文字式に数値を代入する問題を解くときにミスを減らす方法です。
中学2年の式の計算ではそれほど難しい計算はありませんが、代入問題は解き方によってはかなり差が出ます。
算数の延長にならないように、ここで時間短縮できるポイントをおさえておきましょう。
代入問題の具体例と代入する前にやっておくこと
早速ですが代入の問題に入ります。
\( a=8\,,\,b=-3\) のとき、次の式の値を求めよ。
(1) \( 7a-4b-5a-b\)
(2) \((4a+5b)-3(a+2b)\)
(3) \(18a^2b \div 9a\)
(4) \( 6a^2b \times (-ab) \div 3a\)
式の計算は、
⇒ 式の計算(中2) 文字式の乗法・除法の混合計算問題のやり方とコツ
までをしっかり復習しておいてくださいね。
ここまでがしっかりできていれば大して問題はないのですが、「代入」するときのポイントをいくつかお伝えしておきます。
説明に入りますが、この問題を見て何がポイントなのかがすぐにわかった人は良いですが、
「なんだ、それくらいできる。」
と感じて素通りしようとした人は要注意です。
もっと先の単元や高校数学での代入問題でつまずく、計算ミスする可能性が高いです。
それくらい後々まで影響しますのでしっかり代入するときのポイントをおさえておきましょう。
代入するときに気をつけるポイント
代入のポイントは、
「代入するときは、必ず(かっこ)をつけて代入する」
ということです。
例えば、
\( 5a\) に、
\( a=3\) を代入するときも \( 5\times (3)\)
\(a=-3\) を代入するときも \( 5\times (-3)\)
と符号に関係なく(カッコ)をつけるということです。
なぜそのようなめんどくさいことをするのか?
「(+)のときはいらないだろう!」
と感じる人もいるでしょう。
そうですね。確かに+のときはつけなくても同じです。
必要ないと思う人は暗算してください。
ほとんどの人は普段からマイナスのときも暗算でできています。
暗算するな、というのではありません。
ただ、いざテストってときに、経験上、ミスの多い人は暗算しています。
逆にいつも満点取って来る人は素直に、
「ミスが減るから」という言葉を信じて(かっこ)をつけてくれています。
だから強制するつもりはありません。
大事なときにミスしたくない、という人だけで結構です。
「テストのときはかっこをつける」
というかっこいいことをいう人はかっこ悪い結果になるでしょう。
だって、テストのときだけ、っておかしな話ですよ。
テストのときだけ天才になる、ってそんなことあるはずありません。
普段の積み重ねがテストの結果です。
少なくとも私は凡人なので、時間の許す限り暗算しないようにしています。
わからない問題は仕方ないけど、
わかっているのにケアレスミスでの失点はしたくない人は、たくさんの練習経験を積んで、それから暗算するようにした方が良いですよ。
普段から(+)だろうが(-)だろうが(かっこ)をつけるようにしておけば使い分けがいらなくなるのでクセにしておくと良いですよ。
さて、いずれ使うようになる数学の言葉を覚えておきましょうか。
決してこの後の説明で私が楽をしようとしているわけではありません。
覚えておきたい数学の用語
\( 7a-4b-5a-b\) の値を求めよ。
この問題で与えられている
「 \( a=8\,,\,b=-3\) 」などのことを「条件式」,
計算すべき式、(1)の場合、
「 \(7a-4b-5a-b\) 」のことを「与式」、
または「求値式」といいます。
そして、このような問題では、
与式をできるだけ処理して簡単にして、
「最後に代入する」
ことが計算を楽にするコツです。
例えば、
(1) の \( 7a-4b-5a-b\) の場合、
\(\hspace{10pt} 7a-4b-5a-b\\
=7(8)-4(-3)-5(8)-(-3)\)
とするのでは無くて、
\(\hspace{10pt} 7a-4b-5a-b\\
=2a-5b\\
=2(8)-5(-3)\\
=16+15\\
=31\)
と同類項をまとめて簡単にしてから代入するということです。
注意しておくことが\(\,2\,\)つあります。
\(\,1\,\)つは計算できるからと言って
\(\hspace{10pt} 7a-4b-5a-b\\
=7(8)-4(-3)-5(8)-(-3)\\
=56+12-40+3\\
=31\)
という算数計算を続けることはやめましょう。
もう一つは「同類項をまとめる」、「与式を簡単にする」ということをするようになったとして、
\(\hspace{10pt} 7a-4b-5a-b\\
=2a-5b\)
これを答えにしないということ。
与式を変形することで満足して、代入するのを忘れる人が割といるのです。
問題が聞いていることはしっかり確認しましょうね。
慣れてくれば普通にすることですが、いきなり代入する算数のようなことをいつまでもやっている受験生がいるので一応書いておきました。
\( (4a+5b)-3(a+2b)\) の値を求めよ。
これも「与式」を簡単にしてから代入しましょう。
\(\hspace{10pt} (4a+5b)-3(a+2b)\\
=4a+5b-3a-6b\\
=a-b\\
=(8)-(-3)\\
=8+3\\
=11\)
展開するときの符号の変化に注意して下さい。
\(\,2\,\)行目をめんどくさがらず書くことが、計算ミスを減らすコツでしたよね。
\(18a^2b \div 9a\) の値を求めよ。
これも「与式」を計算して簡単にしてから代入します。
割り算があるので逆数をかけるのが本当ですが、
そんな必要も無いでしょう。
\(\hspace{10pt} 18a^2b \div 9a\\
=2ab\\ \\
=2 \times (8) \times (-3)\\
=-2\times 8 \times 3\\
=-48\)
\(\,2\,\)行目まではいつもの処理通りで、
後の計算は1度で全部計算を済ませようとするとミスが出やすいので、
係数 , \(a\,,\,b\) の順に計算して、
または簡単になる組み合わせがあればそちらを先に計算して、
1つずつ確実に筆算で書き出していくと時間もそれほどかかからずミスも減ります。
直接代入したらすごい計算になるのは分かるし、
次の(4)なんかは直接代入したら試験時間が足りなくなります。
計算が遅いと思う人程、数学的な処理をすませて計算すればはやく答えまでたどり着けるようになります。
「与式はできるだけ簡単にして、最後に代入」
これを忘れないように、(4)をやってみましょう。
(4)も与式は暗算で計算できるけど、
確実にするために分数で処理しておきます。
\(6a^2b \times (-ab) \div 3a\) の値を求めよ。
これを直接代入して計算したら、計算力はつくかもしれないけど、数学の力は伸びないでしょうね。
\(\hspace{10pt} 6a^2b \times (-ab) \div 3a\\
=-\displaystyle \frac{6a^2b \times ab}{3a}\\
=-2a^2b^2\\
=-2 \times (8)^2 \times (-3)^2\\
=-2 \times 64 \times 9\\
=-1152\)
全体の符号が(-)になるのはいいですよね。
文字式の計算の基本的なことは、
からいくつかに分けて解説してありますので参考にして下さい。
次は、高校の数学まで考えたとき、中学数学の中で1番重要な項目だといって良いです。
⇒ 等式の変形をはやくするやり方練習問題と解説(中2)式の計算
確実に身につけておきましょう。