2次方程式の解の求め方のポイントをお伝えします。
解の公式については「覚える」で良いですが導き方をふた通り示しておきます。
2次方程式は解が2つあるのが普通ですが、問題文の条件によって文章題では解が1つに絞られることもあります。
方程式が解けるようになれば文章題は方程式を立てることだけが目的になります。
2次方程式の解き方
2次方程式を解く練習は学校で十分にやっているでしょう。
このサイトでも別にやりますので、ここでは注意点を挙げておきます。
\(\,2\,\)次方程式でやることは、先ず解を求める方法、つまり、「2次方程式を解く」方法を覚えることです。
「方程式の解を求めること」と「方程式を解く」というのは同じ意味ですよ。
「解の公式」が中学の教科書に復活しましたので、すべての\(\,2\,\)次方程式は解の公式を使えば解けます。
解の公式が復活したことで平方完成型の役割が減ったので楽になった分、答が複雑なものも増えました。
解の公式を覚えていればすべての2次方程式を機械的に解くことができるからです。
ただ、
「解の公式」を覚えたとしても、すべてを解の公式で解くのは得策ではありません。
時間がかかりすぎるからです。
方程式を解く方法と練習は別にするとして、
ここでは\(\,2\,\)次方程式の解の公式の導き方を教科書的な方法と、少し工夫した方法の二通りを書いておきます。
2次方程式の解の公式の導き方
\(\,2\,\)次方程式 \( ax^2\,+\,bx\,+\,c\,=\,0\) の解は
\(\Large{\color{red}{x=\frac{ -b \,\pm \,\sqrt{\,b^2-4ac\,} }{2a}}}\)
となります。
解の公式導き方その1
教科書の方法でていねいに導いて見ます。
\(\begin{eqnarray}
ax^2+bx+c&=&0 \\ \\
a\left(x^2 +\displaystyle \frac{b}{a}x\right )+c&=&0 \\
a\left\{ \left(x +\displaystyle \frac{b}{2a}\right)^2 – \displaystyle \frac{b^2}{4a^2}\right\}+c&=&0 \\
a\left(x +\displaystyle \frac{b}{2a}\right )^2 – \displaystyle \frac{b^2}{4a}+c&=&0\\
a\left(x +\displaystyle \frac{b}{2a}\right )^2 &=& \displaystyle \frac{b^2}{4a}-c\\
a\left(x +\displaystyle \frac{b}{2a}\right )^2 &=& \displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}\\
\left(x +\displaystyle \frac{b}{2a}\right )^2 &=& \displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a^2}\\
x +\displaystyle \frac{b}{2a} &=& \pm \sqrt{\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a^2}}\\
x +\displaystyle \frac{b}{2a} &=& \pm \displaystyle \frac {\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\
x &=& -\displaystyle \frac{b}{2a} \pm \displaystyle \frac {\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\
x&=&\displaystyle \frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{eqnarray}\)
もちろん「2次方程式」なので
\( a \neq0\)
としています。
もう一つ、分数の処理が苦手な人向けに別の方法を示しておきます。
解の公式の導き方その2
2次方程式の両辺に \(\color{red}{4a}\) をかけてから処理するんです。
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
ax^2+bx+c&=&0 \\
\underline{\color{red}{4a}^2x^2+\color{red}{4a}bx}+\color{red}{4a}c&=&0 \\
\underline{(2ax+b)^2-b^2}+4ac&=&0 \\
(2ax+b)^2&=&b^2-4ac \\
2ax\color{blue}{+b}&=&\pm \sqrt{b^2-4ac} \\
2ax&=&\color{blue}{-b} \pm \sqrt{b^2-4ac} \\
x&=& \frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{eqnarray}\)
少しは楽じゃないですか?
どっちでもいいですが、導くことより「覚えて、使える」ことが先でいいですよ。
場合によっては便利な解の公式
解の公式は全ての2次方程式を解くことができます。
(いずれの話ですがルートの中がマイナスになろうが使えます。)
ただ、解の公式を使うと時間かかかるなあ、と感じたことはあるでしょう。
そのうちの1つに1次の係数が偶数の場合があります。
\(\hspace{10pt}\color{red}{a}\,x^2+2\,\color{blue}{b’}\,x+\color{magenta}{c}=0\)
このときの解の公式は(計算すれば出るので省略しますが)、
\(\hspace{10pt}\displaystyle x=\frac{-\color{blue}{b’}\pm \sqrt{(\color{blue}{b’})^2-\color{red}{a}\,\color{magenta}{c}}}{\color{red}{a}}\)
\(\,2\,\)とか\(\,4\,\)が消えてすっきりしています。
1次の係数が偶数の場合の計算は良くありますので、
余裕があれば覚えておくと良いですよ。
文章題を解くとき解の公式は最終手段
解の公式は便利ですが、教科書にある2次方程式の解き方を先ず覚えて下さい。
平方根型、共通因数を抜き出して解く方法、因数分解して解く方法などです。
何度も繰り返しておいて下さい。
1番利用が多いのは、因数分解型の解き方です。
と、言うのも、文章題ではほとんどが因数分解できるように問題が作られます。
人数とか、整数以外ないですからね。
そして、因数分解型の\(\,2\,\)次方程式の解き方が1番簡単です。
しかし、定期テストでは因数分解型ばかりでなく他の解き方の問題も多く出題されるので、力を入れるのは因数分解型以外の解き方です。
文章題では、数学の基本通り文字を使って、文章の条件通りに式を立てます。
(数学では「方程式を立てる」と表現します。)
このとき、\(\,2\,\)次方程式とか、\(\,1\,\)次方程式とか気にせず、問題通りに条件を組み立てていくことがコツです。
2次方程式には解が2つあります。
中学生の間は基本的に解が2つあるものが問題になりますが、条件を満たさないものが文章題では出てきます。
そのときは、
「適さない解」
として答えから省くことを忘れないでください。
文章題は日本語で書かれた文章を数学の文章に変える、これは変わりません。
文章題を苦手としている人が多いですが、
日本語を数学の言葉に置きかえて式を立てる
それだけですよ。
⇒ 連立方程式の文章問題を解くポイント(十の位一の位の数を入れかえる)
文章題のコツは連立方程式も同じです。
数学の言葉を大切にしましょう。
因数分解を使って2次方程式を解くことは文章問題では重要ですが、解の公式を具体的に使う練習はしておいた方がいいですよ。
⇒ 2次方程式を平方根と文字の置きかえを利用して解く方法(中3)
因数分解の前に平方根型も練習しておきましょう。