分数計算が苦手なら通分の仕方と分母、分子の書き方を変えるだけで大きく変わるかもしれません。
数学の苦手な人から質問を受けていると、小学校の算数のときから分数の計算が苦手だったという人が非常に多いですが、通分の方法をかえるだけで苦手ではなくなります。高校の数学での分数も同じ方法で処理できるので試して見てください。

分数計算が苦手な人は分母の書き方を変える

分数の計算が苦手というより分母をかえた表し方ができていないのではないでしょうか。
約分は知っているけど、分母を変えるというのがイマイチできていない。
結果、通分ができずに分数の計算が苦手となっているようです。

例えば、\(\,1\,\)という数字は \(\displaystyle 1=\frac{1}{1}\) なので
分母を\(\,2\,\)として分数で表すと \(\displaystyle 1=\frac{2}{2}\) です。
分母を\(\,3\,\)として分数で表すと \(\displaystyle 1=\frac{3}{3}\) です。
分母を\(\,10\,\)として分数で表すと \(\displaystyle 1=\frac{10}{10}\) です。

次に分数の分母を変えてみましょう。
例えば \(\displaystyle \frac{1}{3}\) という分数は
分母を\(\,6\,\)にすると \(\displaystyle \frac{1}{3}=\frac{2}{6}\) です。
分母を\(\,9\,\)にすると \(\displaystyle \frac{1}{3}=\frac{3}{9}\) です。

分母は元の分母の倍数にすれば、分子も同じだけ倍した数字で表せます。

ここまでは大丈夫ですか?
整数を分数にする段階で分からない状態の人は算数の教科書をやり直しましょう。

つまり分数は、分子と分母を同じ数だけ倍しても値は変わらないのです。
だから分数計算を楽にしようとすれば、
最小公倍数(公倍数で良いです)を分母として、分母を1つにすれば楽に計算ができるのです。

分数の計算は分母を一つにする

具体例で見ていきましょう。

 \( \displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{2}\)

計算するとき分母の最小公倍数は\(\,6\,\)なので\(\,6\,\)に通分すると、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{1}{3}+\frac{1}{2}\\ \\
\displaystyle =\frac{2}{6}+\frac{3}{6}\\ \\
\displaystyle =\frac{5}{6}\)

としますよね。

このときに簡単な計算は良いのですが、
簡単な計算のときでも分母を1つしか書かないようになれておくと後で楽になれます。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{1}{3}+\frac{1}{2}\\ \\
\displaystyle =\frac{2+3}{6}\\ \\
\displaystyle=\frac{5}{6}\)

同じ通分でも分母を1つにすることで分子の計算に集中出来るのでミスも減るのです。

ちょっとだけ複雑な算数計算をしてみましょう。

 \( \displaystyle \frac{3}{5}+2-\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{2}\)

分母は、\(\,5\,,\,1\,,\,3\,,\,2\,\)なので最小公倍数は\(\,30\,\)です。
分母を\(\,30\,\)に通分すると

通分は分母を最小公倍数にするのが計算は楽ですが、最小公倍数でなくても公倍数なら良いですよ。

分母\(\,5\,\)の部分は分子を\(\,6\,\)倍
分母\(\,1\,\)の部分は分子を\(\,30\,\)倍
分母\(\,3\,\)の部分は分子を\(\,10\,\)倍
分母\(\,2\,\)の部分は分子を\(\,15\,\)倍
すれば良いので、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{3}{5}+2-\frac{1}{3}+\frac{1}{2}\\ \\
\displaystyle =\frac{3\times 6+2\times 30-1\times 10+1\times15}{30}\\ \\
\displaystyle =\frac{18+60-10+15}{30}\)

とすれば分子だけの計算に集中出来るでしょう?
分母は書き足しておくだけでいいのです。

今は計算方法を説明しているので結果はどうでも良いのですが計算結果は

 \( \displaystyle \frac{3}{5}+2-\frac{1}{3}+\frac{1}{2}=\frac{83}{30}\)

です。
答えを書くときは必ずこれ以上約分できない状態の既約分数で答えを書きますがこの問題はこれ以上約分はできません。

ただし、約分できるときがありますので、注意が必要です。

ここまでは算数ですので数学であつかう文字式の分数計算に進みます。
ちょっとスペースが必要ですが、ここからは算数ではなく数学になります。

約分のときの注意点

中学2,3年になっても間違える人が多いので、ここでしっかり文字を含んだ分数に慣れておいて下さい。

 \( \displaystyle \frac{2x-4}{4}\)

は分母と分子の \(2x , -4\) の両方に \( 2\) という約数を持っているのですべてを同時に割って約分できます。

 \( \displaystyle \frac{\color{red}{2}x-\color{red}{4}}{\color{red}{4}} =\displaystyle \frac{x-2}{2}\)

しかし、

 \( \displaystyle \frac{x-\color{blue}{4}}{\color{blue}{4}}\)

はどうかというと、分母の\(\,4\,\)と分子の\(\,-4\,\)は約分できそうだけど、
 \(\color{red}{x}\) の部分は約分できません

だから約分してはダメなんです。

よく見かける間違いは、部分的に約分して(都合の良いように(^^;))

 \( \displaystyle \frac{x-4}{4}=x-1\)
これはダメな例ですよ。)

としてしまうことです。
このような部分的に約分することはできません。

このミスを減らす方法は、2つあります。
一つは、分母を分子のそれぞれに付けて、分けて書くこと。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{2x-4}{4}\\ \\
\displaystyle =\frac{2x}{4}-\frac{4}{4}\\ \\
\displaystyle =\frac{1}{2}x-1\)

もう一つは、分母は一つのままで、約分できるかどうか判断が付けられるまで練習すること。

どっちをおすすめするか?
もちろん、分母は一つで済ます方です。
計算が楽だし最後に気を付ければ済むだけだから途中の計算が楽な方が速いし、やりやすいし、ミスが確実に減る。

約分できるかできないかのところは間違えやすいのでもう少し例を示しておきましょう。

 \( \displaystyle \frac{2x-3}{6}\)
全部を割れる数字がないので約分できません。

 \(\displaystyle \frac{\color{red}{6}x-\color{red}{3}}{\color{red}{6}}\)
\(\,3\,\)で約分できて
  \( \displaystyle \frac{2x-1}{2}\)
です。

 \( \displaystyle \frac{4x-3}{12}\)
全部を割れる数字がないので約分できません。

 \(\displaystyle \frac{\color{red}{6}x-\color{red}{4}}{\color{red}{12}}\)
\(\,2\,\)で約分できて
  \( \displaystyle \frac{3x-2}{6}\)
です。

 \( \displaystyle \frac{6x-5}{24}\)
全部を割れる数字がないので約分できません。

 \(\displaystyle \frac{\color{red}{12}x-\color{red}{8}}{\color{red}{24}}\)
\(\,4\,\)で約分できて
  \( \displaystyle \frac{3x-2}{6}\)
です。

約分できない分数は分母\(\,1\,\)つにした(答え)で正解ですから、分ける必要はありません。

いいですか、部分的に約分はしないで下さいよ。

文字式の計算練習は

⇒ 小数や分数係数の文字式計算と通分するときのミスを減らすコツ(中学1年)

を第一歩として参考にしてください、

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