近似値とは測定した値が誤差を含んで表された数値すべてのことをいいます。
誤差の大きさと真の値の範囲の表し方を中学1年資料の整理・活用の範囲で説明しておきます。
理論的な数値と確定した数は有効数字が無いということから始まるので有効数字から見ておくと良いです。

近似値とは?

近似値とは、ある値(真の値)に近い数字に置きかえた数値のことです。

例えば、ある長さを\(\,1\,\mathrm{mm}\,\)単位の定規で測ったとします。
測定した結果、\(\,\mathrm{4.2\,mm}\,\)だったとしましょう。

理科で知っていると思いますが測定は最小メモリの\(\,10\,\)分の\(\,1\,\)まで読み取ります。
そしてこの読み取り値は不確かな数値です。

これって本当に\(\,4.2\,\mathrm{mm}\,\)なのでしょうか?
 \(\,4.18\,\mathrm{mm}\,\) かもしれないし、\(\,4.23\,\mathrm{mm}\,\) かもしれない、
もっといえば、
 \(\,4.20001\,\mathrm{mm}\,\) 
といくら精密な定規を使っても本当の長さは測定できません。

このように測定した値はどこまでも正確に測ることはできません。
この不正確な数値を有効な数字として、けた数を切って表した数値を『近似値』といいます。

つまり、近似値とはおおよその数値のことです。

「丸める」とか、どうでも良いので近似値とは測定値に使う有効数字を持った値、と考えておけば良いです。

真の値と誤差

本当の長さや重さのことを『真の値』といいます。
簡単に言えば理論的な数値です。

実際にはいくら厳密に測定しても精度に限度があるので真の値を測定することはできません。
本当の値があるとして、それを『真の値』といいます。

そして、真の値と近似値とのずれを『誤差』といいます。

 \(\,\color{red}{(誤差)=(近似値)-(真の値)}\,\)

誤差は近似値のけた数で変わってきます。

有効数字のない値

「確定した数」の有効数字に関して質問がよくありますが、「確定した数」には有効数字はありません。

例えば、人数や個数です。
\(\,1\,\)人や\(\,1\,\)個に使う\(\,1\,\)は、
\(\,1.00000000\cdots\,\)といつまでも有効数字が途切れることはない、確定した値です。

確定した値には有効数字は考えなくて良いので、有効数字は他の測定値に従ってください。

真の値の範囲と誤差の大きさの表し方

誤差は、近似値と真の値との差
 \(\color{red}{(誤差)=(近似値)-(真の値)}\)
です。

誤差を求めてみましょう。
単に引き算すれば良いだけですよ。

問題です。

 \(\,5323\,\)人を\(\,5300\,\)人と表したとき、誤差の絶対値は何人か答えなさい。

絶対値とありますが大きさを求めれば良いのです。
 
 \(5323-5300=\underline{ 23 (人) }\)

問題に「絶対値」と書いてあるのは、誤差が負の数で出てきたときの場合も含めて書いてあるだけです。

誤差は、近似値から真の値を引けば
 \(5300-5323=-23\)
となりますが、誤差はその「絶対値」の
\(|-23|=\underline{ 23 (人) }\)
と答えなさいということです。

誤差に\(\,\pm\,\)があるということを確認したところで、近似された値の範囲を求めておきましょう。

近似値\(\,55\,\)がある。この測定値の真の値\(\,a\,\)の範囲を表しなさい。
また、誤差の大きさの絶対値はいくら以下か求めなさい。

わかりにくいです。
要は、何から何までが四捨五入して近似値\(\,55\,\)になるか、ということです。

近似値が\(\,55\,\)ということは小数第\(\,1\,\)位を四捨五入して\(\,55\,\)になっているので、
\(\,54.4≒\color{red}{54}\,\)や\(\,55.5≒\color{red}{56}\,\)は範囲に無いということです。

では小さい方はいくならまで小さくできるのか?
 \(\,54.5\,\)は四捨五入すると\(\,\color{blue}{55}\,\)になるので範囲です。
 \(\,54.4999\cdots\,\)は小数第\(\,1\,\)位を四捨五入する\(\,\color{red}{54}\,\)です。

つまり小さい方は\(\,54.5\,\)以上なら近似値が\(\,\color{blue}{55}\,\)です。

 \(\color{red}{54.5\,≦}\,a\)

今度は上限を考えてみます。

だいたい\(\,55.5\,\)付近だということはわかります。

 \(\,55.4\,\)は近似値\(\,\color{blue}{55}\,\)です。
 \(\,55.45\,\)は近似値\(\,\color{blue}{55}\,\)です。
 \(\,55.5\,\)は近似値\(\,\color{red}{56}\,\)です。

しかし、\(\,54.9999\cdots \,\)は近似値\(\,55\,\)です。
つまり、\(\,55.5\,\)未満であれば\(\,55.5\,\)は含まないので近似値が\(\,55\,\)になります。
不等号で表すと
 \(\,\color{red}{54.5\,≦}\,a\,\color{blue}{<\,55.5}\,\)
この範囲のどこかにある真の値\(\,a\,\)に対し、\(\,55\,\)と近似しているので、

