2018(平成30年度)に大阪府で行われた公立高校入試の数学B問題の解説です。
問1は小問集合で9問ありますが、どれも手順通りやれば難しい問題はありません。
問2以降で日本語が非常に多く読み取りに時間がいるのでここはさっさと終わらせて先に進むと良いです。

問題は大阪府の公式サイトにもあります。

⇒ 2018大阪府公立高校入試数学B問題

正負の数と文字式と無理数の計算問題

(1)正の数と負の数の足し算引き算かけ算割り算の混合計算です。

計算順序は算数とおなじで、かけ算割り算が先です。
符号の-と、演算の-をはっきり区別できていれば問題ありません。

 \(\hspace{10pt}14\div(-7)\color{red}{-}(-3)^2\\
=-2\color{red}{-}(9)\\
=-2\color{red}{-}9\\
=\underline{-11}\)

途中で計算が途切れるので注意しましょう。

 \(14\div(-7)\) と \((-3)^2\) が先ですよ。

 \(-3^2=-(3\times 3)\)

 \((-3)^2=(-3)\times (-3)\)
は違います。

(2)文字式の展開と同類項の整理です。

 \(\hspace{10pt}9a-4b-2(4a-b)\\
=9a-4b-8a+2b\\
=9a-8a-4b+2b\\
=(9-8)a+(-4+2)b\\
=\underline{a-2b}\)

3行目4行目はなくても良いです。
同類項の係数の処理をていねいにやっただけですので慣れている人は省略してもかまいません。
ただ、2行目は省略しないことで計算ミスは減ります。

(3)無理数の展開です。

展開公式
 \(\color{red}{(a+b)^2=a^2+2ab+b^2}\)
を使えば暗算レベルですが、展開してもたいした計算ではありません。

試験時間を考えると暗算できるくらい公式を使い慣れておくと良いですね。

 \(\hspace{10pt}(\sqrt{3}+2)^2\\
=3+4\sqrt{3}+4\\
=\underline{7+4\sqrt{3}}\)

地道に展開したとしても

 \(\hspace{10pt}(\sqrt{3}+2)^2\\
=(\sqrt{3}+2)(\sqrt{3}+2)\\
=\sqrt{3}\times \sqrt{3}+2\sqrt{3}+2\sqrt{3}+2\times 2\\
=3+4\sqrt{3}+4\\
=\underline{7+4\sqrt{3}}\)

展開公式で答えを出して先に進み、検算するとき地道に展開する、という二つの方法で一致させるのが一番確実になります。

有理数と無理数は足すことはできないので、
答えは \(\underline{7+4\sqrt{3}}\) です。

2次方程式と文字式

(4)2次方程式を解きます。

 「2次方程式を解きなさい。」
 「2次方程式の解を求めなさい。」

これらは同じことです。

2次方程式には解を求める公式があります。

 \(ax^2+bx+c=0\)
の解は
 \(\displaystyle \color{red}{x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}}\)

しかし、いつも解の公式を利用するのは時間がかかりすぎるので、因数分解を試してからにすると良いです。
整数の解となる文章題では因数分解できるはずなので解の公式はミスも多くなるし考え物ですよ。

小問集合の2次方程式では解の公式の確認問題が多いですが、
ここでは因数分解できます。

 \(x^2-6x-27=0\)

先ず、定数項\(\,-27\,\)に着目です。
かけて\(\,27\,\)になる整数の組は
 \(\color{black}{\fbox{1×27}}\) \(\color{black}{\fbox{3×9}}\)
かけてマイナスなのでかけられた二つの数字のどちらかがマイナスです。

⇒ 2次方程式の因数分解を利用する解き方のコツと注意点

どちらかにマイナスをつけて、足して\(\,x\,\)の\(\,1\,\)次の項の係数\(\,-6\,\)になるのは
 \(\color{red}{\fbox{3×(-9)}}\)
なので

 \(\begin{eqnarray}
x^2-6x-27&=&0\\
(x+3)(x-9)&=&0\\
x&=&\underline{-3\,,\,9}
\end{eqnarray}\)

解答用紙にカンマ区切りがあるので、
 \(\underline{x=-3\,,\,x=9}\)
と書くことになります。

\(\,-3\,\)と\(\,9\,\)ですが、指定がないのでどちらを先に書いても問題ないでしょう。

(5)文字式の基本中の基本です。

『覚え太郎』会員は文字式一覧表を見直しておくと良いです。

整数\(\,n\,\)を用いて奇数を表す代表的な形が
 \(\,2n-1\,,\,2n+1\,\)
ですが、この問題は四つの中から選ぶ問題です。

ウの\(\,\color{red}{2n+1}\,\)がつねに奇数となります。

\(\,2n\,\)は\(\,2\,\)の倍数、つまり偶数を表します。
偶数に\(\,+1\,\)すると必ず奇数です。

ア:\(n+1\)

