ベクトルの大きさを求めることと、線分の長さを求めることは同じことといっても良いですが、
ベクトルの内積を利用する際の求め方でやってはいけない注意点とともに基本的な問題で復習しておきましょう。


ベクトルな便利さ

三角比の余弦定理を使うことなく、
線分の長さが求めることが出来る
ベクトルは便利です。

三角比、ベクトル、どちらも使える、
活用できる方が引き出しが増えて応用が効くことは間違いないので、
センター試験だけでなく本試験に数学がある人は基本的なことはしっかりおさえておきましょう。

ベクトルの大きさを求める方法 復習

ここで説明するベクトルの大きさは矢印(アロー)ベクトルの大きさ問題です。
しかし、もっと基本的な成分表示されたベクトルの大きさを忘れがちになるので、
内積の注意点の前にベクトルの大きさを求める公式を確認しておきます。

成分表示されたベクトルの大きさ

平面でのベクトルの場合
 \(\vec{a}=(\,x\,,\,y\,)\) の大きさは 

 \(\hspace{10pt}\large{\color{red}{|\vec{a}|=\sqrt{x^2+y^2}}}\)

空間ベクトルでは成分が1つ増えるだけです。
 \(\vec{a}=(\,x\,,\,y\,,\,z\,)\) の大きさは 

 \(\hspace{10pt}\large{\color{red}{|\vec{a}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}}}\)

です。
これは原点とベクトルの終点との2点間の距離に等しいので忘れないようにしておきましょう。
これを忘れていては内積も、ベクトルの最大値や最小値も何も出てきません。

ベクトルの大きさを求める方法は別にも説明していますので、ここでは基本例題で簡単に復習しておきましょう。

学校の先生では言いにくいことかもしれませんが、
ベクトルの問題はある程度機械的に処理できるんです。

これっていい加減に言っているのではなくて、
ベクトルが線型性を持っていることから、
斜交座標の意味を理解すれば普通の関数と同じように考えることが出来る、
ということを元に問題に取り組むと結構本質的なんですけど、、、
ものすごく長くなるのでやめておきます。w

教科書にはないけど、
それほど難しいことではないので余裕があれば勉強して見てください。
ベクトルが少しは面白くなると思います。

では例題で復習しましょう。

例題
ベクトル \( \vec{a} ,\vec{b}\) が、
 \( |\,\vec{a}\,| = 2 , |\,\vec{b}\,| = 3 ,  |\,\vec{a} \,+\, \vec{b}\,| = 1\) を満たすとき、
 \( |\,3 \vec{a} – \vec{b}\,|\) を求めよ。

ベクトルの大きさを見たら何をするか?
思い出せますか?

そうです。とにかく2乗します。
分かり易くするため全部のベクトルを2乗しておきましょうか。

 \( |\,\vec{a}\,|^2 = 4\) ・・・①
 \( |\,\vec{b}\,|^2 = 9\) ・・・②
 \( |\,\vec{a}\, +\, \vec{b}\,|^2 = |\,\vec{a}\,|^2 + 2 \vec{a} \cdot \vec{b} + |\,\vec{b}\,|^2 = 1\) ・・・③
 \( |\,3 \vec{a} \,- \,\vec{b}\,|^2 = 9 |\,\vec{a}\,|^2 – 6 \vec{a} \cdot \vec{b} + |\,\vec{b}\,|^2 \) ・・・④

①②③から内積 \(\vec{a} \cdot \vec{b}\) が出てきます。

2つのベクトル単体の大きさと
ベクトルの和、差の大きさがわかれば
2乗すると内積が求まるというのがポイントです。

①②を③に代入すると、
 \(  4 + 2 \vec{a} \cdot \vec{b} + 9 = 1 \)
から
 \( \vec{a} \cdot \vec{b} = -6 \) ・・・⑤

