秋田県で2018年(平成30年度)に行われた公立高校入試の数学の第4問の解説です。
第4問は連立方程式と関数の問題になります。
連立方程式は基本問題ですが、関数の問題はルールの読み取りに時間が必要ですので条件整理をうまくやらないと後がきびしくなります。
問題は秋田県の公式サイトにもあります。
\(\,\large{4}\,\)
(1)
問題をさっと読むと「求めるものが2つ」あるので連立方程式だと推測できます。
条件を書き出します。
食パン\(\,1\,\)袋\(\,\mathrm{3P}\,\)
菓子パ\(\,1\,\)袋\(\,\mathrm{2P}\,\)
合わせて\(\,11\,\)袋
\(\,\mathrm{P}\,\)合計は\(\,\mathrm{27P}\,\)
これだけです。
『 今までに買った食パンを\(\,x\,\)袋、菓子パンを\(\,y\,\)袋とすると
\( \begin{cases}
\hspace{7pt} x+y=11 ・・・①\\ \\
\hspace{7pt} 3x+2y=27 ・・・②
\end{cases}\)
の連立方程式が立つ。
この連立方程式を解くと、
\(\,①\times 2-②\,\)より
\(\hspace{16pt}2x+2y=22\\
\underline{-)\hspace{4pt}3x+2y=27}\\
\hspace{30pt}-x=-5\\
\hspace{42pt}x=5\)
この\(\,x\,\)を①に代入して、
\(\begin{eqnarray}
5+y&=&11\\
y&=&11-5\\
&=&6
\end{eqnarray}\)
よって真由さんが、このパン屋で今までに買った食パン、菓子パンは
それぞれ
\(\,\underline{ 食パン 5\,袋 , 菓子パン 6\,袋 }\,\) 』
\(\,x,y\,\)を求める計算に普通意味はないので省略したいところですが、
連立方程式が解けるというアピールの意味でも高校受験生は書いておいた方が良いです。笑
この問題は問題内容の割に配点が\(\,5\,\)点もあるので、\(\,1\,\)点分くらい配点されているかもしれません。
条件さえ書き出せば基本的な連立方程式の立式問題です。
(2)
この問題は条件の一部が表にされているので見るところが多いです。
(条件が表になっているものは読み取る情報が多いです。)
まずは文章で与えられている条件を整理しましょう。
パンフレットはすべて同じ重さ
小封筒は最大\(\,7\,\)部入る
大封筒は最大\(\,50\,\)部入る
表も見ておきましょう。
表\(\,1\,\)は重さと料金の表です。
\(\begin{array}{|c|c|c|} \hline
& 重さ & 料金 \\ \hline
小封筒 & \mathrm{ 25\,g以内 } & \mathrm{ 82\,円 } \\
& \mathrm{ 50\,g以内 } & \mathrm{ 92\,円 } \\ \hline
& \mathrm{ 50\,g以内 } & \mathrm{ 120\,円 } \\
& \mathrm{ 100\,g以内 } & \mathrm{ 140\,円 } \\
大封筒 & \mathrm{ 150\,g以内 } & \mathrm{ 205\,円 } \\
& \mathrm{ 250\,g以内 } & \mathrm{ 250\,円 } \\
& \mathrm{ 500\,g以内 } & \mathrm{ 380\,円 } \\ \hline
\end{array}\)
もうひとつの表\(\,2\,\)はパンフレットの数と封筒と合わせた重さです。
(携帯で見たとき横にはみ出すので縦に変えておきます。)
単位は\(\,\mathrm{g}\,\)ですが、省略します。
\(\begin{array}{|c|c|c|} \hline
& \mathrm{ 小封筒 } & \mathrm{ 大封筒 } \\ \hline
1\,部 & 11 & 19 \\ \hline
2\,部 & 17 & 25 \\ \hline
3\,部 & 23 & 31 \\ \hline
4\,部 & 29 & 37 \\ \hline
5\,部 & 35 & 43 \\ \hline
6\,部 & 41 & 49 \\ \hline
7\,部 & 47 & 55 \\ \hline
8\,部 & × & 61 \\ \hline
\cdots & × & \cdots \\ \hline
\end{array}\)
表\(\,1\,\)は場合によって変わる料金表なので読み取りにくいですが、
表\(\,2\,\)は封筒の重さが分かります。
パンフレットが\(\,1\,\)部増えると\(\,\mathrm{6\,g}\,\)増えるので
パンフレットの重さは\(\,1\,\)部\(\,\mathrm{6\,g}\,\)
このことから
\(\,\color{blue}{小さい封筒の重さは\,\mathrm{5\,g}}\,\)
\(\,\color{magenta}{大きい封筒の重さは\,\mathrm{11\,g}}\,\)
必要かどうかは分かりませが読み取れることは書き出しておくと使えるかもしれません。
①
『料金\(\,y\,\)は、大封筒に中身を入れた重さ\(\,x\,\)の関数といえるか?』
という問です。
関数の定義です。
(もっと広い範囲での定義もありますが中学生はこの定義)
\(\,x\,\)の値を1つ決めれば\(\,y\,\)の値が1つだけ定まるとき、
\(\,y\,\)は\(\,x\,\)の関数である。
例えば、大封筒にパンフレットを入れたとき、
\(\,1\,\)部なら\(\,\mathrm{19\,g}\,\)で\(\,120\,\)円
\(\,2\,\)部なら\(\,\mathrm{25\,g}\,\)で\(\,120\,\)円