 \(n=1\) のとき
 \(n+1\,=\,1+1\,=\,2\)
で偶数です。
「つねに奇数」という場合、一つでも偶数になるものがあればダメです。×

イ:\(\,2n\,\)
 整数\(n\)に何を入れても偶数です。×

エ:\(\,n^2\,\)
 \(\,n=0\,\)のとき
 \(\,n^2=0\,\)で偶数になります。×
(会員にはいうまでもありませんが\(\,0\,\)は偶数です。)

無理数の小数第1位の求め方

(6)\(\,\sqrt{21}\,\)を小数で表したとき小数第1位の数字を求める問題です。

\(\,\sqrt{21}\,\)は\(\,2\,\)乗すると\(\,21\,\)になる数です。

\(\,x^2=21\,\)となる\(\,x\,\)の正の数が\(\,\sqrt{21}\,\)の値です。
だから何を\(\,2\,\)乗したら\(\,21\,\)になるかを探していけば良いのです。

例えば、
 \(\,4\,\)の\(\,2\,\)乗は\(4^2=16\)
 \(\,5\,\)の\(\,2\,\)乗は\(5^2=25\)
なので
 \(16<21<25\)
だから
 \(4<\sqrt{21}<5\)

\(\,\sqrt{21}\,\)は\(\,4\,\)と\(\,5\,\)の間にあります。

これで整数部分は\(\,4\,\)とわかりました。

次は小数第1位を探します。
 \(4.1^2=16.81\)
 \(4.2^2=17.64\)
 \(4.3^2=18.49\)
 \(4.4^2=19.36\)
 \(4.5^2=20.25\)
 \(4.6^2=21.16\)
ここで\(\,21\,\)を超えたので
 \(\sqrt{21}\) は\(\,4.5\,\)と\(\,4.6\,\)の間にあります。

※この方法をとる場合は\(\,4.1\,\)から始めるのではなく、\(\,\color{red}{4}\,\)と\(\,\color{red}{5}\,\)の中間の\(\,\color{red}{4.5}\,\)から始めると目安がつけやすいです。

 \(4.5<\sqrt{21}<4.6\)

このことから \(\sqrt{21}\) の小数第1位までは
 \(\sqrt{21}=4.5\cdots\)
とわかります。
この繰り返しで小数第2位の数字も求めることができます。

ここでは小数第1位の数字を聞かれているのでここまでで答えが出ます。
 (答え) \(\,\underline{5}\,\)

ただし、この問題はこれをしなくていいように2乗計算をしてくれていて、ヒントを出してくれています。

 「\(4.5^2=20.25\)であり、\(4.6^2=21.16\)である。」

このことから

 \(20.25<21<21.16\)
であり
 \(4.5^2<21<4.6^2\)

全辺の平方根をとると
(正の数なので平方根の大小も変わりません。)

 \(4.5<\sqrt{21}<4.6\)

となるので

 \(\sqrt{21}=4.\underline{\color{red}{5}}\cdots\)

とすぐに求まるようにしてくれています。

平均値と確率

(7)平均値からある日の気温を求める問題です。

データが\(\,7\,\)つあって
 右\(\,3\,\)つの平均値が、左\(\,4\,\)つの平均値より\(\,2.4\,\)高かった。
それが条件です。

\(\,7\,\)つのデータは
 \(\color{blue}{6.0\,,\,3.9\,,\,4.1\,,\,4.8}\,,\,\color{red}{7.4\,,\,6.6\,,\,x}\)
です。

右\(\,3\,\)つの平均値は

 \(\displaystyle \color{red}{\frac{7.4+6.6+x}{3}}\)

これが左\(\,4\,\)つの平均値

 \(\displaystyle \color{blue}{\frac{6.0+3.9+4.1+4.8}{4}=4.7}\)

より\(\,2.4\,\)大きいので

 \(\displaystyle \color{red}{\frac{7.4+6.6+x}{3}}=\color{blue}{4.7}+2.4\)

この\(\,x\,\)の方程式を解きます。

 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{7.4+6.6+x}{3}&=&4.7+2.4\\
\displaystyle \frac{7.4+6.6+x}{3}&=&7.1\\
7.4+6.6+x&=&7.1\times 3\\
14.0+x&=&21.3\\
x&=&21.3-14.0\\
x&=&\underline{7.3}
\end{eqnarray}\)

問題が示している平均値をそれぞれ計算して等式を組むだけです。

(8)\(\,2\,\)枚のカードを同時に取り出し、差が\(\,2\,\)より大きくなる確率です。

カードを同時に取り出そうと、一枚ずつ取り出そうと、戻さないなら同じです。

カードは自然数なので、
 小さい方の数字\(\,a\,\)より大きく、
 大きい方の数字\(\,b\,\)より小さい、
 自然数が\(\,2\,\)個以上
ということは差が\(\,\color{red}{3}\,\)以上ということです。
「より」という範囲にはその数字は含みませんので\(\,a\,,\,b\,\)自身は含まれません。