この内積の値⑤と①②を④に代入すると、
 \( |\,3 \vec{a}\, -\, \vec{b}\,|^2 = 9 \cdot 4 -6 \cdot (-6) + 9 = 81 \)
大きさなのでこの正の平方根をとって、
 \( |\,3 \vec{a} \,- \,\vec{b}\,| = 9 \)

何も考えず、大きさがあったから2乗してみた。
それだけです。

内積の注意点

共通テストやセンター試験では記述の必要がないので関係ないのですが、
内積を書くときの注意点があります。
学校でも注意されているとは思うのですが、
忘れている、間違えている人もいるので少し補足しておきます。

 \( \vec{a}  , \vec{b}\) の内積は
 \( \vec{a} \cdot \vec{b} \) とベクトルの間に「・」を打ちます。

他にも \(  ( \vec{a}\,,\,\vec{b} ) \) と表すこともありますが、
内積を \( \vec{a} \times \vec{b} \) と書くのは間違いです。
「×」は内積には使えません

 \( \vec{a} \times \vec{b} \) という表記が使えないのではなく、
違う意味を示すので内積に使うと間違い、ということです。

普通に、\(\color{red}{ \vec{a} \cdot \vec{b}} \) と書きましょう。

ベクトルの内積の定義を確認しておきます。

 \( \vec a\) と \( \vec b\) の内積は2つのベクトルのなす角を \(\theta\) とすると
 \(\hspace{10pt}\color{red}{ \vec{a}\cdot \vec{b}=|\,\vec{a}\,||\,\vec{b}\,|\,\cos \theta}\)

これは平面でも空間でも同じです。
と同時に成分での定理も確認しておきましょう。

 \(\hspace{10pt} \vec {a}=(\,x_1\,,\,y_1\,)\,,\, \vec {b}=(\,x_2\,,\,y_2\,)\)

のとき

 \(\hspace{10pt}\color{red}{ \vec{a}\cdot \vec{b}=x_1x_2\,+\,y_1y_2}\)

忘れないようにしておきましょう。

空間ベクトルの内積は
 \(\hspace{10pt}\color{red}{ \vec{a}\cdot \vec{b}=|\,\vec{a}\,||\,\vec{b}\,|\cos \theta}\)
は同じで、
成分が \(\hspace{10pt} \vec a=(\,x_1\,,\,y_1\,,\,z_1\,)\,,\, \vec b=(\,x_2\,,\,y_2\,,\,z_2\,)\) のとき
 \(\hspace{10pt}\color{red}{ \vec{a}\cdot \vec{b}=x_1x_2\,+\,y_1y_2\,+\,z_1z_2}\)
と \(\,z\,\) 成分の積が増えるだけなので覚えやすいです。

平面、空間どちらの場合でも、なす角 \( \theta\) を求めるとき、
 \(\hspace{10pt} \vec{a}\cdot \vec{b}=|\,\vec{a}\,||\,\vec{b}\,|\cos \theta\)
 \(\hspace{10pt} \vec{a}\cdot \vec{b}=x_1x_2\,+\,y_1y_2\)
両方を連立しますのでどちらも忘れないようにしましょう。

まとめ

以前の記事でも書いていますが、ベクトルの大きさ、最大、最小と来れば
「とにかく2乗してみる」
すると次が見えてくるのでベクトルへの取り組みがかなり変わって来ると思います。

やって見てください。

後は基本通り

 ・図を書いて
 ・条件を抜き出し
 ・誘導に乗る

それだけでも共通テストのベクトルは何とかなると思いますよ。
もちろんここで説明したことは共通テスト、センター試験に限らずベクトルの基本なのでおさえておく必要はあります。

ベクトルで満点を目指すなら「相似」の基本定理などは利用しますので復習しておくといいでしょう。

もちろん、基本的な用語は覚えているというのが前提ですけど。w

⇒ 平面ベクトルの要点

不要な定義や定理は入れていない?のでチェックしておくと良いです。