等式の変形をはやく処理する方法、やり方の解説です。
中学2年の式の計算の中から練習問題を取り上げ説明しておきます。
高校生でも計算が遅いといっている人はここで等式の処理方法の土台作りを間違えています。
この項目は数学の計算の速さを大きく分けるポイントになりますよ。
数学の土台になる等式の変形
中学2年の単元の中で、もっといえば中学数学の項目の中で、最も重要な項目だと言えるところです。
この等式の変形が要領よくできないと、これからの数学で苦労するのが目に見えていえるからです。
高校生で計算が遅いという人は計算が遅いのではなくて、式の処理、等式の処理が下手なんです。
問題を解きながら説明しますので、早速問題に入りますが、
「[ ]の文字について解け」
というのは、
([ ]の文字)=--- にしなさい。
ということですよ。
例えば、
\(【 a 】について解け\)
という場合その文字の係数を\(\,1\,\)にして、
\(\color{red}{ a=\cdots}\)
という形で答えることになります。
等式の解き方
等式の解き方は、
- 解きたい文字を含む項をすべて左辺に移動させて、
- 余計な項は全部右辺に移して、
- 解きたい文字の係数を1にするように、
変形すれば良いだけなんですよ。
ところがこの処理の方法によって差が大きく出てくるんです。
言葉で説明しても分かりにくいですよね。
実際にやってみましょう。
(1)\( a-b+c=5 [\,b\,]\)
(2)\(\displaystyle c= \frac{2a+b}{3} [\,a\,]\)
解きたい文字は左辺か右辺に集める
(1)\( a-b+c=5\) で \( b\) について解く、
ということは、
\( b\) は左辺にあるから、
他の項を先ず右辺に移してしまいましょう。
\(\color{red}{ a}-b+\color{red}{ c}=5\)
\(-b=\color{red}{ -a-c}+5\)
ここまでは移行するだけなので特に問題はないでしょう。
しかし、これで答えとするのは不十分です。
解きたい文字の係数には、
\(「-b=」\) のように「-」を残さず、
\(「 b=」\) とします。
両辺に(-1)をかけると全部の項の符号が入れかわって
\( \underline{ b=a\,+\,c\,-\,5 }\)
となります。
分数や小数は最初に処理しておく
(2)分数を含む方程式の場合は、まず最初に
「分母を無くす」
という、
やりにくい分数をいつまでも残さないやり方です。
\( c=\displaystyle \frac{2a\,+\,b}{3}\)
両辺を\(\,3\,\)倍して分母を無くします。
\(3c=2a\,+\,b ・・・\color{red}{※}\)
\(a\) について解きたいので、
\(a\) を含む項を左辺に、
それ以外を右辺に移します。
\( -2a=b-3c\)
このように(-)がついているとイヤな感じなので、先に(-)を消すために両辺に\(\,-1\,\)をかけます。
\(\begin{eqnarray}
-2a&=&b\,-\,3c\\
2a&=&-b\,+\,3c
\end{eqnarray}\)
\( a\) の前の\(\,2\,\)が邪魔なので両辺を\(\,2\,\)で割ります。
\( \underline{ a=\displaystyle \frac{-b\,+\,3c}{2} }\)
\(\color{red}{ ※}\)のところで左辺と右辺、全部を入れかえてもいいですよ。
\(3c=2a+b\) の両辺入れかえて、符号はそのままにしててもいいんです。
左辺にあっても、右辺にあっても、釣り合っているものは釣り合っているんだから入れかえてもつり合います。
\(\begin{eqnarray}
\color{red}{3c}&=&\color{blue}{2a\,+\,b}\\
\color{blue}{2a\,+\,b}&=&\color{red}{3c}
\end{eqnarray}\)
これからだったら \(2a=3c\,-\,b\) として、両辺\(\,2\,\)で割ればすぐ答えが出ますね。
ここまでで十分です。
後は練習あるのみなので少し例題を変形します。
解説はしませんので同じように変形できるか練習して下さい。
ex1.
\(\displaystyle V=\frac{1}{3}\pi r^2h\)
を \(\,[\,h\,]\,\) について解くと
\(\begin{eqnarray}
3V&=&\pi r^2h\\
\pi r^2h&=&3V\\
h&=&\displaystyle \frac{3V}{\pi r^2}
\end{eqnarray}\)
ex2.
\(\displaystyle a=\frac{b}{2}-3c [\,b\,]\)
を \(\,[\,b\,]\,\) について解くと
\(\begin{eqnarray}
2a&=&b-6c\\
b-6c&=&2a\\
b&=&2a+6c
\end{eqnarray}\)
ね?どれも同じでしょう?
これが基本になっていれば高校の化学でも苦労することは減ります。
例えば、
\(\displaystyle \frac{w}{M}=\frac{PV}{\color{red}{R}T}\)
は理想気体の状態方程式を表していますが、この\(\,\color{red}{R}\,\)を気体定数といいます。
「気体手数\(\,R\,\)を求めよ。」
と聞かれたらお手上げの人がいますが、何も考えることなく、
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{w}{M}&=&\frac{PV}{RT}\\
wRT&=&PVM\\
R&=&\frac{PVM}{wT}
\end{eqnarray}\)
と中学生でも変形できるでしょう?
あとは具体的な数値が与えられるので代入するだけです。
等式変形は要領よくやれば結果が早くでるようになります。
⇒ 中学生が数学で計算スピードが遅い原因とミスが多い人に必要な計算力
にも関係してきますので高校数学の計算量にも負けたくないなら、要領よく計算する方法は身につけておきましょう。
次は文字式の証明をやりましょう。
⇒ 文字式を使った証明問題と証明の方法(式の計算 中学2年)
中学の文字式の証明は、日本語を数学の言葉に代えればほぼ終わりです。