中学3年であつかう展開公式と計算ミスをしやすいポイントをお伝えします。
覚えておくと良い変形がありますので確認しておきましょう。
ここで取り上げるのは文字式の展開公式の混じった問題です。
中学で使う展開公式は少ないですが、組み合わされた問題が出てきます。
式の計算は単なる計算だけだと思っている人も多いですが、処理の仕方によってはかかる時間がかなり違ってきます。
中学数学最後の展開公式
中学数学で出てくる公式は少ないです。
その中で、因数分解で応用の効く展開公式が出てきます。
展開そのものは非常に簡単ですが、因数分解のときに使えるようにここは覚えておきましょう。
さっそく問題の中で見ていきます。
(8)\((a+9)(a-9)\)
(9)\( (8x-3y)(8x+3y)\)
(10)\( (x-6)^2+(x+9)(x-3)\)
(11)\((5x+2)^2-(3x-10)^2\)
(12)\( (x+5y-1)(x-5y+1)\)
※問題1(7)までは
⇒ 文字式の展開とは?分配の方法と割り算のときのポイント(中学3年)
⇒ 文字式の展開公式で覚えなくて良い公式と覚えた方が良い公式(中学3年)
ここまで出てきた、覚えなくて良い公式を省いて書き出すと
\(\color{red}{(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}\)
\(\color{red}{(x+a)^2=x^2+2ax+a^2}\)
\(\color{red}{(x-a)^2=x^2-2ax+a^2}\)
ですので確認しておいてください。
これも展開公式
\(\color{red}{(x+a)(x-a)=x^2-a^2}\)
が使えますが、覚えていなければ、地道に展開計算すればいいだけです。
でも、もうおぼえた方が早いのは分かるでしょう?
この公式の逆向きの変形は因数分解でも使います。
特にこの公式はちょっと応用された高校の因数分解でもよく使いますよ。
こんな計算問題で時間を取られるのはもったいないです。
公式を使います。
\(\hspace{10pt} (a+9)(a-9)\\ \\
=a^2-9^2\\ \\
=a^2-81\)
これはよく見れば(8)の公式が使えます。
\( (\color{red}{a}+\color{blue}{b})(\color{red}{a}-\color{blue}{b})\)
の
\(\color{red}{a}\) が \( \color{red}{8x}\)
\( \color{blue}{b}\) が \(\color{blue}{3y}\)
になっているだけです。
\( (8x+3y)(8x-3y)\\ \\
=(8x)^2-(3y)^2\\ \\
=64x^2-9y^2\)
これは今までの複合問題です。
前半が公式
\(\color{red}{ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}\)
後半が公式
\(\color{red}{ (x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}\)
を使います。
\(\hspace{10pt} (x-6)^2+(x+9)(x-3)\\ \\
=(x^2-12x+36)+(x^2+6x-27)\\ \\
=x^2-12x+36+x^2+6x-27\\ \\
=2x^2-6x+9\)
計算ミスを減らしたい場合は\(\,2\,\)行目\(\,3\,\)行目は省略しないことです。
\(\,3\,\)行目を飛ばせる自信が出来てきた人は飛ばしても良いですが、テストでは見直しした方が良いですよ。
マイナスの後ろの(かっこ)を外すときのことを考えると\(\,3\,\)行目は書くようにクセをつけておいた方が良いです。
ややこしい展開のミスを減らすポイント
これは因数分解をやった後なら迷うかもしれません。
\( a^2-b^2=(a+b)(a-b)\)
の形をしているからです。
でも、単なる\(\,2\,\)乗計算の複合だと思ってもたいしたことありません。
\( \hspace{10pt}(5x+2)^2-(3x-10)^2\\
=(25x^2+20x+4)-(9x^2-60x+100)\\
=25x^2+20x+4-9x^2+60x-100\\
=16^2+80x-96\)
\(\,2\,\)行目は計算したのは\(\,1\,\)行目の(かっこ)の中なので、
(かっこ)を残すことが符号間違いを減らすコツです。
因数分解を覚えたらもう一度この問題をやって見てください。
忘れていると思うけど(笑
違った処理ができるようになっています。
\( \hspace{10pt}(\color{red}{5x+2})^2-(\color{blue}{3x-10})^2\\
=\{(\color{red}{5x+2})+(\color{blue}{3x-10})\}\{(\color{red}{5x+2})-(\color{blue}{3x-10})\}\\
=(5x+2+3x-10)(5x+2-3x+10)\\
=(8x-8)(2x+12)\\
=8(x-1)\times 2(x+6)\\
=16(x-1)(x+6)\\
=16(x^2+5x-6)\\
=16x^2+80x-96\)
ややこしそうに見えますが、自分で計算してみると意外と簡単なことが分かります。
\(\,4\,\)行目からは直接展開してもいいですよ。
覚えおくといい変形
これもよ~くみると(慣れてくれば)、
\( (x+a)(x-a)=x^2-a^2\)
が使えます。
\(\hspace{10pt}(x+5y-1)(x-5y+1)\\ \\
=\{x+(\color{red}{5y-1})\}\{x-(\color{red}{5y-1})\}\)
のちょっとした変形ができれば良いだけなのですが、練習するときに意識していないとなかなか気がつかないですよね。
この
\(\,-5y+1\,\)を\(\,-\,\)でくくれば\(\,-(\color{red}{5y-1})\,\)
とできることが経験の差となりますね。
\( \hspace{10pt}(x+5y-1)(x-5y+1)\\
=\{x+(\color{red}{5y-1})\}\{x\color{red}{-(5y-1)}\}\\
=x^2-(5y-1)^2\\
=x^2-(25y^2-10y+1)\\
=x^2-25y^2+10y-1\)
\(\,5\,\)行目の符号変化に注意してください。
これ以上まとめることはできません。答えです。
この変形は高校の数学でも良く使いますが、できていない人も多いです。
あなたはそうならないように覚えておきましょう。
やっと展開計算が終わりました。
ここまで説明いらないと思うけど、出来ていない人いっぱいいますよ。
もっと応用やって鍛えてあげたいところなんだけど、今回はこの辺で終わりにします。
展開は中学ではここまでですが、因数分解をある程度終えたらここにもう一度戻ることをお勧めします。
展開は時間をかければ必ず答はでます。
しかし、処理の仕方で差が出ることも知っておいてください。
⇒ 因数分解とは?公式がいらなくなる問題の解き方のポイント(中学3年)
因数分解できれば展開はできます。