\(\,7\,\)部なら\(\,\mathrm{55\,g}\,\)で\(\,140\,\)円
\(\,8\,\)部なら\(\,\mathrm{61\,g}\,\)で\(\,140\,\)円
と、一定で増えるというわけではありませんが、
\(\,x\,\)、つまり大封筒の中身を含めた重さを1つ決めれば
\(\,y\,\)、つまり料金は1つだけ決まります。
よって
\(\,y\,\)は\(\,x\,\)の関数と\(\color{black}{\fbox{\( \color{red}{いえる} \)}}\)。
『理由を書きなさい。』
とありますが、関数の定義を書いておけばいいです。
\(\,x\,\)の値を1つ決めれば\(\,y\,\)の値が1つだけ決まるので、
\(\,y\,\)は\(\,x\,\)の関数といえる。
②
パンフレットを\(\,40\,\)部送ります。
\(\color{black}{\fbox{ 送り方 }}\)
\(\,\mathrm{A:}\,\)小封筒だけで最も安くなるように送る。
\(\,\mathrm{B:}\,\)大封筒1つにまとめて送る。
『どちらがどれだけ安いか』です。
\(\,\mathrm{A}\,\)のとき
パンフレットは\(\,1\,\)部が\(\,\mathrm{6\,g}\,\)なので\(\,40\,\)部で\(\,\mathrm{240\,g}\,\)
小封筒は1つ\(\,\mathrm{5\,g}\,\)です。
小封筒は\(\,\mathrm{50\,g}\,\)以内でないと送れないので何通かに分けなくてはなりません。
表\(\,2\,\)を見ればわかりますが、
\(\,\mathrm{25g}\,\)以内の料金\(\,82\,\)円で、
封筒が\(\,\mathrm{5\,g}\,\)なので中には\(\,\mathrm{20\,g}\,\)以内になるので、
このときパンフレットは\(\,3\,\)部しか入れることはできません。
\(\,1\,\)部あたり\(\,20\,\)円以上かかります。
\(\,\mathrm{50g}\,\)以内の料金\(\,92\,\)円で、
中には\(\,\mathrm{45\,g}\,\)入れることができて、
このときパンフレットは\(\,7\,\)部入れることができます。
\(\,1\,\)部あたり\(\,20\,\)円より安くなります。
明らかに\(\,\mathrm{50\,g}\,\)以内の\(\,92\,\)円を利用した方が安いです。
しかし、\(\,40\,\)部という数字は\(\,7\,\)部ずつではきれいに収まりません。
そこで、
できるだけ\(\,\mathrm{50\,g}\,\)以内\(\,92\,\)円の方を多くするように、
最も安くなる分け方を考えます。
全部を\(\,92\,\)円の料金で送る場合、
\(\,40=7\times 5+5\,\)
なので残りの\(\,5\,\)部も送るので全部で\(\,6\,\)通となり
\(\,92\times 6=\color{blue}{552}\,円\,\)
残りの\(\,5\,\)部を\(\,82\,\)円の\(\,\mathrm{25\,g}\,\)以内の料金で送る場合、
\(\,92\,\)円\(\,5\,\)通と\(\,82\,\)円\(\,2\,\)通になるので、
\(\hspace{10pt}92\times 5+82\times 2\\
=460+164\\
=\color{red}{624}\,円\)
全部を\(\,92\,\)円の料金で\(\,6\,\)通の方が安いです。
\(\,\mathrm{B}\,\)のとき
\(\,40\,\)部すべて1つに入ります。
このときの重さは封筒の重さを加えて
\(\,6\times 40+11=251\,\)
\(\,\mathrm{1\,g}\,\)超えているので、
\(\,\mathrm{500\,g}\,\)以内の料金\(\,\color{magenta}{380}\,\)円になります。
送り方\(\,\mathrm{A}\,\)の料金は\(\,\color{blue}{552}\,\)円
送り方\(\,\mathrm{B}\,\)の料金は\(\,\color{magenta}{380}\,\)円
差額は
\(\,552-380=\color{red}{172} (円)\,\)
(答え)\(\,\underline{ 送り方\,\mathrm{B}\,の方が\,172\,円安い }\,\)
かけ算割り算と足し算引き算なので、いろいろな送り方を計算した方がはやいですよ。笑
\(\,\large{4}\,\) はこれで終わりです。
⇒ 2018年度秋田県公立高校入試数学の過去問第5問-1の解説
2つある選択問題の1つです。
⇒ 2018年度秋田県公立高校入試数学の過去問第5問-2の解説
学校指定でどちらかを解くことになります。
2つとも関数と格子点の確率問題ですが後半が慣れていないとやりにくいと思います。
\(\,\large{5}\,\)は学校別に指定がる選択問題ですから分けて説明します。
秋田県の受験生は自分の受験する学校が指定する選択問題を間違えないように気をつけてください。
\(\,\large{1}\,\)にも学校指定の選択問題があります。
\(\,\large{4}\,\)までで時間をかけると\(\,\large{5}\,\)は後半がきびしくなると思いますが、
⇒ 2018(H30)年度秋田県公立高校入試数学の過去問第2問の解説
\(\,\large{2}\,\)の小問集合と
⇒ 2018(H30)年度秋田県公立高校入試数学の過去問第3問の解説
\(\,\large{3}\,\)の簡単な図形の証明までで\(\,7\,\)割以上の配点がありますので、目標得点に応じた対策を考えた方がが良いのではないでしょうか。
\(\,\large{5}\,\)にも教科書例題程度の基本問題はあります。