各けたの数を入れ変えるなどの連立方程式の文章問題を解くポイントと利用方法です。
十の位と一の位を入れかえた数ともとの数との関係を連立させる文字式の基本の確認になります。
方程式の解は代入して方程式を成り立たせる、ということから復習しておきましょう。
文章問題を解くときの共通ポイント
数学の文章問題は日本語から数学の言葉への書き換えです。
連立方程式でも例外ではありません。
連立方程式が解けるようになると、わからない、求めたいものを文字で2つ以上設定できるようになるので便利にはなりますが、問題の中の条件をしっかり読み取ることが重要になります。
数学の言葉は世界共通ですから、教科書でも数学の言葉は復習しておいてください。
⇒ 中学数学で使う文字式の一覧(奇数や偶数などの整数の表し方)
文字式も非常に重要ですよ。
ここでは係数が文字で与えられた連立方程式の係数を決定する問題から解いて行きましょう。
方程式の解とは何かが、理解できていれば問題はありません。
方程式の解は方程式に代入して成り立つ値
問題です。
(1)連立方程式
\( \begin{cases} 3x+y=-6 \\ ax+y=4a \end{cases}\)
の解が
\( x=b , y=18\) であるとき \( a\,,\,b\) の値を求めよ。
これは方程式の解というものを理解しているかの確認問題です。
解とは、方程式を満たすもの、なので
方程式でも、連立方程式でも、解であれば代入して成り立つはずです。
ここでも解である \( x=b , y=18\) を代入しましょう。
\( \begin{cases} 3\times (b)+(18)=-6 \\ \\ a\times (b)+(18)=4a \end{cases}\)
見やすくすると
\( \begin{cases} 3b+18=-6 & (1) \\ \\ ab+18=4a & (2) \end{cases}\)
この解を代入した(1)(2)の連立方程式を解けばいいのです。
(1)から \( b\) が直接求まります。
それを(2)に代入すれば、\(a\) が求まります。
(1)から
\(\begin{eqnarray}
3b+18&=&-6\\
3b&=&-6-18\\
&=&-24\\
b&=&-8
\end{eqnarray}\)
これを(2)に代入すると、
\(\begin{eqnarray}
ab+18&=&4a\\
a\times (-8)+18&=&4a\\
-8a+18&=&4a\\
-8a-4a&=&-18\\
-12a&=&-18\\
\displaystyle a&=&\frac{18}{12}\\
&=&\frac{3}{2}
\end{eqnarray}\)
答えです。
\(\displaystyle \underline{ a=\frac{3}{2} , b=-8 }\)
元の連立方程式から \( y\) を消去して、
などと余計なことを考えるとややこしくなるので、
解が分かっているなら先ず代入しましょう。
「2次方程式」を解く場合でも、方程式のすべてで同じです。
「解」=「代入して成り立つ」です。
各けたの数を入れかえた関係を文字式で表す良くでる問題
2桁(けた)の自然数や3桁の自然数を文字で表すことは良くあります。
その関係が日本語で書かれたものを数式にかえるだけなのですが、慣れていないと難しく感じます。
また,十の位の数字と一の位の数字を入れかえるともとの数より\(\,18\,\)大きくなるという。
もとの自然数を求めよ。
2けたの自然数をどう表すかが問題です。
1次方程式の文章題を解くときにも同じことをしていますが、
求めたいもの、分からないものを文字でおくというのが数学(文章題)の基本です。
2けたの自然数とは、例えば\(\,53\,\)を考えてみると、
十の位が\(\,5\,\)で,一の位が\(\,3\,\)です。
これから\(\,53\,\)を作ろうと思ったら、
十の位の数字を\(\,10\,\)倍して、一の位を\(\,1\,\)倍して足せば、
\(5\times 10+3\times 1=53\)
と2けたの自然数ができます。
(これが10進法ですね。)
同じように考えると、
十の位を \( \color{red}{ x}\)
一の位を \( \color{blue}{ y}\)
とおくと、その自然数は、
\(10\color{red}{x}+\color{blue}{y}\)
と表すことができます。
