素数とはどのような数なのか、素因数分解の方法と平方根の求め方を無理数(ルート)を使った計算をする前に改めて説明しておきます。
これから無理数の計算を例題をあげて解説していきますが、素因数分解と平方根(ルート)の求め方を準備として確認しておきましょう。
平方根を求めることは2次方程式を解くときにも大切になりますので重複することになりますが決してムダにはなりません。
素数とは?
平方根を求める問題や無理数の計算練習を始める前に下準備をしておきましょう。
本題に入る前に超基本的な用語の確認を少しやっておきます。
『素数』とは
1とその数自身以外に約数を持たない数
をいいます。
どういうことかというと、割りきれる数が1とその数しかないということです。
例えば、
\(\,4\,\)は、\(\,1\,\)と\(\,4\,\)以外に\(\,2\,\)で割り切れます。
だから\(\,4\,\)は素数ではありません。
\(\,6\,\)も\(\,1\,\)と\(\,6\,\)以外に、\(\,2\,\)や\(\,3\,\)で割り切れます。
これも素数ではありません。
逆に、\(\,5\,\)は\(\,1\,\)と\(\,5\,\)以外に割り切れる数はありません。
これは素数です。
それと、忘れがちな素数の約束事ですが、
\(\,1\,\)は素数の仲間には入れません。
忘れないでくださいね。
答えは、
\(\underline{ 2,3,5,7,11,13,17,19,23,29 }\)
が素数です。
大きな素数は倍数の見分け方が役に立つことも多いですが、
素数は\(\,2\,\)以外はすべて奇数だということくらいは覚えていても良いのではないでしょうか。
偶数は\(\,2\,\)で割れるのでその時点で素数ではなくなっていますからね。
素因数分解の方法
素因数分解とは、その数を素数だけのかけ算にすることです。
方法は簡単でできるだけ小さな素数で割っていけば良いだけです。
\(2\underline{)\hspace{2pt}54}\\
3\underline{)\hspace{2pt}27}\\
3\underline{)\hspace{7pt}9}\\
\hspace{16pt}3\)
上のように割り算をして、左に並んだ数と最後の数までをかけ算の形で書き出せばいいんです。
\( 54=\underline{2\times 3^3}\)
⇒ 素因数分解とは?分解方法と最小の自然数を求める練習問題(中学3年)
素因数分解はルートのついた無理数を簡単にするときに必ず使います。
少し慣れてくると面倒に感じるかもしれませんが、
暗算で済ますのではなく、
問題用紙の片隅でも良いので書き出しておくことをおすすめします。
平方根と注意点
平方根とは\(\,a\,\)を平方、
つまり\(\,2\,\)乗(自乗)すると\(\,x\,\)になるとき、
\( \,a\,\)を\(\,x\,\)の平方根(\(\,2\,\)乗根)といいます。
つまり、
\(\,a^2=x\,\)を満たす\(\,a\,\)を\(\,x\,\)の平方根
というのです。
気をつけなければならないのは
平方根は1つとは限らない
ということですね。
例えば、
\(\,2\,\)を\(\,2\,\)乗すると\(\,4\,\)になります。
だから「\(\,4\,\)の平方根は\(\,2\,\)です。」
とすると間違いなんです。
平方根の\(\,1\,\)つではあるので間違いではないのですが、
問題の答えとしては間違いです。
確かに\(\,2\,\)は\(\,4\,\)の平方根です。
でも、\(\,2\,\)だけではなくて\(\,-2\,\)も平方すると
\((-2)^2=4\)
になるので、\(\,4\,\)の平方根は\(\,2\,\)と\(\,-2\,\)の両方なのです。
これをまとめて\(\,\pm 2\,\)と書きます。
ここまでは良いですよね?では問題に入りましょう。
(1)144 (2)2500 (3)0.36
(1)\(\,144\,\)は何を\(\,2\,\)乗すればいいか?
