関数を微分すると導関数が求まりますが、導関数についての関係式があるときの元の関数の求め方です。
単純に積分すれば求まる定積分の問題ではなくて、微分の範囲での条件付き問題を取り上げて説明します。
関数を求めよという場合、整関数であれば係数決定問題と同じですよ。

整関数の微分

関数決定問題は「2次関数」でもやっていますが、
導関数 \( f'(x)\) と他の条件があって、\( f(x)\) を求める問題です。

整関数をあつかう数学Ⅱではたいして難しい問題はありませんから条件を集めるだけ集めて、
後は基本通りに作業すれば簡単な問題ばかりです。

2問だけ例題を取り上げて説明します。

例題1

関数 \( f(x)=x^2-ax+b\) について

  \( xf'(x)-2f(x)=7x-16\)

が成り立っている。このとき \( a , b\) を求めよ。

ようやく微分・積分ですね。
この分野は非常に簡単です。
積分で少し計算がややこしそうに見えるところがありますが、グラフの拡大によって容易になります。

何故この分野が簡単かというと、数学Ⅲがあるからです。
数学Ⅲでは、整関数だけでなくありとあらゆる関数を扱いますが、このⅡの範囲では整関数しかも3次以下がほとんどなので、難しい、というものが見当たりません。
ただし、基本的な知識を抑えて、しっかり作業しないと得点は出来ませんよ。

定義、定理を大切にして下さい。

関数

  \( f(x)=x^2-ax+b\)

これは2次関数ですが微分の問題です。

整関数の導関数

導関数は微分係数を一般的にしたものなので、
微分係数が存在しない \( x\) がある場合は定義域から除外します。

しかし問題に定義域が存在しないということはすべての \( x\) で微分可能だということを意味します。

つまり、問題の

 「 \( xf'(x)-2f(x)=7x-16\) が成り立っている。」

これは「ある \( x\) について成り立つ」ということではなく、
すべての \(x\) について恒等的に成り立つ」ということです。
だから恒等式として解けば簡単に解決します。

その前に、\( f'(x)\) を求めておかなければなりません。

関数 \(f(x)\) の導関数 \( f'(x)\) の求め方は

⇒ 微分係数と導関数の定義および微分の公式

確認しておいてください。

ここでは整関数の微分公式を利用し、簡単に済ませます。

 \( f(x)=x^2-ax+b\) より \( f'(x)=2x-a\)

これは \( (x^n)’=nx^{n-1}\) を利用しています。

与えられた関係式

  \( xf'(x)-2f(x)=7x-16\)

が成り立つから

  \( x(2x-a)-2(x^2-ax+b)=7x-16\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 2x^2-ax-2x^2+2ax-2b=7x-16\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} ax-2b=7x-16\)

これが恒等的に成り立つことよって、

 \( \underline{a=7\,,\,b=8}\)

「ある \( x\) 」について成り立つ方程式として扱う場合は問題で \( x\) の値が限定されています。
ここでは何も限定がないすべての \( x\) で成り立つ、つまり、恒等的に成り立つととらえます。

条件は同じようなものですが表現が違うのでもう一題やっておきましょう。

微分を利用した整関数の決定問題

例題2

関数 \( f(x)\) は次の①②をともに満たしている。

 ① \( f(x)\) は最高次の係数が1の整式で現される関数である。
 ② \( (x-2)f'(x)=3f(x)\)

(1) \( f(x)\) の次数を決定せよ。

(2) \( f(x)\) を求めよ。

求める関数の最高次の項が \( x^n\) と係数が1でおけることがポイントです。

(1) 関数 \( f(x)\) が \( n\) 次式であるとすると

①より \(x^n\) の係数は1なので

 \( f(x)=x^n+a_{n-1}x^{n-1}+a_{n-2}x^{n-2}+ \cdots +a_1x+a_0\)

