2018(平成30年度)に行われた大阪府立高校の入試数学A問題の過去問解説です。
ここでは問2の解説をします。
問2は方程式、関数、資料の整理、確率、比例定数、直方体の体積などの小問集合です。
一つひとつの問題がつながりを持っていませんので、基本知識さえあれば短時間で終わります。

すべての問題が直接答えになります。
迷うことなくいつも通り処理すれば問題はありません。

問題は大阪府の公式サイトにもあります。

⇒ 2018大阪府公立高校入試数学【A問題】

問2は小問集合で問題数は9問と多いですが、基本問題による総合的な確認になっています。

正と負の基本的な考え方と代入問題

(1)気温差を比べますが、どちらが+か?です。

 屋外の気温 \(\,-3.5\,\)℃
 室内の気温 \(\,15.0\,\)℃

室内の気温は屋外の気温より何度高いか

気温が高い方が+なので、
(数直線でいうと右が+)
室内の気温は何度高いか?と聞かれているので、

 \(\color{magenta}{\fbox{「室内の気温」-「屋外の室温」}}\)

を計算すれば答えです。

 \(\hspace{10pt}15.0-(-3.5)\\
=15.0+3.5\\
=18.5\)

 (答え) \(\,18.5\,\)℃高い

これが「屋外の気温は何度高いか?」と聞かれたら、
 \(\color{green}{\fbox{「屋外の気温」 - 「室内の気温」}}\)
と主語になっている方から差をとります。
 \(\hspace{10pt}-3.5-(+15.0)\\
=-3.5-15.0\\
=-18.5\)
となり、「屋外の気温は-18.5℃高い」となります。
低いか?なら-側にどれだけ差があるかなので逆になります。

正と負の基本的な考え方なので教科書でも見直しておくといいでしょう。

(2)代入は文字に数値を入れることです。

 \(\hspace{10pt}-3a+4\\
=-3\times (-9)+4\\
=27+4\\
=\underline{31}\)

代入するときは(かっこ)をつけて代入するとミスが減ります。
これはこの問題が\(\,a=-9\,\)とマイナスだからではなくプラスの場合でも(かっこ)をつけるようにしておくと良いですよ。

1次方程式の解き方と関数

(3)1次方程式は左辺に文字の項、右に定数項を集めるのが基本です。

 \(\begin{eqnarray}
6x\color{red}{-7}&=&\color{blue}{4x}+11\\
6x\color{blue}{-4x}&=&11\color{red}{+7}\\
2x&=&18\\
x&=&\underline{9}
\end{eqnarray}\)

移項するとなぜ符号は逆になるかは良いですね。

 \(\begin{eqnarray}
6x-7&=&4x+11 ・・・①\\ \\
6x-7\color{red}{+7}&=&4x+11\color{red}{+7}\\
6x&=&4x+11+7\\
6x\color{blue}{-4x}&=&4x\color{blue}{-4x}+11+7\\ \\
6x\color{blue}{-4x}&=&11\color{red}{+7} ・・・②
\end{eqnarray}\)

2行目:両辺に\(\,\color{red}{+7}\,\)を足して左辺の\(\,-7\,\)を消した。
4行目:両辺に\(\,\color{blue}{-4x}\,\)を足して右辺の\(\,+4x\,\)を消した。

その結果が①を移項したときの符号が入れ替わった状態②です。
等しいものを等式の両辺に加えても等号は成り立つからできることですね。

(4)関数の決定です。
\(\,x\,\)と\(\,y\,\)の関係式を作り反比例しているものを選びます。

反比例は
 \(\,\displaystyle \color{red}{y=\frac{a}{x}}\,\)
または
 \(\,\color{red}{xy=a}\,\)
となる関数です。

ア:
毎分\(\,60\mathrm{m}\,\)の速さで\(\,x\,\)分進んだ進んだ道のり\(\,y\,\)
 \(\color{red}{\fbox{速さ×時間=道のり}}\)
なので \(y=60x\)
これは比例です。

イ:
\(\,500\mathrm{mL}\,\)のジュースを\(\,x\,\)人で分けたときの一人分\(\,y\,\)

 \(\displaystyle y=\frac{500}{x}\)

