比例式と比の値(何倍か)で分数や小数のあるものや(かっこ)のついた問題の解き方です。
比例式の処理の仕方はいろいろありますが、解き方は1つなので簡単です。
ここでは整数の比だけではなく、いろいろなタイプを解いておきましょう。
この比例式や比の値は入試では計算問題にはなることは少ないですが、実はよく使うことになります。


比の値と比例式とは

比が\(\,a:b\,\)のとき、\(\,a,b\,\)をそれぞれ比の項といいます。

前にある\(\,a\,\)を前項、
後ろにある\(\,b\,\)を後項といいますが、
この比\(\,\color{red}{a}:\color{blue}{b}\,\)において
 \(\hspace{4pt}\displaystyle \frac{\color{red}{a}\,(前項)\,\hspace{5pt}}{\color{blue}{b}\,(後項)\,\hspace{5pt}}\)
比の値といいます。

比が等号(=)で結ばれた
 \(\hspace{4pt}\color{red}{a}:\color{blue}{b}=\color{blue}{c}:\color{red}{d}\)
のような式を比例式といいます。

比例式の外側にある \(\color{red}{a,d}\) を外項、内側にある \(\color{blue}{b,c}\) を内項といいますが、
内項と外項の積は等しくなります。

 \(\large{\color{red}{ad}=\color{blue}{bc}}\)

⇒ 1次方程式と比例式の利用と解き方のまとめ

このことは確認しておいてください。
ここでは計算問題として比例式を処理する練習をします。

比例式の問題と解き方

比例式では、整数であっても分数や小数であっても比の値は一定なので、方程式と同じように両項を何倍しても成り立ちます。

例えば、\(\displaystyle \frac{1}{2}:\frac{1}{3}\) は 両項\(\,6\,\)倍して、

 \(\displaystyle \frac{1}{2}\color{red}{\times 6}: \frac{1}{3}\color{red}{\times 6}=3:2\)

と、比の値は同じです。

しかし、小数や分数があっても先に整数にする必要はありません

「内項の積と外項の積が等しくなる」ことを利用し、
先に方程式にすれば、後は方程式の処理方法は同じなので、
比の段階で整数にしなくても普通の方程式と同じように比例式は解けます。

簡単なので問題を解いていきましょう。

問題1 次の比例式を解きなさい。
 \(x:60=7:5\)

「右側の比が\(\,7:5\,\)だから左側も、、、」
または
「左辺の後項が右辺の後項の\(\,12\,\)倍だから、、、」
と考えなくていいです。

すべてに(内項の積)=(外項の積)を使えばいいです。

 \(\hspace{4pt}x:60=7:5\)
なので
 \(\hspace{4pt}5x=60\times 7\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
5x&=&60\times 7\\
\displaystyle x&=&\frac{60\times 7}{5}\\
x&=&12\times 7\\
x&=&84
\end{eqnarray}\)

右辺を \(60\times 7=420\) と計算しててもいいですが、
約分することが多いので
かけ算などは最後にすると無駄が減ります。

問題2 次の比例式を解きなさい。
 \(x:4=7:3\)
 \(\hspace{4pt}x:4=7:3\)
なので
 \(\hspace{4pt}3x=4\times 7\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
3x&=&4\times 7\\
\displaystyle x&=&\frac{4\times 7}{3}\\
x&=&\frac{28}{3}\\
\end{eqnarray}\)

約分できないときもあります。
解が分数でも自信を持って見直ししてください。笑

小数の比例式の解き方

問題3 次の比例式を解きなさい。
 \(x:0.9=20:3\)
 \(\hspace{4pt}x:0.9=20:3\)
なので
 \(\hspace{4pt}3x=0.9\times 20\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
3x&=&0.9\times 20\\
3x&=&18\\
\displaystyle x&=&\frac{18}{3}\\
x&=&6
\end{eqnarray}\)

これは

 \(\begin{eqnarray}
3x&=&0.9\times 20\\
10\times 3x&=&10\times 0.9\times 20\\
30x&=&9\times 20
\end{eqnarray}\)

と両辺を\(\,10\,\)倍してもいいですが、
かけて整数になることはすぐにわかるので先にかけた方がはやいです。
一通りのやり方で通したいなら方程式にした後で\(\,10\,\)倍です。