とおけます。

 \( a_{n-1}\,,\,a_{n-2}\,,\,\cdots \,,\,a_1\,,\,a_0\) は定数です。

この関数を微分すると

 \( f'(x)=nx^{n-1}+(n-1)a_{n-1}x^{n-2}+ \cdots +a_1\)

となるので②から

 \((左辺)\\
=(x-2)\{nx^{n-1}+ (n-1)a_{n-1}x^{n-2} +\cdots +a_1\}\\ \\
=(x-2)nx^{n-1}+ (x-2) (n-1)a_{n-1}x^{n-2} +\cdots +(x-2)a_1\\ \\
=nx^n-2nx^{n-1}+ (n-1)a_{n-1}x^{n-1}-2(n-1)a_{n-1}x^{n-2}+\cdots +a_1x-2a_1\)

 \((右辺)\\
=3(x^n+a_{n-1}x^{n-1}+a_{n-2}x^{n-2}+ \cdots +a_1x+a_0)\\ \\
=3x^n+3a_{n-1}x^{n-1}+\dots +3a_1x+3a_0\\ \\
=3x^n+3a_{n-1}x^{n-1}+\dots +3a_1x+3a_0\)

となり両辺ともに \(n\) 次式で、この \( n\) を求めれば良いのです。
両辺の係数だけに着目して係数比較すると

 \( n=3\)

つまり、関数 \(f(x)\) は3次式です。

展開をしていることを示すために書き出していますが、途中の見にくい式は最高次の項だけ書き表すだけで良いですよ。

(2)関数 \( f(x)\) は3次式とわかったので

  \( f(x)=x^3+ax^2+bx+c\)

とすると

  \( f'(x)=3x^2+2ax+b\)

となりますので、今度は具体的な係数を決定出来ます。
②の関係式に再び代入すると

 \( (x-2)(3x^2+2ax+b)=3(x^3+ax^2+bx+c)\)

横長になるので左辺と右辺を分けて展開しておきます。

(左辺)
 \((x-2)(3x^2+2ax+b)\\ \\
=3x^3+2ax^2+bx-6x^2-4ax-2b\\ \\
=3x^3+(\color{red}{2a-6})x^2+(\color{red}{b-4a})x\color{red}{-2b}\)

(右辺)
 \( 3(x^3+ax^2+bx+c)\\ \\
=3x^3+\color{red}{3a}x^2+\color{red}{3b}x+\color{red}{3c}\)

この左辺と右辺はすべての \(x\) で成り立っているので、
両辺の係数を比較して

 \( \begin{cases}
\hspace{10pt} 2a-6=3a \\ \\
\hspace{10pt} b-4a=3b\\ \\
\hspace{10pt} -2b=3c
\end{cases}\)

これを解くと

  \( a=-6\,,\,b=12\,,\,c=-8\)

よって求める関数 \( f(x)\) は

  \( f(x)=\underline{x^3-6x^2+12x-8}\)

この形は気がつけば

 \( f(x)=\underline{(x-2)^3}\)

としても良いです。

この問題は(1)(2)と分けて段階的に解いていますが、

次の①②をともに満たす関数 \( f(x)\) を求めよ。

 ① \( f(x)\) は最高次の係数が1の整式で表される。

 ② \((x-2)f'(x)=4f(x)\)

このような問の場合は「次数を先に決定し」、その後、「具体的な関数として係数を決定する」、という順序で解くのは同じですよ。

ちなみにこの問題の答は4次関数になるので解きませんが、笑
自分でチャレンジしてみてください。
答は \( f(x)=(x-2)^4\) です。

例題2でもそうなのですが \( f(x)\) が \( (x-2)\) で割り切れることを利用するという方法もあります。
しかし、あれやこれやとポイントが絞れなくなるので使いませんでした。
ここでは強引な計算で答を出せれば十分です。

微分は定義、定理をしっかりおさえておけば何とかなります。
ただ、定義、定理(公式)をおろそかにしていたらどうにもなりませんよ。

⇒ 微分を使った接線の方程式の求め方(接点が曲線上にある場合と無い場合)

次は接線の問題を解けるようになっておきましょう。