2018年(平成30年度)に福岡県で行われた公立高校入試の数学問題と解説です。
過去問解説としては数学のみになりますが参考にしてください。
会員だけじゃなくて、一般に見てもわかるように一つひとつ解説をしていますので長くなっていますが読み飛ばすと大切なポイントが抜けますよ。

問題は福岡県の公式サイトにもあります。

⇒ 2018福岡県公立入試数学問題

内容を見ればわかりますが\(\color{black}{\fbox{1}}\)から\(\color{black}{\fbox{6}}\)まであります。

まずは\(\color{black}{\fbox{1}}\)の解説です。

正負の数と文字式と無理数の計算

(1)正負の数の足し算とかけ算の混じった計算です。
計算順序は算数と同じで、かけ算割り算が先です。

 \(\hspace{10pt}11+2\times (-7)\\
=11+(-14)\\
=11-14\\
=\underline{-3}\)

もちろん慣れてきたら、

 \(\hspace{10pt}11+2\times (-7)\\
=11-14\\
=-3\)

で良いですよ。
ただ、一気に暗算してミスしないようにしましょう。
 
(2)文字式の展開と同類項の整理です。

 \(\hspace{10pt}2(3a+4b)-(2a-b)\\
=6a+8b\color{red}{-2a+b}\\
=\underline{4a+9b}\)

計算ミスを減らす注意点は一つだけ、2行目を省略しないことです。


会員はミスを減らす計算方向を決めていると思いますが、
問題間のすき間が小さいので問題用紙の空きをうまく使ってミスのないように解いて行くと良いです。

(3)無理数の計算です。

有理化と素因数分解をしっかりやれば問題ありません。
ルートの中は素因数分解してできるだけ簡単にすることは問題に書いてありますから、注意することでもありませんね。

一気にやっても良いのですが有理化と素因数分解を分けてやります。

前半の有理化部分です。

 \(\displaystyle\hspace{10pt} \frac{12}{\sqrt{6}}\\
\displaystyle =\frac{12\color{red}{\times \sqrt{6}}}{\sqrt{6}\color{red}{\times \sqrt{6}}}\\
\displaystyle =\frac{12\sqrt{6}}{6}\\
=2\sqrt{6}\)

後半のルートの中をできるだけ小さくする部分は

 \(2\,\underline{)\hspace{10pt}96 }\\
2\,\underline{)\hspace{10pt}48 }\\
2\,\underline{)\hspace{10pt}24 }\\
2\,\underline{)\hspace{10pt}12 }\\
2\,\underline{)\hspace{14pt}6 }\\
\hspace{24pt}3 \)

と素因数分解できるので

 \(\hspace{10pt}\sqrt{96}\\
=\sqrt{2^2\times 2^2\times 2\times 3}\\
=2\times 2\times \sqrt{6}\\
=4\sqrt{6}\)

慣れてくると一気にルートの中を簡単にしたくなりますが、
計算ミスないように気をつけてください。

間違えていると後で引き算できなくて気がつくのですが、時間がムダに過ぎてしまうので確実に素因数分解することをおすすめします。
ただし、3行目は省略できるように練習はしておきましょう。

では答えを出しておきましょう。
試験の時、実際はこの二つはつなげて計算しています。

 \(\displaystyle \hspace{10pt} \frac{12}{\sqrt{6}}-\sqrt{96}\\
\displaystyle =\frac{12\sqrt{6}}{6}-4\sqrt{6}\\
=2\sqrt{6}-4\sqrt{6}\\
=\underline{-2\sqrt{6}}\)

ルートの中が同じときだけルートの前の数の足し算引き算ができるのですよ。
文字式の係数と同じ扱いしたら良いんですよ。

1次方程式と2次方程式

(4)1次方程式では文字の項を左辺に集めて、定数項を右辺に集めて、という処理で慣れていると思います。
あれこれ考えるより、その方針で突き進みましょう。

 \(\begin{eqnarray}
2x\color{blue}{+8}&=&\color{red}{5x}-13\\
2x\color{red}{-5x}&=&-13\color{blue}{-8}\\
-3x&=&-21\\
x&=&\underline{7}
\end{eqnarray}\)

2018の他県の問題ですが移項についての問もありましたのでちょっとだけ説明しておきます。

 \(\begin{eqnarray}
2x\color{blue}{+8}&=&\color{red}{5x}-13\\
2x\color{red}{-5x}&=&-13\color{blue}{-8}
\end{eqnarray}\)

の移項は両辺に同じものを加えているから成り立っているのですよ。

 \(\begin{eqnarray}
2x+8\color{red}{-8}\color{blue}{-5x}&=&5x\color{blue}{-5x}-13\color{red}{-8}\\
2x\color{red}{-5x}&=&-13\color{blue}{-8}
\end{eqnarray}\)

