分数や小数が係数にある1次方程式の問題と効率的な解き方です。
1次方程式は中学1年でやることになっているのでここで説明しますが、ここでやることはすべての方程式で使います。
計算力あるから大丈夫、と変な自信を持ってこれを見逃すといずれ計算が遅いとかミスが多いとかの泣き言をいうことになるかもしれませんよ。
方程式を解くときすべてに通じる方法
方程式は数学をやる限りずっとついてきます。
方程式は数学の文章ですから当たり前ですよね。
ただ、中学1年であつかう方程式は簡単です。
だから小数係数や分数係数の方程式を、
いつまでも係数をそのままあつかう人がいるのも事実です。
簡単なうちは差が出にくいですからいいですよ。
しかし高校の数学をあつかうときに、
もちろん分数でもあつかえる必要はありますが、
小数、分数のまま等式変形をするというのは、計算を遅くし、ミスを繰り返す原因になりやすいです。
試験で時間が足りないといっている人は、
数学ができるできない以前に、とにかく式変形が下手です。笑
せっかく数学で高得点できる可能性があるのにもったいないですよ。
やることは簡単です。
方程式では、分数や小数は真っ先になくす、それだけです。
小数の係数を持つ1次方程式の解き方
次の方程式を解きなさい。
\(0.8x-1.2=0.5x\)
係数に小数がある方程式なので、両辺を\(\,10\,\)倍して、すべての係数を整数にします。
いいですか?
すべての項を\(\,10\,\)倍するんですよ。
\(\begin{eqnarray}
0.8x-1.2&=&0.5x\\
8x-12&=&5x ← \color{red}{すべての項を10倍}\\
8x-5x&=&12\\
3x&=&12\\
x&=&4
\end{eqnarray}\)
この係数を整数にすることを最初にするのです。
気がついたときでも遅くはないですが、最初にやることをクセにしておくと早いです。
ただし、方程式の場合だけです。
単なる式の計算ではやってはだめですよ。
\(\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{2}=1\)
ですが、分数がいやだからと
\(\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{2}\\
=1+1=2\)
とはなりませんから、気をつけてください。
式の計算と方程式では分数の処理が違います。
⇒ 正の数負の数で分数計算が混じった加減乗除の練習問題とポイント
方程式は左辺と右辺が等しいので両辺を同じだけ倍することでつり合ったままでいられるんです。
小数部分だけとか、部分的に\(\,10\,\)倍するというのはダメですよ。
次の方程式を解きなさい。
\(2.6x-0.8=3.3x+1.3\)
これも小数係数を整数係数にします。
両辺10倍すれば、後は今までと同じです。
\(\begin{eqnarray}
2.6x-0.8&=&3.3x+1.3\\
26x-8&=&33x+13 ← \color{red}{すべての項を10倍}\\
26x-33x&=&13+8\\
-7x&=&21\\
7x&=&-21\\
x&=&-3
\end{eqnarray}\)
次の方程式を解きなさい。
\(0.17x-0.6=0.08(x-3)\)
これも整数係数にしますが、\(\,10\,\)倍では小数はなくならないので\(\,100\,\)倍します。
\(\,1000\,\)倍でも良いですができるだけ係数は小さい整数で処理したいので\(\,100\,\)倍です。
\(\begin{eqnarray}
0.17x-0.6&=&0.08(x-3)\\
17x-60&=&8(\color{red}{x-3}) ← \color{red}{(かっこ)の中はそのまま}\\
17x-60&=&8x-24\\
17x-8x&=&-24+60\\
9x&=&36\\
x&=&4
\end{eqnarray}\)
\(\,2\,\)行目の両辺を\(\,100\,\)倍したとき\(0.08\)と\((x-3)\)の両方\(\,100\,\)倍する人がいますが、
それって\(\,100\times 100=10000\,\)倍していることになりますよ。
分数の係数を持つ1次方程式の解き方
次は分数(分母)をなくします。
方程式では分母を消すために、分母の最小公倍数をかけます。
次の方程式を解きなさい。