同じ数字は出ないので、取り出したカードの組は全部で
 \(\color{black}{\fbox{1-2}}\) \(\color{black}{\fbox{1-3}}\) \(\color{red}{\fbox{1-4}}\) \(\color{red}{\fbox{1-5}}\) \(\color{red}{\fbox{1-6}}\)
 \(\color{black}{\fbox{2-3}}\) \(\color{black}{\fbox{2-4}}\) \(\color{red}{\fbox{2-5}}\) \(\color{red}{\fbox{2-6}}\)
 \(\color{black}{\fbox{3-4}}\) \(\color{black}{\fbox{3-5}}\) \(\color{red}{\fbox{3-6}}\)
 \(\color{black}{\fbox{4-5}}\) \(\color{black}{\fbox{4-6}}\)
 \(\color{black}{\fbox{5-6}}\)

の\(\,15\,\)通りでその中で差が\(\,3\,\)以上なのは\(\,6\,\)通り(赤枠の組)あるので、
求める確率は 
 \(\displaystyle \frac{6}{15}=\underline{\frac{2}{5}}\)

取り出した\(\,2\,\)枚は必ずどちらかは大きい数字でどちらかは小さい数字になるので逆は考えなくて良いです。

比例定数の求め方

(9)\(\,y\,\)が\(\,x^2\,\)に比例する関数の比例定数の決定問題です。

比例や反比例と同じように\(\,y=ax^2\,\)の\(\,a\,\)も比例定数といいます。

 \(y=ax^2\)は原点以外の\(\,1\,\)点があれば比例定数が決まります。

つまり比例定数を求めるには曲線上の\(\,1\,\)点を探せば良いということです。

問題にある条件を書き出してみます。

 \(\,\mathrm{A}\,\)の座標は\(\,(\,-5\,,\,0\,)\,\)
 \(\,\mathrm{B}\,\)の\(\,x\,\)座標は\(\,\mathrm{A}\,\)と同じ\(\,x=-5\,\)

 \(\,\mathrm{C}\,\)の\(\,y\,\)座標は\(\,\mathrm{B}\,\)の\(\,y\,\)座標と同じ。

 直線\(\,\ell\,\)は\(\,2\,\)点\(\,\mathrm{A,C}\,\)を通り、傾きが\(\displaystyle \frac{3}{5}\)

いろいろな方法が考えられますので思いついた方法で突っ走って良いですよ。
難しいことなどありませんから。

放物線が軸に対し対称であることを利用すると、

 \(\,\mathrm{B}\,\)の\(\,x\,\)座標が\(\,-5\,\)なので、
 同じ\(\,y\,\)座標の点\(\,\mathrm{C}\,\)の\(\,x\,\)座標が\(\,5\,\)

\(\,\mathrm{A}\,\)と\(\,\mathrm{C}\,\)の\(\,x\,\)座標の差は\(\,5-(-5)=10\,\)で、
直線\(\,\mathrm{AC}\,\)の傾きが\(\displaystyle \frac{3}{5}\)なので
点\(\,\mathrm{C}\,\)の\(\,y\,\)座標は\(\,6\,\)

つまり\(\,y=ax^2\,\)は点\(\,\mathrm{C}\,(\,5\,,\,6\,)\,\)を通るので
 \(\,6=a\times (5)^2\,\)
から
 \(\displaystyle a=\underline{\frac{6}{25}}\)

他にも\(\,a\,\)を使って座標を表すと、

\(\,\mathrm{A}\,\)と\(\,\mathrm{B}\,\)は\(\,x\,\)座標が同じで\(\,-5\,\)
このとき\(\,\mathrm{B}\,\)は\(\,y=ax^2\,\)を通るので

 \(\,\mathrm{B}\,(\,-5\,,\,25a\,)\,\)

\(\,\mathrm{B,C}\,\)は\(\,y\,\)座標が同じなので

 \(\mathrm{C}\,(\,5\,,\,25a\,)\)

\(\,\mathrm{AC}\,\)の傾きが \(\displaystyle \frac{3}{5}\) なので

 \(\mathrm{A}\,(\,-5\,,\,0\,)\,\)
 \(\mathrm{C}\,(\,5\,,\,25a\,)\)

傾きは変化の割合
 \(\displaystyle \color{red}{変化の割合=\frac{ y\,の増加量 }{ x\,の増加量 }}\)
だから
 \(\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{3}{5}&=&\frac{25a-0}{5-(-5)}\\ \\
\displaystyle \frac{3}{5}&=&\frac{25a}{10}\\ \\
\displaystyle \frac{3}{5}\color{red}{\times 10}&=&\frac{25a}{10}\color{red}{\times 10}\\ \\
6&=&25a\\
25a&=&6\\ \\
a&=&\underline{\frac{6}{25}}
\end{eqnarray}\)

でも良いです。
比例定数を決めるだけなので、思い立った方法で突っ走るのが一番はやいでしょう。

⇒ 2018年(平成30年)度の大阪府立入試B問題の問2の解説

問2は1次関数の応用に見えますがやっていることは基本です。
\(\mathrm{A}\)問題の問3と処理する条件は同じですが少し問題が増えています。

⇒ 大阪府公立高校入試数学の過去問と解答解説

大阪府立の数学問題過去数年分の解説をまとめています。

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