2019年度神奈川県で行われた公立高校入試の数学問題問5の確率問題の解説です。
神奈川県の確率問題はルールの読み取りが重要なポイントになりますが、
例を書いてくれているので多少の時間をかけてでもルールを読み取れば答え自体は簡単に出ます。
問題数が多いのですべての問題への時間配分が大切ですね。
問題は神奈川県の公式サイトにもあります。
問\(\,5\,\)
神奈川県の確率問題は難所になることがありますが、今年は割と取り組みやすかったのでさっと済ませましょう。
大小2つのさいころを投げます。
大きいさいころの出目を\(\,\color{red}{a}\,\)
小さいさいころので目を\(\,\color{blue}{b}\,\)
カードは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)の\(\,5\,\)枚あります。
\(\color{red}{\fbox{ ルール }}\)
\(\,\color{red}{a}\,>\,\color{blue}{b}\,\)のとき \(\,n=\color{red}{a}-\color{blue}{b}\,\)
\(\,\color{red}{a}\,≦\,\color{blue}{b}\,\)のとき \(\,n=\color{red}{a}+\color{blue}{b}\,\)
和が\(\,n\,\)になるようにカードを取り除く。
取り除くカードはできるだけ多い枚数にする。
取り除くカードはできるだけ大きな数字を含ませる。
ルールはこれだけです。
後は、2つのさいころの出方ですが、\(\,36\,\)通りしかありません。
たかが\(\,36\,\)通りの場合を書き出せないようなら時間の無駄になるので確率問題は捨てた方が良いです。
と、優しい(辛口?)コメントをしておいて表作成に入ります。
樹形図でも良いのですが、さいころ2つの場合は表が見やすいです。
どちらでも良いですが、
縦に大きいさいころの出目
横に小さいさいころの出目
を並べます。
ルールに従った\(\,n\,\)を表に入れていきます。
\(\,\color{red}{a}\,>\,\color{blue}{b}\,\)のとき \(\,n=\color{red}{a}-\color{blue}{b}\,\)
\(\,\color{red}{a}\,≦\,\color{blue}{b}\,\)のとき \(\,n=\color{red}{a}+\color{blue}{b}\,\)
\(\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
& \color{blue}{\,1\,} & \color{blue}{\,2\,} & \color{blue}{\,3\,} & \color{blue}{\,4\,} & \color{blue}{\,5\,} & \color{blue}{\,6\,} \\ \hline
\color{red}{1} & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\ \hline
\color{red}{2} & 1 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 \\ \hline
\color{red}{3} & 2 & 1 & 6 & 7 & 8 & 9 \\ \hline
\color{red}{4} & 3 & 2 & 1 & 8 & 9 & 10 \\ \hline
\color{red}{5} & 4 & 3 & 2 & 1 & 10 & 11 \\ \hline
\color{red}{6} & 5 & 4 & 3 & 2 & 1 & 12 \\ \hline
\end{array}\)
これで答えはすべて出ます。
(ア)
残ったカードが\(\color{black}{\fbox{5}}\)だけになるのは、
\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)
を取り除く場合なので
\(\,1+2+3+4=10\,\)
つまり
\(\,n=10\,\)
となる確率を求めれば良いだけです。
\(\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
& \color{blue}{\,1\,} & \color{blue}{\,2\,} & \color{blue}{\,3\,} & \color{blue}{\,4\,} & \color{blue}{\,5\,} & \color{blue}{\,6\,} \\ \hline
\color{red}{1} & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\ \hline
\color{red}{2} & 1 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 \\ \hline
\color{red}{3} & 2 & 1 & 6 & 7 & 8 & 9 \\ \hline
\color{red}{4} & 3 & 2 & 1 & 8 & 9 & \color{magenta}{10} \\ \hline
\color{red}{5} & 4 & 3 & 2 & 1 & \color{magenta}{10} & 11 \\ \hline
\color{red}{6} & 5 & 4 & 3 & 2 & 1 & 12 \\ \hline
\end{array}\)
\(\,36\,\)通りの中の\(\,2\,\)通りなので
\(\displaystyle \frac{2}{36}=\underline{ \frac{1}{18} }\)
(イ)
取り除いた後に残ったカードの最小の数値が\(\,3\,\)のときです。
少なくとも\(\color{black}{\fbox{1}}\)と\(\color{black}{\fbox{2}}\)は取り除くのですが、\(\color{black}{\fbox{4}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)が取り除かれていても良いことに注意すると、
