文字式を使って文章題にある条件を証明する問題と証明のときのポイントです。
中学2年の式の計算の中での説明ですが、3年の文字式証明でも方法は同じです。
文字式を使った証明はやり方よりも、文字を使った数の表し方を先に覚えておかないと何もできません。
文字式の証明は数学の言葉で
中学であつかう文字式による証明問題は、日本語で書かれた数を文字式にできた時点で終わっているようなものです。
日本語で説明するのは難しくても、
「数学の文字式なら簡単に示せる」
それが文字式の証明です。
さっそく問題です。
このように、\(\,3\,\)つの連続した自然数の和は \(\,3\,\) の倍数である。
このわけを説明せよ。
文字式を使う証明問題です。
「説明せよ」という問題になれていないので、
日本語でダラダラと説明しなければならないと思っている人が多いですが、
数学の言葉を使うと簡単に説明が出来る
という問題です。
日本語で書かれている数を数学の言葉である文字式に置き換えられるかどうかがカギとなります。
3連続自然数の表し方
\(\,3\,\)つの連続する自然数をどうやって表すか?
自然数とは\(\,0\,\)より大きい整数のことです。
(\(\,0\,\)は自然数じゃないよ)
例えば、
\(\,5\,,\,6\,,\,7\,\)や\(\,11\,,\,12\,,\,13\,\)のような\(\,3\,\)つの連続自然数ですが、
いくらでもあるので具体的に数字を並べても説明にはなりません。
これを文字を使ってどんな自然数が三つ並んでも説明がつくように数学的に表すんです。
\(\,1\,\)番小さい自然数を \(n\) とすると、
\(\,3\,\)つの自然数は、\(\color{red}{ n\,,\,n+1\,,\,n+2}\) となります。
(自然数も整数も\(\,1\,\)ずつ増えるから、\(\,+1\,\)ずつずらせばいいだけです。)
整数であれば、\( n-1\,,\,n\,,\,n+1\) と表せば計算が楽なことが多いけど、
自然数の場合、\( n-1\) の扱いに条件がつくので上のように表しました。
\(\,3\,\)つの自然数を \( n\,,\,n+1\,,\,n+2\,\) と表したとすると、
後は問題の条件通りに計算するだけです。
解答)
連続する\(\,3\,\)つの自然数を、
自然数 \(n\) を用いて \(n\,,\,n+1\,,\,n+2\) と表すと、
\(\hspace{10pt}(3\,つの自然数の和)\\ \\
=n\,+\,(n+1)\,+\,(n+2)\\ \\
=3n+3\\ \\
=3(n+1)\)
\( n+1\) は自然数なのでこれは\(\,3\,\)の倍数である。
(終わり)
因数分解していない(積の形にしていない)
\( 3n+3\) の段階でも\(\,3\,\)の倍数( \(3n\) )と\(\,3\,\)を足しているので、
\(\,3\,\)つの自然数の和が\(\,3\,\)の倍数であることは説明がついていることになります。
例えば、
\(\,27+3\,\) は \(\,3\,\) の倍数 \(\,27\,\) に \(\,3\,\) を足していて、合計の \(\,30\,\) は \(\,3\,\) の倍数です。
\(\,36+12\,\) は \(\,3\,\) の倍数 \(\,36\,\) に \(\,3\,\) の倍数 \(\,12\,\) を足していて、合計の \(\,48\,\) は \(\,3\,\) の倍数です。
このように \(\,3\,\) の倍数は何個足しても \(\,3\,\) の倍数です。
\(\color{blue}{(\,3\,の倍数)+(\,3\,の倍数)=(\,3\,の倍数)}\)
一般的に自然数 \(n\) について
\(\color{red}{(\,n\,の倍数)+(\,n\,の倍数)=(\,n\,の倍数)}\)
は成り立ちます。(整数でも成り立ちます。)
当たり前の感じがするでしょう?
事実なので使って良いですよ。
ただし、そのことを証明しなさい、という問題では文字を使って証明しなくてはなりません。
それとここでは減点対象にならないように、
説明の頭に「自然数 \(n\) を用いて」と書きましたが、
「 \( n\,,\,n+1\,,\,n+2\) を\(\,3\,\)連続自然数」
とおいた時点で \(n\) は自然数と分かるのですが、
この程度の証明問題では抜けがないようにしておいた方が無難なので書いておきました。
もう少しだけ例を見ておきましょう。
例\(\,1\,\)
「\(\,2\,\)つの奇数の和は偶数になる。訳を説明せよ。」
\(\,2\,\)つの連続する奇数ではありませんので、この場合は文字を\(\,2\,\)つ使って表さなければなりません。
整数\(\,m\,,\,n\,\)を用いて\(\,2\,\)つの奇数を
\(\,2m+1\,,\,2n+1\,\)
と表すとこの奇数の和は
\(\hspace{10pt}(2m+1)+(2n+1)\\
=2m+2n+2\)
これはすべての項が偶数なので\(\,2\,\)つの奇数の和は偶数である。
例\(\,2\,\)
「\(\,2\,\)つの偶数の積は\(\,4\,\)の倍数である。訳を説明せよ。」
整数\(\,m\,,\,n\,\)を用いて\(\,2\,\)つの偶数を
\(\,2m\,,\,2n\,\)
と表すとこの偶数の積は
\(\hspace{10pt}(2m)\times (2n)\\
=4mn\)
\(\,mn\,\)は整数なので\(\,4mn\,\)は\(\,4\,\)の倍数である。
よって\(\,2\,\)つの偶数の積は\(\,4\,\)の倍数である。
例\(\,3\,\)
「連続する\(\,5\,\)つの整数の和は\(\,5\,\)の倍数となる。訳を説明せよ。」
整数\(\,n\,\)を用いて連続する5つの整数を
\(\,n-2\,,\,n-1\,,\,n\,,\,n+1\,,\,n+2\,\)
と表すとこの連続する\(\,5\,\)つの整数の和は
\(\hspace{10pt}(n-2)+(n-1)+n+(n+1)+(n+2)\\
=n-2+n-1+n+n+1+n+2\\
=5n\)
\(\,n\,\)は整数なので\(\,5n\,\)は\(\,5\,\)の倍数である。
よって、連続する\(\,5\,\)つの整数の和は\(\,5\,\)の倍数となる。
\(\,3\,\)年になるともっと面白い関係が出てきます。
数字を文字式を使って表す表し方をしっかり覚えて、楽しみにしておいてください。
一般的な数字を文字式に換えるだけ
このように、文字を有効に使うには、
条件の数字を文字で表す方法
を覚えておくしかありません。
逆に、
文字式で数字が表すことが出来れば
ほとんどの問題はものすごく簡単に見えるはずです。
「説明せよ」の問題が苦手というのは、日本語を数学の言葉に置きかえることが出来ていないだけです。
ちょっとした図形がらみの応用問題は「図を書く」という作業が必要になりますが、
倍数の証明などは文字式に変えられるか、それだけですね。
⇒ 中学数学で使う文字式の一覧(奇数や偶数などの整数の表し方)
数学の言葉を覚えて、証明問題や規則性問題を簡単に攻略してください。
式の計算の復習はまとめページからできます。
\(\,3\,\)年の式の計算より簡単に見えますが、\(\,2\,\)年の方が大切な基本をたくさん含んでいますよ。