分数の係数や両辺に項がある2次方程式を解く方法と手順です。
中学3年であつかう2次方程式では因数分解が利用できる場合が多いですが、因数分解できるかすぐに見分けることができない場合があります、
係数に小数がある場合もそうですが、文章問題などで立式した方程式が左辺と右辺に文字式(項)がある場合などもそうです。
方程式を解くときには決まった手順があるのでここで確認しておくと良いです。
分数、小数の係数がある2次方程式の解き方
分数や小数が係数にあるときの方程式の解き方は、1次方程式でも同じです。
まずは分母、小数をなくすために両辺に同じ数をかけてしまいましょう。
⇒ 分数や小数が係数にある1次方程式の解き方と練習問題(中学1年)
方程式で分母や小数を残すメリットはないといってもいいくらいですよ。
\(\displaystyle \frac{1}{12}x^2+\frac{1}{2}x-\frac{4}{3}=0\)
分母の最小公倍数「\(\,12\,\)」を両辺にかけます。
すると普通に因数分解できます。
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \color{red}{12}\times \left(\frac{1}{12}x^2+\frac{1}{2}x-\frac{4}{3}\right)&=&\color{red}{12}\times 0\\
\displaystyle \color{red}{12}\times \frac{1}{12}x^2+\color{red}{12}\times \frac{1}{2}x-\color{red}{12}\times \frac{4}{3}&=&0\\
x^2+6x-16&=&0\\
(x+8)(x-2)&=&0\\
x&=&-8\,,\,2
\end{eqnarray}\)
\(\,2\,\)行目は暗算でできるレベルでしょう。
分数係数を含む方程式を見たらすぐに公倍数を両辺にかけましょう。
最小公倍数が一番いいですが、見つけにくいときは公倍数なら何でもいいです。
次も分数係数です。
ややこしそうに見えるけど、最初にすることは同じです。
\(\displaystyle \frac{1}{2}-\frac{1}{3}x=\frac{1}{8}\left(x^2+\frac{1}{3}x\right)\)
分母をなくすために公倍数を両辺にかけましょう。
最小公倍数は「\(\,24\,\)」なので両辺に\(\,24\,\)をかけます。
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \color{red}{24}\times\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}x\right)&=&\color{red}{24}\times \frac{1}{8}\left(x^2+\frac{1}{3}x\right)\\
12-8x&=&3\left(x^2+\frac{1}{3}x\right)\\
12-8x&=&3x^2+x
\end{eqnarray}\)
または最初の公倍数がわかりにくいときは、右辺を展開して
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1}{2}-\frac{1}{3}x&=&\frac{1}{8}\left(x^2+\frac{1}{3}x\right)\\
\displaystyle \frac{1}{2}-\frac{1}{3}x&=& \frac{1}{8}x^2+\frac{1}{24}x\\
\end{eqnarray}\)
としてからでもいいです。
\(12-8x=3x^2+x\)
このように左辺にも右辺にも項があると方程式は解きにくいので、左辺に全部を集めます。
そうすれば今までと同じです。
\(\begin{eqnarray}
12-8x&=&\color{blue}{3x^2+x}\\
12-8x\color{blue}{-3x^2-x}&=&0\\
-3x^2-9x+12&=&0\\
3x^2+9x-12&=&0\\
x^2+3x-4&=&0\\
(x+4)(x-1)&=&0\\
x&=&-4\,,\,1
\end{eqnarray}\)
\(\,4\,\)行目から\(\,5\,\)行目は左辺の共通因数\(\,\color{red}{3}\,\)で両辺を割っていますが、
\(\begin{eqnarray}
\color{red}{3}(x^2+3x-4)&=&0\\
