中学2年の式の計算にある、分数の文字式の加法(足し算)と減法(引き算)の計算ミスを減らすコツをお伝えします。
分数の処理方法を、カッコの外し方や分配法則などと分けましたので確認しておいてください。
どれも大切な基本作業を含んでいるのでずっと使えることですので確実に身につけておきたいポイントです。
分数計算のミスを減らすコツ
分数の処理は1年生のときに正の数負の数でもやっているはずで、小学生のときの算数と変わりありません。
⇒ 正の数負の数で分数計算が混じった加減乗除の練習問題とポイント
しかし、
算数であまり指導されていないこともありますので、ここで計算ミスの減る分数の処理を覚えてもらおうと思います。
分母と分子しかない、ということに気がつけば分数の計算はコツさえつかめば簡単です。
それを1年の頃にやっていない人は、ここでしっかり覚えて下さい。
問題に入りいましょう。
(10)\(\displaystyle \frac{5x-2y}{3}- \frac{3x-y}{2}\)
問題(8)まではこのページにはありませんので気にしないでください。
⇒ 式の計算(中学2年)の文字式の計算で使う用語と気をつけるポイント
中学\(\,2\,\)年の式の計算はここから始まっています。
この計算を今までのように普通に分配して、
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{1}{3} (3a-5b)- \displaystyle \frac{1}{4}(a-2b)\\ \\
=a- \displaystyle \frac{5}{3}b- \displaystyle \frac{1}{4}a+ \displaystyle \frac{1}{2}b\)
このように分配してたらいつまでたっても分数の計算は苦手なままです。
ダメなわけではありませんよ。
苦手というよりは分数処理が遅いままで、センター試験でも共通テストでも時間が足りない状態になります。
分数計算は分母と分子をはっきりと分ける
分数では足し算でもかけ算でも、
分母と分子をはっきりと分けることが重要です。
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{1}{3} (3a-5b)- \displaystyle \frac{1}{4}(a-2b)\\
=\displaystyle \frac{3a-5b}{3}- \displaystyle \frac{a-b}{4}\)
ここからは通分ですが、
通分にもコツがあって1年生にも(小学生にも)言っていますが、
分母は1つしか書かず、分子だけの計算に持ち込む
と計算が楽でミスも減ります。
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{3a-5b}{3}- \displaystyle \frac{a-2b}{4}\\
=\displaystyle \frac{\color{red}{4}(3a-5b)-\color{red}{3}(a-2b)}{12}\)
このように分母を一つにして、
分子だけの計算に集中する
ということです。
分子の計算は今までやってきた
⇒ 式の計算(中2)文字式展開の係数の分配と(かっこ)をはずす順番
と同じですから簡単でしょう。
これが分数計算を速く、早く、楽にするコツなのです。
分子の取り扱いに注意
注意するのは、分子には(かっこ)を必ずつけることです。
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{4(3a-5b)-3(a-2b)}{12}\\
=\displaystyle \frac{12a-20b-3a+6b}{12}\\
=\displaystyle \frac{9a-14b}{12}\)
(この\(\,2\,\)行目は省略しないんですよね?)
これが答えですが、部分的に約分しないこと。
約分は「全ての項で同時に約分できないと」約分してはいけません。
例えば、
\( a\) の項と分母の \( 12\) で約分できるからといって、
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{\color{red}{9}a-14b}{\color{red}{12}}\\
\displaystyle =\frac{3a-14b}{4}\)
(この計算はウソです。)
のようにしてはダメです。
全部の項で約分できないなら約分しなくて良いのですが、
どうしても約分したいなら、
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{9a-14b}{12}\\
\displaystyle =\frac{9a}{12}-\frac{14b}{12}\\
\displaystyle =\frac{3a}{4}-\frac{7b}{6}\)
と分けるようにして下さい。
どっちを答えにしても構いませんが、いつまでも算数気分でいるのはやめて分母をひとつとしてみてはどうでしょう。
通分するときのポイント
これも通分です。
(9)で説明できなかったことを加えておくと、
前の項は分母を\(\,6\,\)にするために、
分母を\(\,2\,\)倍するので分子も\(\,2\,\)倍、
後ろの項は分母を6にするため、
分母を\(\,3\,\)倍するので分子も\(\,3\,\)倍、
することはわかりますよね。
そのとき、分子に(かっこ)をつけることで、
ミスを減らして計算できるようになります。
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{5x-2y}{3}- \displaystyle \frac{3x-y}{2}\\ \\
=\displaystyle \frac{\color{red}{2}(5x-2y)- \color{blue}{3}(3x-y)}{6}\)
・通分して分母は一つだけにする。
・元の分子には(かっこ)を忘れずつける。
このことを分数計算の基本にしておけば、
後は分子の計算をするだけになるので、
分子の計算に集中出来るし、ミスも減ります。
\( \hspace{10pt}\displaystyle \frac{\color{red}{2(}5x-2y)- \color{blue}{3}(3x-y)}{6}\\
=\displaystyle \frac{10x-4y-9x+3y}{6}\\
=\displaystyle \frac{\,x-y\,}{6}\)
簡単でしょう?
分数の処理方法は高校までこれでほぼ通用します。
今までの計算方法で慣れている人は無理に変えなくて良いですよ。
でも、高校に行って計算が遅いと感じたら戻ってきてやり直して下さい。笑
ここができていないから「時間が足りない」とか、
「自分は計算が遅いんだ」と、勘違いしてしまうのです。
あなたは計算が遅いのではありません。
計算の仕方がド下手くそなだけです。
ちょっと練習すれば、ほんの少しやり方をかえれば速くなりますよ。
私が言っていることが変わっているだけなので、変える気がない人は変えなくて良いですよ。
今のままでも良いので下手くそは下手くそのまま進めば良いのです。
次は式の計算の乗法(掛け算)と除法(割り算)に進みましょう。
⇒ 式の計算(中2) 文字式の乗法(かけ算)除法(割り算)のコツと注意点
ここからはそれほどややこしい事はありませんが、ちょっとしたコツはありますので確認しておきましょう。