ルートのついた無理数を整数や自然数に変える方法と問題の解き方です。
無理数にはルートのついた数と円周率があります。
ルートを外して整数または自然数にするには何をかければ良いか、何で割れば良いかという問題をよく見かけますよね。
この問題について解き方とポイントを説明しておきます。
ルートのついた無理数の平方根は2乗すればルートがはずれる
\(\,a\,\)を正の整数とすると\(\,\sqrt{a}\,\)は\(\,2\,\)乗すればルートははずれ整数\(\,a\,\)となります。
\((\sqrt{a})^2=a\)
平方根なので当然ですが、
\(\,a\,\)を正の整数とすると\(\,\sqrt{a^2}\,\)もルートははずれ整数となります。
これを利用すれば良いだけの問題です。
ちょっとした無理数の応用問題続きです。
(4)\(\sqrt{\,216\,n\,}\,\)が整数となるような最小の自然数\(\,n\,\)の値を求めよ。
問題6(3)まではこのページにありませんので気にしないでください。
問題のポイントは『整数』です。
ルートが付いていては(残ったままでは)整数ではありません。
整数にするためには、
ルートの中身を平方数\(\,a^2\,\)にしてルートを外す
ことが必要なんです。
例えば、\( \sqrt{16}=\sqrt{4^2}=4\) で整数となります。
ところが、
\( \sqrt{12}= \sqrt{2^2\times 3}=2\sqrt{3}\)
は、
\(\,2\,\)は整数として外に出ますが、\(\sqrt{3}\) が残っています。
これは整数ではありません。
つまり整数にしたかったら、すべての素因数を\(\,2\,\)乗(平方)の形にしなくてはならないのです。
(『平方数』とは、『\(\,2\,\)乗になっている数』のことです。)
簡単です。
\(\sqrt{(ルート)}\)の中を素因数分解して、
\(\,2\,\)乗になっていないものをかければいいのです。
(もう少し詳しくいうと\(\,2\,\)乗になるようにかけるのですが後で説明します。)
問題のルートの中身は、\(216\,n\) です。
これは \( 216\times n\) という意味ですからね。
\(\,216\,\)を素因数分解すると、
\( \hspace{10pt}216\\
=2^3\times 3^3\\
=\color{blue}{2^2}\times \color{blue}{3^2}\times \color{red}{2\times 3}\)
となっています。
ここで、\(\,2\,\)乗の形になっていない部分は後ろの \( \color{red}{\times 2\times 3}\) 部分です。
そこにもう一度同じ数字をかけてやれば\(\,2\,\)乗になります。
だから、
\( n\) には \( \color{red}{\times 2\times 3}\) の数字を入れてやれば全体が\(\,2\,\)乗の形になります。
\(\hspace{10pt}\sqrt{216\color{red}{\times 6}}\\
=\sqrt{2^2\times 3^2\times 2\times 3\color{red}{\times 2\times 3}}\\
=\sqrt{2^2\times 3^2\times 2^2\times 3^2}\\
=\sqrt{\color{blue}{(2\times3\times 2\times 3)^2}}\\
=2 \times 3\times 2\times 3\\
=36\)
だから
\( n=2\times 3=6\)(答え)
ルートがはずれるのは1つだけではない
※ちょっと発展させて見ます。
この問題は『最小の自然数を求めよ』なのでこれでいいのですが、
\( 216\times n\) が、何かの\(\,2\,\)乗(平方数)になるのは \( n=6\) だけではありません。
例えば、
\( \color{red}{n=2\times 3\times 5^2}\) をかけても、
\( \hspace{10pt}216\times \color{red}{n}\\
=2^2\times 3^2\times 2\times 3\times \color{red}{2\times 3\times 5^2}\\
=2^2\times 3^2\times 2^2\times 3^2\times 5^2\\
=(2\times 3\times 2\times 3\times 5)^2\)
と平方数になります。
\( \color{blue}{n=2\times 3\times 7^2}\) をかけても、
\(\hspace{10pt} 216\times \color{blue}{n}\\
=2^2\times 3^2\times 2\times 3\times \color{blue}{2\times 3\times 7^2}\\
=2^2\times 3^2\times 2^2\times 3^2\times 7^2\\
=(2\times 3\times 2\times 3\times 7)^2\)
と平方数になります。
つまり、
\(\color{magenta}{n=2\times 3\times k^2}\) をかければ、
\(\,216\,\)はいつでも平方数になるのです。
しかしこの問題では『最小の自然数』なので
\( \color{red}{k=1}\) を入れた、\(\,\color{red}{2\times 3}\,\)が単純に答えです。
普通は「最小の自然数」と問題に書いてくれています。笑
\(\,2\,\)番目に小さい自然数は
\( k=2\) を入れた、\( n=2\times 3\times 2^2=24\)
\(\,3\,\)番目に小さい自然数は
\( k=3\) を入れた、\( n=2\times 3\times 3^2=54\)
応用に見えるかもしれませんが、公立高校入試で普通に出てもおかしくない問題です!