あ、なんかやってて自分で見にくいので一つずつ説明し直します。

両辺に\(\,\color{red}{-8}\,\)を加えて左辺の\(\,+8\,\)を消しています。
そのあとで、両辺に\(\,\color{blue}{-5x}\,\)を加えて右辺の\(\,+5x\,\)を消しています。

最初に定数項を右辺に移項して、後で\(\,x\,\)の項を左辺に移項します。

 \(\begin{eqnarray}
2x+8\color{red}{-8}&=&5x-13\color{red}{-8}\\
2x&=&5x-21\\
2x\color{blue}{-5x}&=&5x\color{blue}{-5x}-21\\
-3x&=&-21\\
\displaystyle x&=&\frac{-21}{-3}=7
\end{eqnarray}\)

(5)1次方程式とは違って2次方程式の場合は、左辺にすべての項を集めて右辺を\(0\)として解くのが普通です。

 \(\begin{eqnarray}
x(x+6)&=&3x+10\\
x(x+6)-3x-10&=&0\\
x^2+6x-3x-10&=&0\\
x^2+3x-10&=&0
\end{eqnarray}\)

2次方程式を解くときは因数分解を最初に試みると良いです。
文章題では整数解が多くなるので特にです。

因数分解の最初は共通因数の抜き出しですが、2次式の場合は定数項に着目です。

定数項\(\,-10\,\)の\(\,10\,\)というのは

 \(\color{black}{\fbox{1×10}}\) \(\color{red}{\fbox{2×5}}\)

という組み合わせしかなくて、定数項がマイナスなのでどちらかはマイナスで
\(\,x\,\)の1次の項の係数が\(\,+3\,\)になるのは一つだけです。

 \(x^2+3x-10=(x-2)(x+5)\)

だから

 \(\begin{eqnarray}
x^2+3x-10&=&0\\
(x-2)(x+5)&=&0\\
x&=&\underline{2\,,\,-5}
\end{eqnarray}\)

解の公式でもでますけど、いつもやってたら時間が足りないですよ。 

空間図形のねじれの位置

「ねじれの位置」にあるとは、
直線どうしが平行でもなく、交わりもしない位置関係にあることをいいます。

平行でないということは見抜きやすいですが、
交わりを持たない、という部分の誤解が少しあるようです。

「直線」というのはずっと続くものです。

用語の確認は『覚え太郎』でしっかりやっておいてください。

だから、ねじれの位置にあるかどうかは、図形の線分を延長しても交わりを持たないかどうかを見なくてはなりません。
ただし、この問題では単純に見てもねじれかどうかが判断しやすいです。

ここで辺\(\,\mathrm{DE}\,\)とねじれの位置にあるものを探すより、
ねじれの位置にないものを消していった方が分かり易いです。

交わっている辺、平行な辺を消してみました。
残る辺は延長しても辺\(\,\mathrm{DE}\,\)とは交わりません。

 (答え)3本

さいころ2つの確率

二つのさいころの出目の組み合わせは36通りしかありません。
だから36通りの樹形図を書いた方が考える時間よりは早いです。
しかし、さいころ二つの場合は数字を書く回数が減るから表の方が断然はやいです。

さいころはふたつ同時に投げても、ひとつずつ投げても同じですが、ここでは問題にならないのでスルーします。
さいころの出目の積を書いた表を作ってみて下さい。
時間のかからないことを実感すると思います。

それで、他の人が考えている間にも答えが出ていることに気がつきます。
考えて答えを出すより早いということです。

考えてみて下さい。

ふたつのさいころの出目の積が9の倍数になる場合

さいころ\(\,\mathrm{A}\,\)が\(\,1\,\)のときさいころ\(\,\mathrm{B}\,\)が何であっても\(\,9\,\)の倍数にはなりません。
さいころ\(\,\mathrm{A}\,\)が\(\,2\,\)のときさいころ\(\,\mathrm{B}\,\)が何であっても\(\,9\,\)の倍数にはなりません。
・・・
と調べるか、

\(\,\mathrm{A}\,\)が3の倍数、\(\,\mathrm{B}\,\)も3の倍数のときだけ、

というのに気がつくまでにどれくらい時間がかかるかわかりませんが表は1分程度で書けます。
すると答えが出ているんだから表を書いた方がはやいです。

\(\,\mathrm{A}\,\)の出目が桃色(ピンク?)、\(\,\mathrm{B}\,\)の出目は青字、中の黒字が積です。
(\(\,9\,\)の倍数を赤字にしておきます。)

