中学で習う範囲での因数分解の公式と問題の解き方の解説です。
因数分解とはなにか?そこから説明します。
共通因数を抜き出すことから始める因数分解ですが、2次方程式でも重要になりますのでこの式の計算単元で身につけておきましょう。
やり方によってはある程度までの因数分解は公式が必要無くなるので確認しておくと良いです。
因数分解とは?
因数分解とは、
多項式を約数の積、つまり掛け算の形で表すことです。
例えば、
\((x+1)(x+2)\) を展開すると \(x^2+3x+2\) となります。
\( (x+1)(x+2)=x^2+3x+2\)
逆に見ると、
\(x^2+3x+2\) は \((x+1) と (x+2)\) の積で表されます。
この \((x+1) と (x+2)\) を因数といい、
もとの多項式を因数の積で表すことを因数分解するというのです。
これから文字式で因数の積にしているものをあつかいますが、
素数で因数分解したものは「素因数分解」といいます。
⇒ 素因数分解とは?分解方法と最小の自然数を求める練習問題(中学3年)
文字式の因数分解は大きな単元のひとつですよ。
後にやる2次方程式では、因数分解をものすごく利用します。
もちろん文章題にも因数分解を利用するものが多くあります。
図形問題でも因数分解は利用します。
高校に進んでもいくらでも使いますので、確実にできるようになっておきましょう。
因数分解の問題は必ずできる
「因数分解せよ。」
と問題にあれば必ず因数分解できるんだから、
高校の因数分解でも手順さえ覚えてしまえば簡単です。
中学生の因数分解は、たった3,4個の公式さえ覚えて、
ちょっと工夫するコツさえつかめば良いだけなので簡単なんです。
今回取り上げている問題は基本的なものしかないけど、
難しい因数分解でも必ずできるように問題はつくられているから、
「因数分解は得意」っていえるようになると良いですね。
因数分解の公式は、展開公式の逆です。
展開公式を覚えたら、因数分解はできるし、
因数分解の公式を覚えたら展開はできる、ことになるのでセットです。
公式は4つ(3つともいえる)しか無いから覚えた方が早いです。
ただ、文字で意味なく覚えても使えないので、
実際の問題を解きながら、因数分解の公式と手順を覚えましょう。
早速問題に入りましょう。
(1)\( 16x^2+24xy\)
(2)\(x^2-10x+24\)
(3)\( a^2+4a-32\)
因数分解で最初にすること
因数分解の最初にすべき手順①は『共通因数を抜き出す』ことです。
共通因数はすべての項に存在している因数のことです。
ここでは、係数の \(\color{red}{8}\) と \(\color{red}{x}\) が共通因数です。
\(\hspace{10pt} 16x^2+24xy\\ \\
=8x(2x+3y)\)
共通因数を抜き出した後は、
残りの因数を(かっこ)でまとめれば因数分解のできあがりです。
ただし、(カッコ)の中がまだ因数分解できるときは、それ以上因数分解できない形の積にしたものを答えにしなければなりません。
このことは後の方で説明することになりますので先に進んで下さい。
因数分解公式がいらなくなる方法
因数分解公式の\(\,1\,\)つ
\(\color{red}{ x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)}\)
を使うのですが、どう使うかがコツになります。
公式に合うように、\( a , b\) を決めるのですが、
先ずは定数項に着目します。
問題の定数項は\(\,+24\,\)です。
\( a\times b\)(定数項)が\(\,+24\,\)ということは、
かけて\(\,24\,\)になる数
を探せば良いのです。
符号が+なので、
\( a , b\) が「\(\,\color{red}{ともに+}\,\)」か「\(\,\color{red}{ともに-}\,\)」
です。
かけて+にするにはそれしかありません。
そこで、いろいろと試します。
かけて\(\,24\,\)になる二つの数は、
\(\color{black}{\fbox{ 1×24 }}\) \(\color{black}{\fbox{ 2×12 }}\) \(\color{black}{\fbox{ 3×8 }}\) \(\color{black}{\fbox{ 4×6 }}\)
の四つです。
(\(\,24\times 1\,\)は\(\,1\times 24\,\)と同じことなので逆は考えなくて良いです。)
※
この作業は慣れるまで実際にノートの横に自分で書き出す練習を続けた方が良いです。
適当に選んでもできそうに思える問題が多いですが、少し定数項が大きくなったくらいでできなくなる人はこの作業をしていません。
高校生になって参考書や問題集の解答見て「わからない」といっている人は、他人の計算(解答)をみて自分でやった気になっている人が多いからです。
途中の作業を自分でしてみないと、見えてこないことがこれから多くなりますので気をつけてください。
実際には、
\( 1\times 24 24\times 1\)
\( 2\times 12 12\times 2\)
\( 3\times \hspace{5pt}8 \hspace{5pt} 8\times 3\)
\( 4\times \hspace{5pt}6 \hspace{5pt} 6\times 4\)
といった感じだけど、右の列は左を逆にしたものだから必要ないので、左半分で折り返した時点で終了です。
かける数が、かけられる数より小さくなった時点で終わり。
ここで、\( x\) の\(\,1\,\)次の項の係数をみると\(\,-10\,\)なので、
両方に-をつけて、足して\(\,-10\,\)になる組を選べば良いだけです。
実際に書き出すときは「×」という記号も必要ありません。
\( -1 -24\)
\( -2 -12\)
\( -3 \hspace{5pt}-8\)
\(\color{red}{ -4 \hspace{5pt}-6}\)
この問題では\(\,4\,\)と\(\,6\,\)の両方に-をつければ、足して\(\,-10\,\)になるので、
\(\hspace{10pt} x^2-10x+24\\ \\
=(x-4)(x-6)\)
間違えないで下さい。
かけて\(\,24\,\)(定数項)
足して\(\,-10\,\)(\(\,1\,\)次の項の係数)
になる二つの数を探すのですよ。
この方法ができれば、
\(\color{red}{ x^2-a^2=(x+a)(x-a)}\)
以外の公式は(実はこれも)いらないんです。
これは(2)と同じです。
かけて\(\,-32\,\)
足して\(\,+4\,\)
になる数の組を探せばいいのです。
先ずは-(マイナス)は考えずに\(\,32\,\)になるかけ算の組を探します。
\(1 32\)
\(2 16\)
\(4 \hspace{5pt}8\)
すると、\( 4\times 8=32\) で、
\(\,4\,\)の方に-をつければ、
かけて \(-4\times 8=-32\)
足して \(-4+8=4\)
になるので、\(\,-4\,\)と\(\,8\,\)だと分かります。
(慣れるまでは組み合わせを自分でいろいろ試さないとすぐには見つからないですよ。)
\(\hspace{10pt} a^2+4a-32\\ \\
=(a-4)(a+8)\)
長くなると頭の中がごちゃごちゃしてくるので、とりあえずここで一度切りますね。
⇒ 因数分解の応用 覚えなくても良い公式とその利用方法(中学3年)
に行くまでに、ここまでをしっかり出来るように同じような問題で良いので練習しておいてください。
2つの数の組み合わせを書き出すかどうかで大きく差がでますよ。