2018年(平成30年)度に青森県で行われた公立高校入試過去問の数学第5問の解説です。
第5問は1次関数の問題で、非常に文字が多くとっつきにくいですが、
条件を読み取れば表を見て計算するだけなのでものすごく簡単に答えが出ます。
簡単ですがここに手を出す前には時間を確保する準備が必要ですね。

問題は青森県の公式サイトで公開してくれています。

⇒ 青森県2018年公立高校入試数学問題

\(\large{\color{black}{\fbox{ 5 }}}\) 

高速道路の料金と時間との関係を読み取る問題です。
表が与えられていますが、読み取り方を理解すれば見るところは限られてきます。

自宅から祖父の家に行く計画らしいですが関係ありませんので、問題文から消去してもかまいません。

出発地点と目的地の位置関係を見ておきます。

 自宅から高速の出入り口\(\,\mathrm{A}\,\)までは\(\,\mathrm{8\,km}\,\)
 高速の出入り口\(\,\mathrm{J}\,\)から祖父の家までは\(\,\mathrm{8\,km}\,\)
 高速道路と一般道路の並行している部分は同じ距離。
 高速の出入り口は\(\,\mathrm{A}\,\)から\(\,\mathrm{J}\,\)まである。
出入り口の間隔は実際には違いがあって、それが表で示されています。
例えば、
 \(\,\mathrm{A-B}\,\)間は\(\,\color{red}{12}\,\)
 \(\,\mathrm{B-C}\,\)間は\(\,\color{blue}{13}\,\)
 \(\,\mathrm{A-C}\,\)間は\(\,\mathrm{A-B-C}\,\)のことで\(\,\color{red}{12}+\color{blue}{13}=15\,\)
 \(\,\mathrm{E-F}\,\)間は\(\,\color{red}{19}\,\)
 \(\,\mathrm{F-G}\,\)間は\(\,\color{blue}{33}\,\)
 \(\,\mathrm{G-H}\,\)間は\(\,\color{magenta}{27}\,\)
 \(\,\mathrm{E-H}\,\)間は\(\,\color{red}{19}+\color{blue}{33}+\color{magenta}{27}=79\,\)
のように出入り口ごとの距離が示してあります。

隣り合う出入り口間の距離を入れてみました。
こうすれば足し算すれば出入り口間の距離は分かるでしょう?
例えば、
 \(\,\mathrm{D-H}\,\)間は\(\,\mathrm{D-E-F-G-H}\,\)なので
 \(11+19+33+27=90\)

表の値と一致していることを確認しておいてくださいよ。
読み取り練習をしているんだから。

次に問題のルールをこの問題では[条件]として書いてありますので整理しておきましょう。

[条件]
 ① 高速料金\(\,y\,\)は利用距離\(\,x\,\)のとき\(\,y=30x+230\,\)
 (一般道路は無料)
 ② 速さは高速は時速\(\,\mathrm{80\,km}\,\)、一般道路は\(\,\mathrm{40\,km}\,\)
 ③ 高速に入り、出るのはそれぞれ\(\,1\,\)回だけ
(出たり入ったりは繰り返せない。)

ここまでが理解できていれば一気に最後まで行きます。

(1)
一般道路だけでいくので時速\(\,\mathrm{40\,km}\,\)で
 自宅から\(\,\mathrm{A}\,\)までの\(\,\mathrm{8\,km}\,\)と
 \(\,\mathrm{A-J}\,\)の\(\,168\,\)と
 \(\,\mathrm{J}\,\)から祖父の家までの\(\,\mathrm{8\,km}\,\)
を合わせた
 \(\,8+168+8=184\,\mathrm{km}\)
を走るので
 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{184}{40}&=&\frac{23}{5}\\
&=&4+\frac{3}{5} (時間)
\end{eqnarray}\)
分数部分の時間は分に直すと
 \(\displaystyle \frac{3}{5} (時間)=\frac{3}{5}\times 60=36 (分)\)
なので
 (答え) \(\,\underline{ \color{red}{4\,時間\,36\,分} }\,\)

(2)\(\,\mathrm{A-J}\,\)間は\(\,168\,\mathrm{km}\,\)なので
高速料金\(\,y=30x+230\,\)は

 \(\begin{eqnarray}
y&=&30\times (168)+230\\
&=&5040+230\\
&=&\underline{ \color{red}{5270} }
\end{eqnarray}\)

(3)高速料金を\(\,3,200\,\)円以内で『できるだけ早く到着したい。』場合です。


高速の方が速く走れるのでできるだけ高速を使った方がはやく到着します。
だから\(\,3,200\,\)円で利用できる距離の最大値を出しておきます。

\(\,3,200\,\)円使うとするとどれだけの距離を高速で走れるかというと、

 \(\begin{eqnarray}
3200&=&30x+230\\
3200-230&=&30x\\
2970&=&30x\\
99&=&x 
\end{eqnarray}\)