B\(\setminus\)A 1 2 3 4 5 6
1 1 2 3 4 5 6
2 2 4 6 8 10 12
3 3 6 9 12 15 18
4 4 8 12 16 20 24
5 5 10 15 20 25 30
6 6 12 18 24 30 36

\(\,9\,\)の倍数の\(\,\color{red}{18\,,\,36}\,\)を忘れないでください。

たった4つしかありません。
組み合わせは全部で36通りありますが、そのうち4通りが9の倍数なので
 \(\displaystyle \frac{4}{36}=\underline{\frac{1}{9}}\)

なんてはやいんでしょう。笑

問題用紙 \(\color{black}{\fbox{1}}\) には空きが少ないので問題 \(\color{black}{\fbox{2}}\) の下の方に空きがあるのでそこを使うと良いです。

標本調査は比例関係

(8)標本調査は全数を調査することが困難な場合に、一部を調査して、全数に対する比率を推測する調査なので推測でしかありません。

標本調査は問題にも書いてるように、推定することしかできないのです。

標本調査は「一部のデータが全体のデータと比例する」ということを前提にしています。
だから比例式で解けば良いだけです。

 40人中25人が参加したことがある。
 560人中何人が参加したと推定できるか?

という比例から、推定される人数を\(\,x\,\)とすると

 \(\,40:560=25:x\,\)

内項の積は外項の積に等しくなるので、

 \(\begin{eqnarray}
40x&=&560\times 25\\
\displaystyle x&=&\frac{560\times 25}{40}\\
&=&14\times 25\\
&=&350
\end{eqnarray}\)

計算は約分をうまく使いましょう。

よって答えは、「およそ\(\,350\,\)人」となります。

2乗に比例する関数

(9)問題には\(\,x,y\,\)の関係が4つあります。

そのうち\(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例している、つまり\(\,y=ax^2\,\)の形になるものを選んで式にすれば良いだけです。

ア:半径\(\,x\,\)の円周の長さ\(\,y\,\)は?

円の周の長さは半径\(\,r\,\)のとき\(\,\color{magenta}{2\pi r}\,\)なので

 \(\color{red}{y=2\pi x}\)

イ:縦の長さ\(\,x\,\)、横の長さ\(\,y\,\)のときの長方形の周の長さが\(\,8\,\)の関係式は?

長方形には縦と横が2つずつあるので
 \(\color{magenta}{\fbox{長方形の周の長さ=2×(縦の長さ+横の長さ)}}\)

 \(\begin{eqnarray}
2x+2y&=&8\\
x+y&=&4\\
\color{red}{y}&\color{red}{=}&\color{red}{-x+4}
\end{eqnarray}\)

ウ:底辺の長さが\(\,x\,\)、高さが\(\,y\,\)の三角形の面積が\(\,12\,\)である関係式は?

三角形の面積は
 \(\color{magenta}{\fbox{三角形の面積=\(\,\displaystyle \frac{1}{2}\,\)×(底辺)×(高さ)}}\)

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1}{2}xy&=&12\\
xy&=&12\times 2\\
\displaystyle \color{red}{y}&\color{red}{=}&\color{red}{\frac{24}{x}}
\end{eqnarray}\)

エ:底面の1辺の長さが\(\,x\,\)、高さが\(\,6\,\)の正四角すいの体積が\(\,y\,\)となる関係式は?

すい体の体積は柱体の体積の \(\displaystyle \frac{1}{3}\) です。
 \(\color{magenta}{\fbox{すい体の体積= \(\displaystyle \frac{1}{3}\)×(底面積)×(高さ) }}\)

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle y&=&\frac{1}{3}\times x^2\times 6\\
\color{red}{y}&\color{red}{=}&\color{red}{2x^2}
\end{eqnarray}\)

アイウエの中で\(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例しているのはエだけです。

 (答え)エ 関係式 \(y=2x^2\)

「比例定数」という用語は、
 比例 \(y=\color{red}{a}x\)
 反比例 \(\displaystyle y=\frac{\color{red}{a}}{x}\) 
だけではなく、\(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例する、
 \(y=\color{red}{a}x^2\) の場合でもすべての\(\,\color{red}{a}\,\)は比例定数というのは忘れないでおきましょう。

書くほどの問題でもないと感じるかもしれませんが、図を書くと関係式が出しやすいです。
『覚え太郎』会員にはいうまでもありませんね。失敬。

ここまでが \(\color{black}{\fbox{1}}\) です。

⇒ 福岡県公立入試数学問題2018問2

\(\color{black}{\fbox{2}}\) は3の倍数や余りなどの文字式の問題です。

⇒ 福岡県公立高校入試数学過去問の解答解説

福岡県の公立高校入試過去問解説のまとめページで他の問題の解説が確認できます。

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