\color{red}{3}(x+4)(x-1)&=&0
\end{eqnarray}\)
のように方程式を解くときは\(\,3\,\)を残す必要はありません。
この\(\,x^2\,\)の係数が必要になるのは関数で少しありますが、方程式を解くこと自体には必要ありません。
左辺と右辺両方に文字式がある方程式の解き方
前の問題でも少し説明しましたが、方程式を解くには左辺に全部を集めた方がわかりやすいです。
特に\(\,2\,\)次方程式は最終的に解の公式が使えるので解けないということがなくなります。
\((x-8)(x+4)=22-x\)
パッと見た目左辺は因数分解された形に見えますが、使えません。
一度展開して左辺にすべての項を集めます。
\(\begin{eqnarray}
(x-8)(x+4)&=&22-x\\
x^2-4x-32&=&\color{blue}{22-x}\\
x^2-4x-32\color{blue}{-22+x}&=&0\\
x^2-3x-54&=&0
\end{eqnarray}\)
ちょっと因数分解の基本に戻ります。
定数項に着目して \(\,54\,\) になるのは、
\(\fbox{ 1 × 54 } \fbox{ 2 × 27 } \fbox{ 3 × 18 } \color{red}{\fbox{ 6 × 9 }}\)
この中で\(\,1\,\)次の項の係数を\(\,-3\,\)にできるのは \(\fbox{ 6 × 9 }\) の組み合わせです。
\(\begin{eqnarray}
x^2-3x-54&=&0\\
(x+6)(x-9)&=&0\\
\end{eqnarray}\)
よって解は、 \(\underline{ x=-6\,,\,9 }\)
後はすべて今までの手順で解けます。
\((2x-3)^2-19=3(x^2-3x)\)
展開して左辺に集めます。
\(\begin{eqnarray}
(2x-3)^2-19&=&3(x^2-3x)\\
4x^2-12x+9-19&=&\color{blue}{3x^2-9x}\\
4x^2-12x+9-19\color{blue}{-3x^2+9x}&=&0\\
x^2-3x-10&=&0\\
(x+2)(x-5)&=&0\\
x&=&-2\,,\,5
\end{eqnarray}\)
次は見た目に手が進まなくなるタイプです。笑
\((x-7)(x-5)+(x-4)(x+4)=1\)
見た目にはめんどくさそうな方程式ですが、式の展開も含めた復習にはいいですよ。
左辺を展開し、項をすべて左辺に集めます。
\(\begin{eqnarray}
(x-7)(x-5)+(x-4)(x+4)&=&1\\
(x^2-12x+35)+(x^2-16)&=&\color{red}{1}\\
x^2-12x+35+x^2-16\color{red}{-1}&=&0\\
2x^2-12x+18&=&0\\
x^2-6x+9&=&0\\
(x-3)^2&=&0\\
x&=&3 (\color{red}{重解})
\end{eqnarray}\)
式の展開は数学のほとんどの項目で使うので、しっかり復習しておきましょう。
⇒ 中学3年の乗法展開公式や因数分解と計算を楽にする利用方法
次も似たような確認問題です。
確認問題
ミスなしに解けるか、自分で解いてみるといいです。
\((2x-1)^2=2x(x+2)+25\)
展開して、左辺にすべての項を集めます。
その後は因数分解できるか試しますが、展開しないと見えてきませんよ。
\(\begin{eqnarray}
(2x-1)^2&=&2x(x+2)+25\\
4x^2-4x+1&=&\color{blue}{2x^2+4x+25}\\
4x^2-4x+1\color{blue}{-2x^2-4x-25}&=&0\\
2x^2-8x-24&=&0\\
x^2-4x-12&=&0\\
(x+2)(x-6)&=&0\\
x&=&-2\,,\,6
\end{eqnarray}\)
展開する、移項する、それだけで簡単に因数分解できて解が求まります。
めんどくさい、けど、やらないと数学の答えは見えてきません。
ここまでが何の迷いもなく解けるようになれば、文章問題はほぼ大丈夫です。
もちろん立式のポイントをしっかり押さえておけば話ですよ。
次は解の公式を利用する2次方程式を解いておきましょう。
割と大学入試でも確認問題として取り上げられるので忘れないようにしておきましょうね。
「解の公式」は使えて当たり前、の世界です。
しかし、文章問題を解ける方が高校入試では重要性が高いです。
ここまでの因数分解できるタイプは確実に処理できるようにしておきましょう。