人数\(\,x\,\)が増えれば一人分\(\,y\,\)は減る、という反比例になります。

ここで答えはわかりましたが後の部分も関数にしておきます。

ウ:
\(\,200\,\)枚から\(\,x\,\)枚使った残りの枚数\(\,y\,\)

 \(y=200-x\)

おつりと同じです。1次関数になります。

エ:
\(\,150\mathrm{g}\,\)の容器に\(\,1\,\)個\(\,20\mathrm{g}\,\)のビー玉を\(\,x\,\)個入れる。
容器はビー玉を入れてなくても重さがあるのでビー玉の重さ分増えます。

 \(y=20x+150\)

これも1次関数ですね。

 (答え)イ

ところで1次関数 \(y=ax+b\) の\(\,a\,\)は「傾き」、\(\,b\,\)は「切片」ですが、
比例の\(\,y=\color{red}{a}x\,\)と反比例の\(\,\displaystyle y=\frac{\color{red}{a}}{x}\,\)の\(\,\color{red}{a}\,\)はどちらも比例定数といいますので覚えておきましょう。

資料の整理の基本知識の確認

(5)資料の整理は用語の意味を覚えていなくてはほぼ終わりです。

①これは「階級値」を聞いています。

階級値は幅を持つその階級の真ん中に位置する値になりますが、この問題は推測でも答えは出せますね。w

20以上25未満の階級の階級値は

 \(\displaystyle \frac{20+25}{2}=\underline{22.5}\)

二つの数の真ん中は足して2で割ればでます。

②は相対度数です。

一つの階級の相対度数は、「その階級にある度数の度数合計に対する割合」です。

 \(\,10\,\)以上\(\,15\,\)未満の階級の度数は\(\,6\,\)
 度数合計は\(\,30\,\)

なので相対度数は

 \(\displaystyle \frac{6}{30}=\underline{0.2}\)

相対度数は小数で表します。

 \(\color{magenta}{\fbox{会員チェックポイント}}\)
相対度数の合計は\(\,1\,\)になるのですが、各階級で割り切れない数がある場合はどやって調整するか会員は『資料の整理』基本レポートで確認しておいてください。

2次方程式の解き方と確率の求め方

(6)2次方程式を解くことと、2次方程式の解を求めることは同じです。

2次方程式を解くときの基本は左辺に項のすべてを集めて、右辺を\(\,0\,\)にすることです。
解の公式を使えば必ず求めることができますからね。

⇒ 2次方程式の解の公式の二通りの求め方と文章題の解き方(中学3年)

しかし、解の公式を毎回使うのは非常に効率が悪いです。
まずは因数分解できるかどうかを試してからにしましょう。

 \(x^2+6x+8=0\)

\(\,x^2\,\)の係数が\(\,1\,\)のときは因数分解できる可能性が高いです。

定数項\(\,+8\,\)に注目します。
かけて\(\,8\,\)になる二つの整数の組は
 \(\color{black}{\fbox{ 1×8 }}\) \(\color{red}{\fbox{ 2×4 }}\)
このうち足して\(\,x\,\)の\(\,1\,\)次の係数\(\,+6\,\)になる組を探します。
かけて+8になるのは両方+か両方-です。

足して\(\,x\,\)の\(\,1\,\)次の係数\(\,+6\,\)になるのは\(\,+2\,\)と\(\,+4\,\)の組み合わせなので

 \(\begin{eqnarray}
x^2+6x+8&=&0\\
(x+2)(x+4)&=&0\\
x&=&\underline{-2\,,\,-4}
\end{eqnarray}\)

小問集合では解の公式利用が多いのですが、ここでは因数分解で解が出ました。

(7)確率の基本問題です。

 \(\,\mathrm{A}\,\)と\(\,\mathrm{B}\,\)の箱から一枚ずつ取り出して同じ数字になる確率。

 箱\(\,\mathrm{A}\,\)には  \(\color{black}{\fbox{1}}\) \(\color{black}{\fbox{2}}\) \(\color{black}{\fbox{3}}\)
 箱\(\,\mathrm{B}\,\)には  \(\color{red}{\fbox{1}}\) \(\color{red}{\fbox{3}}\) \(\color{red}{\fbox{5}}\)

