平方にするにはどのような数をかければよいでしょうか。
またその結果はどんな数の平方になりますか。
ある自然数の平方にするということは、
\( \color{red}{\mathrm{A^2} にすればいい}\)
ということです。
そこで\(\,112\,\)を素因数分解してみると
\( 112=2^\color{red}{4}\times 7\)
となりますが、
\(\hspace{10pt} 112\\
=2\times 2\times 2\times 2\times 7\\
=2^2\times 2^2\times \underline{\color{red}{7}}\)
と書くと、
\(\color{red}{\,7\,だけが\,\mathrm{A^2}\,となっていない}\)
ことが分かります。
このことから\(\,112\,\)を平方数にしたければ、
\(\,7\,\)をかけてやればいい
ことが分かるのです。
他の例で見ると、
\( 20=2^2\times \underline{5}\) は \(「\,5\,」\)
\(\hspace{10pt} 96\\
=2^5\times 3\\
=2^2\times 2^2\times \underline{2\times 3}\)
は\(「\,6\,」\)をかけてやれば平方数になるということです。
もう少し深く考えてみましょう。
\(112=2\times 2\times 2\times 2\times 7\)
に\(\,7\,\)をかければ確かに、
\(\,2^2\times 2^2 \times 7^2=\color{red}{ (2\times 2\times 7)^2}\,\)
となって平方数になります。
しかし、他に平方数になるものはないかと考えると、
例えば
\(\,112\,\)に\(\,7\times 3^2\,\)をかけても
\(\hspace{10pt}\color{blue}{ 112}\times \color{red}{ 7 \times 3^2}\\
= \color{blue}{ 2^2\times 2^2 \times 7}\times \color{red}{ 7\times 3^2}\\
= 2^2\times 2^2\times 7^2\times 3^2\\
= \color{red}{ (2\times 2\times \times 7\times 3)^2}\)
となり平方数となります。
つまり\(\,112\,\)に\(\,7\times \mathrm{A^2}\,\) という数をかけるといつでも平方数になるということです。
そこで、問題の『できるだけ小さい数をかけて』というのが効いてくるんです。
できるだけ小さい数は、自然数で考えているので、
\(\,\mathrm{7\times A^2}\,\) の
\(\color{red}{\mathrm{A}\,中に\,1\,を入れたもの}\)
となります。
だから、できるだけ小さい自然数は \(\underline{\,7\,}\) ということになるのです。
そしてその平方数は
\(\,112\times 7=\underline{784}\,\)
です。
両方答えです。
忘れないように問題で何を答えるかは確認しましょう。
ちょっとした応用問題で
「小さい方から\(\,3\,\)つ答えよ。」
という問題に出会っても慌てずに済むようにしておくとここは十分です。
⇒ 平方数とは?かけて、割って平方数にする最小の自然数の見つけ方
似たような内容になりますが、少し違って見えるかもしれません。