ルートのついた無理数の代入にはちょっとしたコツがあります。
代入問題はずっと出てきますが、少し応用された問題における条件式の使い方のポイントを解説をします。
高校の数学でこれを知らずにいたらかなりの差がついてしまうので今のうちに習得しておくと良いですね。
単に代入するだけでは数学ではない
これから説明する問題は中学生の問題ですが、高校の数学でも同じように問題として出題されます。
これに似た問題が高校の宿題として出されたとき、提出した中で一人を除いて全員やり直しをさせられたそうです。
何故なら、単に代入して工夫が全くなかったからという理由らしいです。
もちろん、その一人は当会の数学を実践した生徒です。
『答えが出ればそれで良い。』
それは算数ですからね。
数学らしく進めていきましょう。
頭の片隅にでも置いておいて数学に取り組むと、これからの数学の伸びが大きく変わります。
ルートのついた無理数の代入は工夫して
問題です。
(3)\( x=4-\sqrt{5}\) のとき \( x^2-8x+20\) の値を求めよ。
問題6(2)まではこのページにはありません。
これは直接代入しても答えは出ます。
ひたすら計算すれば答えは出ますよね。
中学生にはルート計算することを求めているのかもしれませんが、
ちょっとした方針を持っていれば、
高校の数学でも使えることなのでここで習得しておきましょう。
先ずは代入した場合どのような計算が待っているか見てみましょうか。
今は代入して計算できるようになっていればいいです。
特に入試では何が何でも点数を取ろうという気持ちは大事ですから、迷ったらひたすら計算しましょう。
ただ、時間配分には気をつけてください。
\(\hspace{10pt} x^2-8x+20\\
=\color{red}{(4-\sqrt{5})^2}\color{blue}{-8(4-\sqrt{5})}+20\\
=\color{red}{16-8\sqrt{5}+5}\color{blue}{-32+8\sqrt{5}}+20\\
=(16+5-32+20)+(-8\sqrt{5}+8\sqrt{5})\\
=9\)
展開公式を利用していますが大した計算でもありませんね。
ところが、
条件式が\(\, x=4-\sqrt{5}\,\)や\(\,x=3+\sqrt{3}\,\)などの場合は、
ルートを消す方向で式変形すると高校数学や応用レベルで便利なことが待っています。
\( x=4-\sqrt{5}\) を \( x-4=-\sqrt{5}\)
とルートの部分だけを右辺に残して移項して、
ルートを消すように両辺2乗します。
\(\begin{eqnarray}
(x-4)^2&=&(-\sqrt{5})^2\\
x^2-8x+16&=&5\\
x^2-8x+11&=&0
\end{eqnarray}\)
ここからは問題に合わせて使います。
\( x^2=8x-11\) でも、
\( \color{red}{x^2-8x=-11}\) でも、
\( x^2-8x+11=0\) でもかまいません。
ここでは、\(\,2\,\)番目の等式を使うと楽ですね。
与式が \( x^2-8x+20\) なので、
\(\hspace{10pt}\color{red}{ x^2-8x}+20\\
=\color{red}{-11}+20\\
=9\)
と答えが出ます。
これを学校の宿題でやらせると\(\,9\,\)割の生徒が代入します。
当会の生徒がたまたま宿題を塾に持ち込んだときに、
この方法でやるのが当たり前だと提出させたら一人だけ再提出を免れたそうです。
他の生徒は、「\(\,5\,\)乗や\(\,10\,\)乗のときにも代入する気か?」と再提出させられたらしい。
一応進学校ということになっている普通科の高校\(\,3\,\)年生なのですが、、、。
普通の中学生は代入でいいですけど、余裕があれば覚えておくと良いです。
高校になるとできること
\( x^2=8x-11\) は何乗でも\(\,1\,\)次以下に次数下げできます。
ですが、与式の次数が高い場合結構面倒です。
\( x^2-8x+11=0\) は何乗でも\(\,1\,\)回の割り算ですみますので楽です。
ただ、高校入試までは代入してでも答えを出してください。
高校入試は答えだけ書ければそれで正解ですから、泥臭くても何でも答えを出しに行くべきです。
かっこよく解いても泥臭く解いても得点は同じです。
時間の節約という意味では大きな差となりますけどね。
中学生で\(\,3\,\)乗計算をさせる問題はありませんが、
(出すとしたら意地悪としか言いようがない)
上の問題の条件式で「 \( x^3\) の値を求めよ。」という問題では代入すると、
\( x^3=(4-\sqrt{5})^3\)
と高校生でも面倒くさい計算になります。
(私はメンドウだとおもいます。笑)
これに \( \color{red}{x^2=8x-11}\) を利用すると、
\(x^3=x^2\times x\)
と分けることによって
\(\hspace{10pt} x^3\\
=\color{red}{x^2}\times x\\
=(\color{red}{8x-11})x\\
=8x^2-11x\\
=8(8x-11)-11x\\
=\color{blue}{53x-88}\\
=53(4-\sqrt{5})-88\)
と何とか計算できますよね。
さらに高校生になると整式の割り算ができるようになりますので、
\(x^3=(\color{red}{x^2-8x+11})(x-8)+53x-88\)
と変形するとここで \(\color{red}{x^2-8x-11=0}\) なので簡単に
\(\begin{eqnarray}
x^3&=&\color{blue}{53x-88}\\
\end{eqnarray}\)
と出せるようになるのです。
今は代入で良いですが、
答えが出れば良いというのは進歩を止めていることになるので、少し工夫するようにしてはどうでしょう。
⇒ 中学生が数学で計算スピードが遅い原因とミスが多い人に必要な計算力
でも同じことを書いていますので参考にして下さい。
⇒ ルートのついた無理数を整数や自然数に変える方法と問題の解き方
中学の数学ではこちらの方が多いですね。
たぶん、すでに簡単にできるようになっていますよ。