残るカードは
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)
または
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)
または
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)
または
\(\color{black}{\fbox{3}}\)
の場合があります。
残ったカードの場合をそれぞれ考えます。
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)
のとき取り除くのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\)なので
\(\,n=1+2=\color{magenta}{3}\,\)
確かに\(\,n=3\,\)となるのは\(\color{black}{\fbox{3}}\)そのものを取り除くより枚数が多い。
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)
のとき取り除くのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)なので
\(\,n=1+2+5=\color{magenta}{8}\,\)
確かに\(\,n=8\,\)となるのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)を取り除く場合がルールを満たしています。
\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)
のとき取り除くのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)なので
\(\,n=1+2+4=\color{magenta}{7}\,\)
確かに\(\,n=7\,\)となるのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)を取り除く場合がルールを満たします。
\(\,n=7\,\)となるのは\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)や\(\color{black}{\fbox{3}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\)もありますが、枚数が少ないのでルールを満たしていないという確認ですよ。
\(\color{black}{\fbox{3}}\)
のとき取り除くのは\(\color{black}{\fbox{1}}\),\(\color{black}{\fbox{2}}\),\(\color{black}{\fbox{4}}\),\(\color{black}{\fbox{5}}\)なので
\(\,n=1+2+4+5=\color{magenta}{12}\,\)
これらを満たすのは表の中から探せばすぐに見つかります。
\(\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
& \color{blue}{\,1\,} & \color{blue}{\,2\,} & \color{blue}{\,3\,} & \color{blue}{\,4\,} & \color{blue}{\,5\,} & \color{blue}{\,6\,} \\ \hline
\color{red}{1} & 2 & \color{magenta}{3} & 4 & 5 & 6 & \color{magenta}{7} \\ \hline
\color{red}{2} & 1 & 4 & 5 & 6 & \color{magenta}{7} & \color{magenta}{8} \\ \hline
\color{red}{3} & 2 & 1 & 6 & \color{magenta}{7} & \color{magenta}{8} & 9 \\ \hline
\color{red}{4} & \color{magenta}{3} & 2 & 1 & \color{magenta}{8} & 9 & 10 \\ \hline
\color{red}{5} & 4 & \color{magenta}{3} & 2 & 1 & 10 & 11 \\ \hline
\color{red}{6} & 5 & 4 & \color{magenta}{3} & 2 & 1 & \color{magenta}{12} \\ \hline
\end{array}\)
\(\,36\,\)通り中に\(\,11\,\)通りあるので
\(\displaystyle \underline{ \frac{11}{36} }\)
数え間違いしてない、よね?
問\(\,5\,\)はこれで終わりです。
⇒ 神奈川県公立入試2018年(平成30年)の数学問5確率問題の解説
昨年度は手を動かさないとルールさえ読み取りづらい問題でした。
まだ\(\,2\,\)問残っていますが、やはり確率のルールの読み取りに一番時間がかかったのではないでしょうか。
⇒ 2019年度神奈川県公立高校入試の数学問6空間図形問題の解説
問\(\,6\,\)は立体、空間図形問題です。
よくある問題のパターンですが、一手間かけないと答えまでたどり着けないような面白そうな問題ですね。
⇒ 2019年度神奈川県公立高校入試の数学問題問1,2の解説
問\(\,1,2\,\)の小問集合
問\(\,3\,\)の平面図形
⇒ 2019年度神奈川県公立高校入試の数学問4関数問題の解説
問\(\,4\,\)の関数
まだ続きがあって、ボリュームたっぷりです。
目標点数によって取り組み方を変えておいた方が良いでしょうね。
『覚え太郎』『超え太郎』マスターは余裕で満点狙えるから問題を解く順番は考えなくてい良いですけど、
最低\(\,8\,\)割確保のために『最大得点獲得法』にはもう一度目を通しておいてください。