誤差の絶対値は \(\,|\,a-55\,|\,\) です。

最大誤差は\(\,a\,\)が\(\,54.5\,\)にあるときなので
 \(|54.5-55|=0.5\)

誤差の絶対値は\(\,\underline{ 0.5\,以下 }\)です。

(\(\,55.5\,\)は含まないので\(\,54.5\,\)の方が誤差が大きいですが、気にしなくて良いです。)

この最大誤差は近似値の最小桁\(\,1\,\)の半分になります。
 \(1\div 2=0.5\)

近似値\(\,5.5\,\)がある。この測定値の真の値\(\,a\,\)の範囲を表しなさい。
また、誤差の大きさの絶対値はいくら以下か求めなさい。

慣れていないうちは近似値\(\,55\,\)のときと同じように上限と下限を探すと良いです。
\(\,55.5\,\)が近似値なので小数第\(\,2\,\)位を四捨五入するので、
 \(\,55.45\,\)以上なら四捨五入して\(\,55.5\,\)
 \(\,55.55\,\)未満なら四捨五入して\(\,55.5\,\)

よって真の値は\(\,a\,\)が存在している可能性がある範囲は
 \(\,\underline{ 55.45\,≦\,a\,<\,55.55 }\,\)

誤差の最大は近似値\(\,55.5\,\)に対して、真の値が\(\,55.45\,\)だったときで
 \(\,|55.5-55.45|=0.05\,\)

 \(\,\underline{ 0.05 以下 }\,\)

この最大誤差も近似値の最小桁になる小数第\(\,1\,\)位\(\,0.1\,\)の半分
 \(\,0.1\div 2=\underline{ 0.05 }\,\)
となります。

近似値\(\,0.55\,\)がある。この測定値の真の値\(\,a\,\)の範囲を表しなさい。
また、誤差の大きさの絶対値はいくら以下か求めなさい。

同じように四捨五入するのは小数第\(\,3\,\)位です。
 \(\,0.545\,\)以上で近似値\(\,0.55\,\)
 \(\,0.555\,\)未満で近似値\(\,0.55\,\)

近似値が\(\,0.55\,\)になる真の値\(\,a\,\)の範囲は
 \(\,\underline{ 0.545\,≦\,a\,<\,0.555 }\,\)
 
誤差の最大は真の値が\(\,0.545\,\)のときで
 \(\,|\,0.55-0.545|\,=\,0.005\,\)

 \(\,\underline{ 0.005 以下 }\,\)

このときも近似値の最小桁となる小数第\(\,2\,\)位\(\,0.01\,\)の半分で
 \(\,0.01\div 2=\underline{ 0.005 }\,\)
と求めても良いです。

少しは慣れてきたと思いますが、
近似値が指数で与えられたときの真の値の範囲を\(\,1\,\)つだけ見ておきます。

近似値\(\,5.5×10^3\,\)がある。この測定値の真の値\(\,a\,\)の範囲を表しなさい。
また、誤差の大きさの絶対値はいくら以下か求めなさい。

指数のまま考える方法と、指数をなくして考える方法、どちらでも良いです。

まずは慣れてきた指数をなくした形で見てみましょう。

 \(\,5.5\times 10^3=5500\,\)

近似値が\(\,5500\,\)のときの真の値の範囲です。
有効数字\(\,2\,\)桁で表されていたので上から\(\,3\,\)つめの\(\,10\,\)の位を四捨五入しています。

整数なので分かり易いでしょう。
\(\,10\,\)の位を四捨五入して\(\,5500\,\)になるのは
 \(\,5450\,\)以上で近似値\(\,5500\,\)
 \(\,5550\,\)未満で近似値\(\,5500\,\) 

 \(\,\underline{ 5450\,≦\,a\,<\,5550 }\,\) 

誤差の大きさの絶対値は \(\,\underline{ 50\,以下 }\,\)

指数のまま見ても同じです。
指数の部分\(\,\times 10^3\,\)をそのままで、前の数字だけを範囲で区切ればいいので、

 \(\,\underline{ 5.45\times 10^3\,≦\,a\,<\,5.55\times 10^3 }\,\)

誤差の最大も指数のままでも出せます。
 \(\,|5.5\times 10^3-5.45\times 10^3|=\underline{ 0.05\times 10^3 以下}\,\)

問題集の答えなどには、問題は指数で、答えが整数、などと統一されないものもあります。
今後を考えると有効数字を活かすためには指数の形で表すのが良いですが、
教科書には細部にわたって触れていないので、高校に進んでから詳しくやれば良いでしょう。

資料ではここに出てきていない基本用語もありますが高校入試を目的にするなら

⇒ 度数分布表とは?階級の幅と階級値およびヒストグラム

度数分布表の読み取りをしっかりできるようになることが先です。

資料だけ取れても合格は遠いでしょうけど、単独で攻略できる単元は少ないので確実に得点しておきましょう。

中学数学の用語や攻略法は

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