組み合わせをすべて書き出してみます。

 \(\begin{eqnarray}
\mathrm{A} &-& \mathrm{B}\\
\color{black}{\fbox{1}} &-& \color{red}{\fbox{1}} ○\\
\color{black}{\fbox{1}} &-& \color{red}{\fbox{3}}\\
\color{black}{\fbox{1}} &-& \color{red}{\fbox{5}}\\
\color{black}{\fbox{2}} &-& \color{red}{\fbox{1}}\\
\color{black}{\fbox{2}} &-& \color{red}{\fbox{3}}\\
\color{black}{\fbox{2}} &-& \color{red}{\fbox{5}}\\
\color{black}{\fbox{3}} &-& \color{red}{\fbox{1}}\\
\color{black}{\fbox{3}} &-& \color{red}{\fbox{3}} ○\\
\color{black}{\fbox{3}} &-& \color{red}{\fbox{5}}\\
\end{eqnarray}\)

\(\,\mathrm{A}\,,\,\mathrm{B}\)が同じ数字になるのは\(\,9\,\)組中丸のついた\(\,2\,\)組だけです。

だから求める確率は \(\displaystyle \underline{\frac{2}{9}}\)

上では組み合わせで両方の数字を書き出していますが、樹形図なら\(\,10\,\)秒程度あれば書き出せますよ。

比例定数の決定

(8)\(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例するときの比例定数の決定問題です。

関数
 \(\,y=\color{red}{a}\,x\,\)は比例
 \(\displaystyle \,y=\frac{\color{red}{a}}{x}\,\)は反比例
でどちらも\(\,\color{red}{a}\,\)を比例定数といいます。

 \(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例するときの関数
 \(\,y=\color{red}{a}x^2\,\)の\(\,\color{red}{a}\,\)も比例定数といいますので忘れないようにしましょう。

 \(y=ax^2\)の比例定数はこのグラフ上の、
 \(\,\color{red}{原点以外の\,1\,点}\,\)
があれば求まります。
原点以外の\(\,1\,\)点さえあればグラフ(\(\,2\,\)次関数)が定まるということです。

 \(\,\mathrm{A}\,(\,4\,,\,5\,)\,\)

を通るので、代入します。

 \(\begin{eqnarray}
5&=&a\times (4)^2\\
5&=&16a\\
\displaystyle a&=&\underline{\frac{5}{16}}
\end{eqnarray}\)

この比例定数、小問集合だから良いけど、関数の総合問題で出てきたらかなりハードな計算が待ってますね。笑

空間の位置関係と直方体の体積

問題の条件を抜き出しておきましょう。

 ・立体\(\,\mathrm{ABCD-EFGH}\,\)は直方体
 ・\(\,\mathrm{AE}=4\,(\mathrm{cm})\,\)
 ・底面\(\,\mathrm{EFGH}\,\)は正方形で\(\,1\,\)辺が\(\,a\,\mathrm{cm}\,\)

①辺\(\,\mathrm{AB}\,\)と平行な辺です。
図のように\(\,3\,\)つの辺が平行になりますが、答えを選ぶ形の問題です。

(答え)エ

②直方体の体積です。
直方体(柱体)の体積は
 \(\color{red}{\fbox{体積=底面積×高さ}}\)
なので底面積を求めます。

底面は\(\,1\,\)辺が\(\,a\,\)の正方形なので、
 \(底面積=\,a^2\,(\mathrm{cm^2})\)

高さは辺\(\,\mathrm{AE}\,\)の\(\,4\mathrm{cm}\,\)なので求める体積は
 
 \(a^2\times 4=\underline{4a^2}\,(\,\mathrm{cm}^3\,)\)

問2はここまでです。

気がついているでしょうか?

実は問1からここまでで配点が\(\,51\,\)点あります。
教科書の基本的なことをおさえておけばここまでで半分とれるということですよ。
\(\mathrm{A}\)問題で受験する人は今すぐ教科書を見直しておきましょう。

今回は説明はさらっと終わらせてしまいましたが、公立入試で満点狙いたいなら

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⇒ 2018年度の大阪府公立入試A問題の数学問3関数と規則性の解説

問3は1次関数の問題ですが、問題の意味をつかもうとしていたら終わっていた、そういう問題です。

⇒ 大阪府公立高校入試数学の過去問と解答解説

更新の確認はまとめページでどうぞ。

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