関数が比例しているか反比例しているか、またはどちらでもないかの見分け方です。
関係式の作り方はやり方によっては簡単なので、比例と反比例の見分け方を説明しておきます。
中学生に取って関数の始まりになる比例ですが、ここから始まっているのはあなたの2年後の数学の成績の上限でもあります。
比例してる関数とは
比例の関係とは、
\(x\) が増えると \(y\) が一定の割合(倍数)で増える関係にあるものです。
ただし、増えるというのは増加だけでなく減る場合も含まれます。
例えば、\(1\) 本 \(160\) 円のジュースを \(2\) 本買うと代金は \(320\) 円です。
このジュースを \(2\) 倍の \(4\) 本買うと代金も \(2\) 倍の \(640\) 円になります。
このように本数が \(2\) 倍になれば代金も \(2\) 倍になるような関係を比例といいます。
では減る場合はどういうことかというと、
\(1\) 本 \(160\) 円のジュースを \(2\) 本買うと代金は \(320\) 円です。
このジュースを \(3\) 倍の \(6\) 本買うと代金も \(3\) 倍の \(960\) 円になります。
このとき代金は増えますが、持っているお金は減ります。
マイナスが増えるということで代金を支払うことを、所持しているお金がマイナスになる、
と考えると倍数分減ることも比例です。
関数では文字 \(x,y\) を使うので、 \(x,y\) で説明すると、
\(\color{red}{y\,が\,x\,の定数倍になっている関係}\)
を比例関係といいます。
簡単に見分ける方法は \(x,y\) の関係が
\(\color{red}{\Large{y=ax}}\)
になっている関係が比例です。
二年生で習う一次関数も一定の割合で増えますが、
\(x\) が \(2\) 倍になっても \(y\) が \(2\) 倍にならないこともあります。
(\(x\) の増加の倍数に \(y\) の増加が関係しない場合もあります。)
これは一次関数は原点を通るとは限らないからです。
一次関数 \(y=ax+b\) の切片が \(b=0\) のとき、
つまり\(\,x\,が\,0\,のとき\,y\,も\,0\,になっている一次関数が比例\)です。
このことは一次関数を勉強するときに確認してください。
今は比例関係が分ければ良いです。
もう一度いいます。
比例関係とは \(x,y\) の関係が \(y=ax\) になっている関係です。
反比例している関数とは
反比例は比例と逆になります。
比例では
\(x\,が\,2\,倍、3\,倍\cdots となれば、\\
y\,も\,2\,倍、3\,倍\cdots\)
となりましたが、
反比例では
\(\displaystyle \,x\,が\,2\,倍、3\,倍\cdotsとなれば、\\
\displaystyle y\,は\,\frac{1}{2}倍、\frac{1}{3}倍\cdots\)
となります。
これは関係式で簡単に見分けると、
\(\color{red}{\displaystyle \Large{y=\frac{a}{x}}} (a\,は定数)\)
となっている関係が反比例です。
もう一つの見方があります。
反比例では \(x,y\) の積が一定と見ることもできます。
\(\color{red}{\Large{xy=a(一定)}}\)
これはグラフとともに考えると便利なのですが、
\(\displaystyle y=\frac{a}{x}\) という関係になっているとき反比例、と見分ければ良いです。
グラフについては別に詳しく説明しますので、比例と反比例の関係式は覚えておきましょう。
中学3年間の数学で出てくる関数はたった四つなので「覚えきれるかな?」という疑問は必要ありませんよ。
比例、反比例のグラフの簡単なまとめですので参考にしてください。
比例しているか反比例しているかの見分け方
入試ではこれが本格的に聞かれるとはほとんどありませんが、中間テストや期末テストの基本確認ではよく聞かれます。
問題を見ていきましょう。
方針は一つです。
次の(1)(2)(3)は比例するか反比例するか、またどちらでもないかを調べよ。
(1) 容積\(\,100\,\ell \,\)の水そうに水を入れるのに,\(1\,\)分間に\(\,x\,\ell\,\)ずつ入れると\(\,y\,\)分かかった。
(2) \(15\,\mathrm{cm}\) のろうそくが\(\,x\,\mathrm{cm}\)燃えたときの残りの長さは\(\,y\,\mathrm{cm}\)である。
(3) 長さ\(\,1\,m\)の重さが\(\,20\,\mathrm{g}\)の針金\(\,x\,\mathrm{cm}\)の重さは\(\,y\,\mathrm{g}\)である。
日本語で関係が書かれているときに大切なのは、
\(x\) が何を表していて、\(y\) が何を表しているか
をしっかり確認することです。
そして方針は一つ、
\(\color{red}{\large{\,x\,,\,y\,の関係式を求めにいく}}\)
それだけです。
関係式が
- \(y=ax\) なら比例
- \(\displaystyle y=\frac{a}{x}\) なら反比例
- それ以外ならどちらでもない
となります。
反比例は \(xy=a\) であることに気づいても良いですよ。
では(1)から関係式を出していきましょう。
大切なのは、\(x\) が何を表していて、\(y\) が何を表しているかです。
これをはっきりと理解していないと難しく感じます。
\(x\) は1分間に入れる『水の量』、\(y\) は容器をいっぱいにする『時間』です。
文章だけで考えるとわかりにくいので、
具体的に計算してみて、図や表を自分で書いてしまえば簡単になります。
\(1\) 分間に \(1\,\ell\) 入れると、\(\displaystyle \frac{100}{1}=100\) 分