素因数分解すれば分かります。
\(2\underline{)\hspace{2pt}144}\\
2\underline{)\hspace{7pt}72}\\
2\underline{)\hspace{7pt}36}\\
2\underline{)\hspace{7pt}18}\\
3\underline{)\hspace{12pt}9}\\
\hspace{21pt}3\)
これから
\(\begin{eqnarray}
144&=&2^4\times 3^2\\
&=&(2^2\times 3)^2\\
&=&(2\times 2\times 3)^2\\
&=&12^2
\end{eqnarray}\)
です。
では、\(\,144\,\)の平方根は?
\( \underline{ \pm \,12 }\)です。
(2)\(\,2500\,\)は\(\,50^2\,\)ですが、\(\,(-50)^2\,\)でもあります。
だから\(\,2500\,\)の平方根は、\(\underline{ \pm \,50 }\)です。
これは\(\,100\,\)の倍数なので間違えは少ないですが、
見直しときは確実に素因数分解した方が良いです。
\(2\underline{)\hspace{2pt}2500}\\
2\underline{)\hspace{2pt}1250}\\
5\underline{)\hspace{7pt}625}\\
5\underline{)\hspace{7pt}125}\\
5\underline{)\hspace{12pt}25}\\
\hspace{26pt}5\)
確かに
\(\,2500=(2\times 5\times 5)^2=50^2\,\)
です。
ただ、\(\,250\,\)の場合は
\(2\underline{)\hspace{2pt}250}\\
5\underline{)\hspace{2pt}125}\\
5\underline{)\hspace{7pt}25}\\
\hspace{21pt}5\)
なので\(\,250=2\times 5^3\,\)となり平方根は整数ではありませんので急ぎすぎないように気をつけておきましょう。
(3)「\(\,0.36\,\)の平方根」、
これは小数なのでちょっと考えにくいかもしれませんが慣れれば簡単です。
\( 0.6^2=0.36\)
なので、平方根は\(\underline{ \pm \,0.6 }\)です。
これは分数にしても答えが出てきます。
というより本当は分数の方が確実なんです。
小数は平方すると小数点の位置が分かりにくいですが分数はその紛らわしさがありません。
例えば\(\,0.36\,\)の平方根は\(\,\pm\,0.6\,\)で合っていますが、
\(\,3.6\,\)の平方根は?と聞かれて\(\,\pm\,0.6\,\)と間違える人がいます。
\(0.6^2=0.36\)
なので\(\,0.6\,\)は\(\,3.6\,\)の平方根ではありません。
\(\,3.6\,\)の平方根は無理数で永遠に続く非循環小数です。
分数で処理しておきます。
\( 0.36= \displaystyle \frac{36}{100}\)
と小数を無くすように分母を\(\,100\,\)とする分数にして、
分母と分子それぞれぞれの平方根を出せばいいのです。
(分数の平方根は分母と分子それぞれの平方根を出す。)
分母の平方根は\(\,\pm\,10\,\)、
分子の平方根は\(\,\pm\,6\,\)です。
よって\(\,0.36\,\)の平方根は、
\( \pm \displaystyle \,\frac{6}{10}\)
符号の組み合わせで+と-両方出てくるから\(\,\pm\,\)でいいんですよ。
答えは既約分数(それ以上約分できない分数)にして
\(\underline{ \pm \displaystyle \,\frac{3}{5} }\)
問題が小数で与えられているから小数で答えなければならない、
なんてことはありませんから気にせず分数で答えて下さい。
小数より分数でなれると、
問題によっての使い分けが必要無いので分数だけで通せますよ。
※
小数で答えることになっているのは「データの活用」です。
代表値や相対度数などは整数になる場合もありますが小数で答えます。
次に平方根(ルート)、無理数の計算に入りますがここまでは基本用語として覚えておいてくださいね。
⇒ 平方根と根号√(ルート)の使い方(ルートの外し方と符号の位置)
新しい数字の表し方が出てきます。
ここからあなたの数学の世界が広がりますので
入試においても大切なポイントになることを知っておいてください。