一方程式の場合は文字が2つあると方程式は解けませんでしたが、
連立方程式が解けるようになると、
「分からないものを2つまで文字でおける」
ということです。
(文字が3つになっても同じように文字を消去していけば解けるのですが今は考えなくて良いです。)
この問題も十の位の数と、一の位の数が分かればいいので、
十の位を \(x\) ,一の位を \( y\) とおきます。
すると、
2けたの数は、\( 10x+y\) となります。
各けたの和は、各くらいの数そのものの和なので
\( x+y\)
です。
これらの関係は、
『その数は各けたの数の和の\(\,4\,\)倍』
つまり
『 \( 10x+y\) が \( x+y\) の4倍』
と問題に書いてあるので、
\( 10x+y=4\times (x+y) ・・・①\)
と一つ方程式が立ちます。
連立方程式の文章題には条件が2つある
文字が2つあるので、式も2つあれば連立方程式として求めることができます。
そのためもう一つ式を立てなければなりませんが、
条件が問題に必ず与えられています。
もしなかったら解けるはずがありません。
※
整数(自然数)という条件があればそれは\(\,1\,\)つの条件ですので、調べつくすという方法が有効になる場合があります。
問題には『十の位と一の位の数字を入れかえると、元の数より\(\,18\,\)大きくなる』とあります。
元の数は
\(10\color{red}{x}+\color{blue}{y}\)
で、この数の十と一の位の数を入れかえてできる数は、
\( 10\color{blue}{y}+\color{red}{x}\)
です。
この2つの数の関係を考えると、
『 \(10y+x\) は \( 10x+y\) より\(\,18\,\)大きい』
ので、
\( 10y+x=(10x+y)+18 ・・・②\)
この\(\,+18\,\)を どっちに加えれば良いか分からないという人がいますが、
\( 10y+x=10x+y\)
としてみるとどっちが大きいですか?
入れかえた数 \( 10y+x\) の方が大きい。
ということは、左辺の方が大きいので右辺に18を足さないと釣り合わない。
\(10y+x=(10x+y)+\color{red}{18}\)
で良いのです。
(「左辺から\(\,18\,\)引く」でも良いですけどここでは足しておきます。)
①②を連立させると、
\( \begin{cases} 10x+y=4(x+y) \\ \\ 10y+x=10x+y+18 \end{cases}\)
これを解いて、 \( x=2 , y=4\)
(計算は自分でしてみて下さい。)
これが答えではありません。
問題が聞いているのは「元の自然数」です。
答え \(\,\underline{ 24 }\,\)
問題が何を聞いてきているのか確認して答えを書くように注意して下さい。
せっかく連立方程式まで解けているのに答えが違っていたらもったいないですよ。
すべての問題について同じことがいえます。
答えを書く前には必ず何を答えるのか確認しましょう。
生徒:『できました!』(自信満々)
私:『ふ~ん。で、答えは?』
生徒:『これです!!』(計算結果を\(\,x,y\,\)示して自信満々。)
私:『問題読んだ?』
生徒:『読みました!計算ミスの見直しもしました!!』(まだ、鼻高々)
私:『本当に?』(ここまでしつこく聞いたら普通怪しむだろ!)
生徒:『はい!』
私:『問題は何を求めろって?』
生徒:問題文を読み直して最後の1行で、『あ!!!』
入塾間もない生徒との良くある授業中の風景です。
気をつけましょうね。
連立方程式のポイント
連立方程式の文章題には条件が必ず2つあります。
それを読み取り方程式を2つ作れるかどうかだけです。
後はミスなく計算できて、問題にあった答えを書く。
方針は1つだし、むずかしくはありません。
ただ、入試の文章題は長くなってきているのであきらめてしまう人が多いですが、必要なところをしっかり読み取り、条件として書き出していくようにしましょう。
\(\,1\,\)つでも条件が抜き出せれば、その後はすんなりいくことも多いですよ。
文章題では小数や分数が混じります。
⇒ 小数や分数が係数にある連立方程式をはやく解く解き方のコツ
要領よく解くポイントはおさえておきましょう。
次は速さの問題をやってみましょう。
⇒ 連立方程式(代金と速さの文章問題の解き方)と線分図の利用
問題を簡単にするためのポイントになる、やるべきことがあります。