ルートのついた無理数の計算は乗法除法(かけ算とわり算)が先になります。
ルートの計算方法にははやくするコツがありますので基本的な練習問題を取り上げて解説します。
足し算と引き算は後になりますが、文字式と同じように処理できるので先ずはここを確実にしておきましょう。
無理数の計算は文字式と同じ
ルートのついた無理数の計算はわり算だけは別に考えた方がはやい場合もありますが、
それでも基本的な考え方1つで通せますのでむずかしく考えないように取り組んでください。
かけ算も割り算も、あとで出てくる足し算や引き算も無理数を文字式と考えると簡単です。
問題です。
(1) \( 3\sqrt {6} \times \sqrt{18}\)
(2) \( \sqrt {80} \div \sqrt{5}\)
(3) \( 3\sqrt {56} \div \sqrt{63}\)
問題4までは別のページにありますので気にしないでください。
ルートの計算は基本的にはルートの中身を簡単にしてから計算することです。
(1)
\(\sqrt{18}=\sqrt{3^2\times 2}=3\sqrt{2}\)
のようにルートの中の\(\,2\,\)乗部分は整数係数としてルートの外に出ますので
\(\hspace{10pt}3\sqrt {6} \times \sqrt{18}\\
=3\sqrt {6} \times 3\sqrt{2}\\
=9\sqrt {12}\)
とできますが、
\( \sqrt{12}\) はまだルートの中が簡単にできます。
\( \sqrt{12}=\sqrt{2^2\times 3}=2\sqrt{3}\)
なので
\(\hspace{10pt}3\sqrt {6} \times \sqrt{18}\\
=9\color{red}{\sqrt {12}}\\
=9\times\color{red}{ 2\sqrt{3}}\\
=18\sqrt{3}\)
これが答えですが二度手間に感じませんでしたか?
一度計算して、またルートの中を簡単にしなければなりませんよね。
なれるまではこれでも良いです。
このままでも入試では十分に通用します。
でも、なれてくれば次のように済ますこともできますので参考にして下さい。
平方根は2乗するとルートがなくなる
例えば、
\( \sqrt{2}\times\sqrt{2}=2\)
\( \sqrt{5}\times \sqrt{5}=5\)
というようにルートの中が同じものを\(\,2\,\)回かけるとルートがはずれるように、
\(\hspace{10pt}3\sqrt {6} \times \sqrt{18}\\
=3\sqrt {\color{red}{6}} \times \sqrt{\color{red}{6}\times3}\\
=3\sqrt {\color{red}{6 \times 6}\times3}\\
=3\times \color{red}{6}\sqrt {3}\\
=18\sqrt{3}\)
とすることもできます。
式で書くと同じように見えますが、慣れて頭の中でできるようになると断然違ってきます。
(頭の中ではなく、書き出しても時間はそれほどかかりません。)
でも、やはりルートの中を簡単にしてから計算するというのを基本にしておいた方が良いです。
それよりも、
ここでは書いていませんが素因数分解をしない人は、
無理数計算(ルートの計算)をする気が無い人です。
⇒ 素数とは?素因数分解の方法と平方根の求め方(ルートの使い方準備)
絶対計算ミスしないという人はこのページを読んでいることはありません。
少なくともこのページを読んでいる人は計算ミスをしたくない人だと思うので、
ルートの中を簡単にするとき、余白の片隅で良いので素因数分解は書きましょうね。
ルートの割り算は約分を先にする
(2)\(\sqrt {80} \div \sqrt{5}\)
わり算は逆数のかけ算にするのは算数と同じです。
ここでも逆数をかけますが、わり算だけはルートの中身を簡単にする前に約分すると計算が楽です。
もちろん普通通り、ルートの中身を簡単にしてからでも良いですが圧倒的に約分が早いです。
ルートの中身どうしなら約分できるので利用して下さい。
\(\hspace{10pt} \sqrt {80} \div \sqrt{5}\\
\displaystyle=\frac{\sqrt{80}}{\sqrt{5}}\\
=\sqrt{16}=4\)
これを
\(\hspace{10pt} \sqrt {80}\\
=\sqrt{2^2\times 2^2\times 5}\\
=2\times 2\times \sqrt{5}\\
=4\sqrt{5}\)
としてから計算すると時間がかかると思いませんか?
これは簡単な方だから良いですが、いくつもの無理数をかけたり割ったりする計算では、わり算は約分してからルートの中身を簡単にした方がはやいです。
(3)\( 3\sqrt {56} \div \sqrt{63}\)
これも割り算なので、約分を先にしましょう。
もちろん割り算は逆数のかけ算として式を分数にしてからです。
\(\hspace{10pt} 3\sqrt {56} \div \sqrt{63}\\
\displaystyle =\frac{3\sqrt{\color{red}{56}}}{\sqrt{\color{red}{63}}}\\
\displaystyle =\frac{3\sqrt{8}}{\sqrt{9}}\\
\displaystyle =\frac{\color{blue}{3}\times 2\sqrt{2}}{\color{blue}{3}}\\
=\underline{ 2\sqrt{2} }\)
ところで
\( \sqrt{9}=3\)
\( \sqrt{8}=2\sqrt{2}\)
はもう分かりますよね?
わり算で約分利用するというのは計算の基本ですので会員の方は会員サイトの「約分の効用」は必ず見ておいてください。
大げさではなく計算の時間に相当な差が出てきますよ。
特に計算量の多くなる高校では歴然とした差となって現れます。
模試や入試で時間が足りないという人はこれらの基本を無視して数学をしています。
それよりも素因数分解は必須です。
⇒ 素数とは?素因数分解の方法と平方根の求め方(ルートの使い方準備)
確認しておいてくださいね。
ここまでができたら次の段階です。
⇒ ルート(無理数)の小数を含む足し算引き算の計算問題の解き方ポイント
足し算引き算の計算ができれば無理数の計算は大丈夫です。