\(\displaystyle \frac{1}{2}x-1=\frac{2}{3}x\)
分母は、\(\,2\,\)と\(\,3\,\)の\(\,2\,\)つなので、最小公倍数の\(\,6\,\)を両辺(すべての項)にかけます。
すると分母が消えて整数係数の方程式になります。
※
最小公倍数が係数を一番小さな整数にしてくれるので楽ですが、見つけにくいときは公倍数なら何でも良いです。
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1}{2}x-1&=&\frac{2}{3}x\\
\displaystyle \color{red}{6\times}\left(\frac{1}{2}x-1\right)&=&\color{red}{6\times} \frac{2}{3}x\\
3x-6&=&4x\\
3x-4x&=&6\\
-x&=&6\\
x&=&-6
\end{eqnarray}\)
なれてくれば\(\,2\,\)行目は飛ばしていいですが、
すべての項を\(\,6\,\)倍するのを忘れないようにしましょう。
次の方程式を解きなさい。
\(\displaystyle \frac{x-5}{6}=\frac{x-1}{2}\)
これも分数をなくしますが、分子には(かっこ)がついているということを忘れないで下さい。
分母を無くすために両辺を\(\,6\,\)倍します。
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{x-5}{6}&=&\frac{x-1}{2}\\
\displaystyle \color{red}{6\times}\frac{(x-5)}{6}&=&\color{red}{6\times} \frac{(x-1)}{2}\\
x-5&=&3(x-1)\\
x-5&=&3x-3\\
x-3x&=&-3+5\\
-2x&=&2\\
2x&=&-2\\
x&=&-1
\end{eqnarray}\)
次の方程式を解きなさい。
\(\displaystyle \frac{x-3}{2}+\frac{x+1}{3}=3\)
そろそろ同じに見えてきましたか?
これも分数の方程式なので、分母をなくして整数係数にしてしまいしょう。
全体を\(\,6\,\)倍します。
(\(\,2\,\)と\(\,3\,\)の最小公倍数\(\,6\,\)です。)
注意したいのはかけるのは分子で、分子には(かっこ)がついているということです。
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{x-3}{2}+\frac{x+1}{3}&=&3\\
\displaystyle \frac{\color{red}{6}(x-3)}{2}+\frac{\color{red}{6}(x+1)}{3}&=&\color{red}{6} \times 3\\
3(x-3)+2(x+1)&=&18\\
3x-9+2x+2&=&18\\
3x+2x&=&18+9-2\\
5x&=&25\\
x&=&5
\end{eqnarray}\)
分母を無くすとき、分母の最小公倍数をかけますが、最小公倍数でなくても公倍数ならなんでも良いんです。
分数さえなくなれば確実に楽になります。
でも、あまり係数を大きくすると後の計算がたいへんになるので、
出来るだけ最小公倍数をかけるようにした方が良いです。
1ついっておきますが、
人の計算を見て、自分でやった気にならないようにしましょうね。
自分でやってみて、自分で答えまで出せて初めてできる、ということですよ。
移項でミスをするようなら
⇒ 方程式とは?方程式の解と移項とは?基本問題の解き方(中1数学)
で復習しておくと良いです。
次に方程式のちょっとした応用、文章題をやりますが、ここまでの計算が確実に出来るようになってからでないと意味がありません。
このページの内容を読んでいない、または身についていない人はこれから先ずっと数学で時間を無駄にします
ここまでを何度も読んでから、次にとりかかって下さい。
⇒ 1次方程式の文章題 代入して係数を求める問題の解き方のコツ(中1)
確実に計算できるようになれば文章題にどんどんチャレンジしてください。
⇒ 1次方程式で解く食塩水の濃度と混ぜる量問題の解説(中学1年)
⇒ 長方形の周と縦と横の長さの関係問題の解き方 1次方程式(中1)
慣れれば作業が違うだけで、どれも同じに見えてきますよ。