だから\(\,99\,km\,\)までは高速を利用できるので、\(\,\mathrm{99\,km}\,\)区間を利用すれば良いのですがちょうどの区間はありません。

そこで、\(\,\mathrm{99\,km}\,\)以内で最大の区間を表から探す
\(\,\mathrm{B-G}\,\)間の\(\,\mathrm{96\,km}\,\)が最大になるので
 
 (答え) \(\underline{\mathrm{ \color{red}{入口 B 出口 G} }}\)


\(\,\mathrm{B}\,\)から\(\,\mathrm{G}\,\)までの
 \(\,\mathrm{96\,km}\,\)は高速なので時速\(\,\mathrm{80\,km}\,\)

残りは一般道路を走るので、
 自宅から\(\,\mathrm{B}\,\)までの\(\,\mathrm{12+8=20\,km}\,\)

 \(\,\mathrm{G}\,\)から祖父の家までの\(\,\mathrm{60+8=68\,km}\,\)
を合わせた
 \(20+68=\mathrm{88\,km}\)を時速40km
で走るので
 
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{96}{80}+\frac{88}{40}\\
\displaystyle =\frac{96+88\times 2}{80}\\
\displaystyle =\frac{96+176}{80}\\
\displaystyle =\frac{272}{80}\\
\displaystyle =\frac{17}{5}\\
\displaystyle =3+\frac{2}{5} (時間)\)

分数部分の時間を分にすると

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{2}{5} (時間)&=&\frac{2}{5}\times 60
&=&24 (分)
\end{eqnarray}\)

なので \(\underline{ \color{red}{3\,時間\,24\,分} }\)

(4)\(\,\mathrm{H}\,\)さんは一般道路だけで祖父の家に向かい、
\(\,\mathrm{T}\,\)さんは高速道路を使って後から追いかけます。

 \(\,\mathrm{H}\,\)さんがの\(\,\mathrm{C}\,\)を通過したとき、\(\,\mathrm{T}\,\)さんは\(\,\mathrm{A}\,\)から高速道路に乗った。

このときの距離の差は\(\,\mathrm{A-C}\,\)間の\(\,\mathrm{25\,km}\,\)です。

\(\,\mathrm{T}\,\)さんが\(\,\mathrm{H}\,\)さんに追いついた次の出口で\(\,\mathrm{T}\,\)さんは高速を降りるので、
追いつく時間を考えると、
 距離の差が\(\,\mathrm{25\,km}\,\)
 速度差が時速\(\,\mathrm{(80-40)=40\,km}\,\)
なので
 \(\displaystyle \frac{25}{40}=\frac{5}{8} (時間)\)
で追いつく。

このとき進む距離は、
 \(\displaystyle \frac{5}{8}\times 80=50\,\mathrm{km}\,\)

この後にある最初の出口は \(\underline{ \color{red}{\mathrm{E}} }\)

また、
 \(\,\mathrm{A}\,\)から\(\,\mathrm{E}\,\)までの距離は\(\,\mathrm{56\,km}\,\)だから

 \(\displaystyle \frac{56}{80}\times 60=\frac{56\times 60}{80}=\underline{ \color{red}{42 (分)} }\)

\(\,\mathrm{T}\,\)さんが\(\,\mathrm{H}\,\)さんに追いつくまでの時間を速度差で出しましたが、
移動距離で出だしても良いですよ。

\(\,\mathrm{T}\,\)さんが\(\,\mathrm{A}\,\)を走り出してから\(\,x\,\)時間で追いつくとすると
\(\,\mathrm{H}\,\)さんは\(\,\mathrm{A-C}\,\)間の距離\(\,\mathrm{25\,km}\,\)先にいるので、
 \(\,\mathrm{T}\,\)さんの移動距離\(\,80x\,\)

 \(\,\mathrm{H}\,\)さんの\(\,\mathrm{A}\,\)からの距離\(\,40x+25\,\)
が等しくなるとき追いつきます。

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
80x&=&40x+25\\
40x&=&25\\
x&=&\frac{25}{40}=\frac{5}{8} (時間)
\end{eqnarray}\)

と同じ答えが出てきます。

以上です。

日本語が多いですが意味が分かればなんてことはないでしょう?
しっかり読み込む時間を他の問題で稼いでおくようにすると良いですね。

⇒ 青森県公立高校入試2018数学の過去問と解説

\(\large{\color{black}{\fbox{ 1 }}}\) からどの程度の時間が必要か練習し直しておくと良いです。

⇒ 青森県公立高校入試2019年(平成31年)度の数学問題と解説

\(\,2019\,\)年度の難易度と傾向は同じですね。

⇒ 全国の公立高校入試 数学過去問の解答解説

他県の問題でも全国的な傾向として、
日本語が多い問題、ルールを読み取るのに時間が必要な問題は増えています。

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