問題4 次の比例式を解きなさい。
 \(1.3:2.5=x:5\)
 \(\hspace{4pt}1.3:2.5=x:5\)
なので
 \(\hspace{4pt}2.5x=1.3\times 5\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
2.5x&=&1.3\times 5\\
10\times 2.5x&=&10\times 1.3\times 5\\
25x&=&13\times 5\\
\displaystyle x&=&\frac{13\times 5}{25}\\
x&=&\frac{13}{5}
\end{eqnarray}\)

小数や分数をなくすタイミングはいつでもいいです。

 \(\hspace{4pt}1.3:2.5=13:25\)
なので
 \(\hspace{4pt}13:25=x:5\)
これから

 \(\begin{eqnarray}
25x&=&13\times 5\\
\displaystyle x&=&\frac{13\times 5}{25}\\
x&=&\frac{13}{5}
\end{eqnarray}\)

としても問題ありません。

これは\(\,x=2.6\,\)と小数で答えてもいいですが分数の方がはやいです。
どちらでもいい場合は数学は分数、理科は小数で答えることが多いです。
ただ、問題が指定している場合は指定された方で答えてください。

資料の活用では代表値や階級値、相対度数など小数を使います。

分数の比例式の解き方

問題5 次の比例式を解きなさい。
 \(\displaystyle x:\frac{1}{5}=20:\frac{1}{2}\)
 \(\hspace{4pt}\displaystyle x:\frac{1}{5}=20:\frac{1}{2}\)
なので
 \(\hspace{4pt}\displaystyle \frac{1}{2}x=\frac{1}{5}\times 20\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1}{2}x&=&\frac{1}{5}\times 20\\
\displaystyle \frac{1}{2}x&=&4\\
x&=&8
\end{eqnarray}\)

問題6 次の比例式を解きなさい。
 \(\displaystyle 6:x=\frac{2}{3}:\frac{1}{2}\)
 \(\hspace{4pt}\displaystyle 6:x=\frac{2}{3}:\frac{1}{2}\)
なので
 \(\hspace{4pt}\displaystyle \frac{2}{3}x=6\times \frac{1}{2}\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{2}{3}x&=&6\times \frac{1}{2}\\
\frac{2}{3}x&=&3\\
2x&=&9\\
x&=&\frac{9}{2}
\end{eqnarray}\)

どちらも(内項の積)=(外項の積)で方程式にした後、
普通に方程式を解いているだけです。

次は(かっこ)がついた文字式の比ですがやり方は同じです。

(かっこ)のついた文字式を含む比例式の解き方

問題7 次の比例式を解きなさい。
 \(6:(x+7)=2:5\)
 \(\hspace{4pt}6:(x+7)=2:5\)
なので
 \(\hspace{4pt}2(x+7)=6\times 5\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle 2(x+7)&=&6\times 5\\
x+7&=&\frac{6\times 5}{2}\\
x+7&=&15\\
x&=&15-7\\
x&=&8
\end{eqnarray}\)

問題8 次の比例式を解きなさい。
 \((8-x):x=3:5\)
 \(\hspace{4pt}(8-x):x=3:5\)
なので
 \(\hspace{4pt}3x=(8-x)\times 5\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
3x&=&(8-x)\times 5\\
3x&=&40-5x\\
3x+5x&=&40\\
8x&=&40\\
x&=&5
\end{eqnarray}\)

次は\(\,x\,\)が複数ある場合です。

問題9 次の比例式を解きなさい。
 \((10-x):2=x:5\)
 \(\hspace{4pt}(10-x):2=x:5\)
なので
 \(\hspace{4pt}5(10-x)=2x\)
これを解いて

 \(\begin{eqnarray}
5(10-x)&=&2x\\
50-5x&=&2x\\
-5x-2x&=&-50\\
-7x&=&-50\\
7x&=&50\\
\displaystyle x&=&\frac{50}{7}
\end{eqnarray}\)

すべて、(内項の積)=(外項の積)を使っているだけです。

分数や小数を整数に変えるタイミングはいつでもいいですが、
整数にしやすいと思ったタイミングですぐに変えるといいですよ。

次はちょっとした比例式の応用と理科で使える比例の利用方法をご紹介します。

⇒ 比例式の応用 文章題への利用と便利な比の使い方

比例式は三年生の図形分野『相似』でよく使います。
使わない人は相似の攻略はできていません。笑
つまり大学入試でも使うということなので大切な項目ですよ。

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