\(1\) 分間に \(2\,\ell\) 入れると、\(\displaystyle \frac{100}{2}=50\) 分
\(1\) 分間に \(4\,\ell\) 入れると、\(\displaystyle \frac{100}{4}=25\) 分
という関係になっています。
これを\(\,x\,,\,y\,\)の表にしてみましょう。
\(x\,(\ell)\) | 1 | 2 | \(\cdots\) | \(x\) | \(\cdots\) | 100 |
\(y\,(分)\) | 100 | 50 | \(\cdots\) | \(\displaystyle \frac{100}{x}\) | \(\cdots\) | 1 |
\(x\) が \(2\) 倍になると、\(y\) は\(\displaystyle \frac{1}{2}\,\)倍のように逆数に比例していて、
途中で規則性が見えたら\(\,x\,,\,y\,\)の関係は
\(\displaystyle y=\frac{100}{x}\)
となっていることもわかりますので、反比例です。
関係式が
\(y=ax\) なら比例、
\(\displaystyle y=\frac{a}{x}\) なら反比例
です。
容積が \(100\,\ell\,(=一定)\) なので\(\,1\,\)分間に入れる量が多ければ短い時間で終わるということはわかるでしょう。
表からは \(x\times y=100\) になっていることも読み取れると思います。
\(xy=100\) も反比例を表す関係式ですよ。
この定数 \(100\) が比例定数です。
比例のときも反比例のときも定数 \(\color{red}{a}\) は比例定数といいますので覚えておきましょう。
次に(2)です。
これもイメージできる図がありません。
自分で書いてみてください。(炎の部分は必要ないですよ。)
図を書くとすぐにわかりますが、燃えた分と残りの部分を足すと元の長さです。
\(\,x\,,\,y\) の変化の表も書いておきます。
\(x\) は燃えた長さ、\(y\) は残りの長さです。
\(x\,(\mathrm{cm})\) | 1 | 2 | \(\cdots\) | \(x\) | \(\cdots\) | 15 |
\(y\,(\mathrm{cm})\) | 14 | 13 | \(\cdots\) | \(15-x\) | \(\cdots\) | 0 |
関係式は
\(\large{\color{red}{x+y=15}}\)
または
\(\large{\color{red}{y=15-x}}\)
です。
これは比例でも反比例でもありません。
ところで、
「 \(y\) を \(x\) の式で表せ。」
と問題に出ることがあります。
このときは \(\large{\color{red}{y=15-x}}\) です。
「 \(y\) と \(x\) の関係を式で表せ。」
の場合はどちらでもかまいません。
中学生は \(y=15-x\) とするのが普通です。
すぐに1次関数(中2単元)と見ることができるからですね。
⇒ 1次関数とは?傾きや切片、変域などの用語と関数の増加減少
次に(3)です。
重さの単位は同じですが、長さの単位が違います。
まずは単位をそろえましょう。
答えるのは \(\mathrm{cm}\) の重さなので、
\(1\,\mathrm{m}\) の重さを \(1\,\mathrm{cm}\) の重さにしておきます。
\(1\,\mathrm{m}\)は \(100\,\mathrm{cm}\)なので、\(100\,\mathrm{cm}\) の重さが \(20\,\mathrm{g}\)、
だから \(1\,\mathrm{cm}\) の重さは \(\displaystyle 20\times \frac{1}{100}=\frac{1}{5}=0.2\,\mathrm{g}\) です。
この比例計算が理解できないときは
これを読んでおくと良いです。
比例計算の利用法ですが他では見られない計算法が書いてあります。
ここですでに比例関係を利用していることになりますが、無視しておきましょう。笑
\(1\,\mathrm{cm}\,で\,0.2\,\mathrm{g}\\
2\,\mathrm{cm}\,で\,0.2\times 2=0.4\,\mathrm{g}\\
3\,\mathrm{cm}\,で\,0.2\times 3=0.6\,\mathrm{g}\\
\cdots\\
x\,\mathrm{cm}\,で\,0.2\times x\,\mathrm{g}\)
この規則性を見るのは表の方が最初は見やすいかもしれません。
\(長さ\,(\mathrm{cm})\) | 1 | 2 | 3 | \(\cdots\) | \(x\) |
\(重さ\,(\mathrm{g})\) | 0.2 | 0.4 | 0.6 | \(\cdots\) | \(0.2x\) |
\(x\,,\,y\) の関係式は、\(x\,(\mathrm{cm})\) のときの重さを \(y\,(\,g\,)\) とするので
\(\large{y=0.2x}\) または \(\large{\displaystyle y=\frac{1}{5}x}\)
比例の関係を表す式になっているので間違いありません。
比例定数は、\(0.2\) または \(\displaystyle \frac{1}{5}\) ですが、
数学では小数より分数を使うことが多いですよ。
比例か反比例かの見分け方は \(x\,,\,y\) の関係式が
\(y=ax\) になっていれば比例
\(\displaystyle y=\frac{a}{x}\) になっていれば反比例
というだけです。
座標について基礎知識をしっかり持ちましょう。
これから先、座標が読み取れないということは、関数を捨てることになりますよ。