因数分解のちょっとした応用の仕方と覚えなくても良い公式とその利用方法です。
中学3年は4つか5つ公式としてあるかもしれませんが、覚えていた方が早い、というだけのものもあります。
逆に、覚えることが目的になるとムダな時間をかけることになることがあります。
「因数分解せよ」という問題は必ず因数分解できるので手順はおさえて手抜きしないように作業してください。
そうすれば多くの公式を覚える必要がないことがわかります。
定数項に文字が入っている応用因数分解
早速ですが問題に入ります。
(4)\( x^2-2xy-8y^2\)
(5)\( x^2+8x+16\)
(6)\(a^2-10ab+25b^2\)
問題1(3)までは別のページにあります。
ここにはありませんので気にしないでください。
⇒ 因数分解とは?公式がいらなくなる問題の解き方のポイント(中学3年)
これは問題1.(2)(3)に文字がついただけで考え方は同じですが、
中学の間は定数項の \( 8y^2\) のかけ算の組を、
\(\,y^2 \,\)とか \(\,4y^2\times 2\,\) とかは考えなくて良いです。
範囲外になっているから、 \(\,y \,\)は両方につくと考えておいて良いんです。
だから、組み合わせは、
\(\color{red}{ y\times 8y}\) か \(\color{red}{ 2y\times 4y}\)
しかありません。
このうちで足して\(\,x\,\)の係数が \(\,-2y \,\)になるのは、
\(\,2y\,\) と \(\,4y \,\)の組で、\(\,4y\,\) に-をつければいい。
\(\hspace{10pt} x^2-2xy-8y^2\\
=(x+2y)(x-4y)\)
考え方としてはズルイんだけど、\(y\) を取り除いて、
\( x^2-2x-8\) を因数分解して、
\(\hspace{10pt} x^2-2x-8\\
=(x+2)(x-4)\)
この両方の因数の\(\color{red}{ 定数項に y をつければいい}\)のです。
\( (x+2\color{red}{y})(x-4\color{red}{y})\)
高校になるとこの方法だけでは通用しなくなる問題も出てきますが、
これは調べる方法の1つではあります。
定数項となる積が \(-8y^2\)になるのは
\(\color{black}{\fbox{ 1 × 8\(y^2\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 2 × 4\(y^2\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 4 × 2\(y^2\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 8 × \(\hspace{10pt}y^2\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ y × \(\hspace{8pt}8y\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 2y × \(\hspace{4pt}4y\)}}\)
のどちらかに「-」がつく組みが考えられます。
\(2y と -4y\) 足すと \(2y-4y=-2y\)
なので
\(\hspace{10pt}x^2-2yx-8y^2\\
=(x\color{red}{ +2y})(x\color{red}{ -4y})\)
これすべて調べれば高校でも同じ方法でできる公式が多いですが、高校生になる頃には、そんなことしなくても因数分解できるようになっているはずだから、最初は定数として\(\, y^2\,\) 無しで考えてもいいですよ。
定数項が平方数になっている因数分解(覚えなくて良いパターン)
これは実は2乗の因数分解公式
\(\color{red}{ a^2+2ab+b^2=(a+b)^2}\)
だけど、今までと同じ方法でやってもできます。
\(\,x^2+8x+16\,\) は定数項が\(\,16\,\)だから、
かけて16になる数の組を探すと、
\( 1\times 16 , 2\times 8 , 4\times 4\)
(後はかける数とかけられる数が逆転するだけ)の3つ。
\(\color{black}{\fbox{ 1 × 16}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 1 × \(\hspace{10pt}8\)}}\)
\(\color{black}{\fbox{ 4 × \(\hspace{10pt}4\)}}\)
このうち、足したり、引いたりして
\( x\) の1次の項の係数が8になる組み合わせを探すと、
\( 4\times 4\) の組み合わせ、
両方+4となります。
だから、
\(\hspace{10pt} x^2+8x+16\\
=(x+4)(x+4)\)
となるけど、
右辺は \( (x+4)^2\) と書きますので、結果として、
\(\color{red}{ a^2+2ab+b^2=(a+b)^2}\)
の公式を使った方が早いと気が付くようになるんですよ。
この公式を使う問題の見分け方は、定数項が平方数( \(\,a^2\,\) )になっていて、
\(\,x\,\)の1次の項の係数が、\(\,a\,\) の\(\,2\,\)倍になっているときなので、
先ずは定数項が平方数かどうかをみることがポイントになります。
\(\color{red}{ a^2+2ab+b^2=(a+b)^2}\)
は使えた方が早いです。
でも(2)(3)のような組み合わせを探す方法を使えるようになる方が先です。
⇒ 因数分解とは?公式がいらなくなる問題の解き方のポイント(中学3年)
で復習して、組み合わせを探す作業は手抜きしないようにしましょう。
(6)でもう一度見てみましょう。
定数項は、\(\,25b^2=(5b)^2\,\) なので平方数です。
( \(\,5b^2\,\) としないようにしてください。\(\,(5b)^2\,\) です。)
次に\(\,a\,\)の\(\,2\,\)次方程式と見ているので\(\,1\,\)次の係数は、\(\,-10b\,\)で \(\,5b\,\) の\(\,-2\,\)倍 です。
よって、
公式
\(\color{red}{ x^2-2ax+a^2=(x-a)^2}\)
が使えます。
\(\hspace{10pt} a^2-10ab+25b^2\\
=(a-5b)^2\)
これを公式を使わず解くと、かけて定数項\(\,25b^2\,\)になるのは、
\(\,b\times 25b\,\) と \(\,5b\times 5b\,\) のふた組あります。
( \( 25\times b^2\) などは考えていません。)
このうち足して \(\,-10b\,\) になるのは、
両方に-をつけて、\(\,-5b\,\) と \(\,-5b\,\)の組。
だから
\(\hspace{10pt} a^2-10ab+25b^2\\ \\
=(a-5b)(a-5b)\\ \\
=(a-5b)^2\)
となります。
少しは分かってきたでしょうか?
なかなか進まないけどここでまた切ります。
ポイントは何か?
作業することですよ。
次はちょっとややこしそうに見える因数分解問題になりますが難しい応用ではないのでご安心ください。
因数分解はできるように問題が作られているのです。
ここでおおよその因数分解はできるようになります。