ルートのついた無理数を自然数にするために必ずやること
やるべきことはたった1つ。
素因数分解は必ずやるつもりで問題に取り組みましょう。
それでも考える問題のときは、具体的に書き出して行くのです。
これは次の例題で説明します。
いくつか例題をやっておけば十分でしょう。
(1)\( \sqrt{48a}\)
(2)\(\displaystyle \sqrt{\frac{216}{a}}\)
無理数をあつかうのに素因数分解しないというのは、
「解く気が無い」に等しいことですよ。
(1)は素因数分解すれば終わりですね。
\( 48=2^2\times 2^2 \color{red}{\times 3}\)
より
\(\,\underline{ a=3 }\,\)
(2)これもルートの中を平方数にするのは同じなので、素因数分解します。
\(216=2^2\times 3^2\times\color{red}{ 2\times 3}\)
となるので、逆に消せば良いので割ります。
\(\times 2\times 3\) の部分で割れば約分されて残りは平方数となるので、
\( \,\underline{ a=6 }\,\)
素因数分解できないときの方法
\( \sqrt{\,37-a\,}\) が自然数となる、自然数 \( a\) をすべて求めよ。
これは素因数分解では出ません。
こういうときは限られた数しかあり得ないことが多いです。
だから、考えられる数を全部書き出すのです。
\(\sqrt{\,37-a\,}\)が自然数となる場合を考えているので、
ルートの中身である\(\,37-a\,\)は正の数だから、
\( \,a\,\)は\(\,37\,\)よりは小さい整数です。
\( a=1,2,3,\cdots\) と入れていって
\( 37-a\) が平方数かどうか
を調べてもしれています。
というか、それくらいの根性は見せて欲しいですが。
(この程度で根性といえるのか?これくらいで嫌になるのなら高校数学はあきらめておいた方が良いかも。w)
\(\,37-a\,\)が平方数となるとすれば、
\(37-a=1^2\,,\,2^2\,,\,3^2\,,\,4^2\,,\,5^2\,,\,6^2\)
しかありません。
何故なら、
\(\,a\,\)は自然数なので\(\,37-a\,\)が\(\,7^2=49\,\)(以上の平方数)になることはないからです。
だから
\( \underline{\,a=36\,,\,33\,,\,28\,,\,21\,,\,12\,,\,1\,}\)
答えは逆に書けば良いです。
この問題が「 \( a\) は何個あるか?」なら計算しなくても6個と分かりますよね。
無理数の計算問題や応用問題ほとんどに共通していえることは、
「素因数分解」
ですよ。
⇒ 素数とは?素因数分解の方法と平方根の求め方(ルートの使い方準備)
もう一度見ておく必要ありませんか?
素数を忘れている人多いです。
⇒ 素因数分解とは?分解方法と最小の自然数を求める練習問題(中学3年)
根号をあつかう前にも同じような問題はやっているのですが、忘れていますよね。
すこし間隔が開いたと思うので良い復習になるでしょう。