確率の問題でよく見る玉を同時に取り出す問題の説明をします。
ここで注意するのは同じ色の玉がある場合ですが、あつかいかたを間違えなければそれほど多くの考え方を必要とはしません。
順列や組合せを計算任せにせず、基本的な考え方がしっかりできていれば大丈夫ですよ。

玉を同時に取り出すことはできない

これは取り出し口が小さくて、
欲張った猿が箱の中で握ったバナナを離さず手が抜けない、
というバカな話ではありません。

考え方の問題ですが、
2つの玉を取り出したとき全く同時というのはあり得るのでしょうか。
1つ取り出して、2つ目を取り出す時間差というものを考えたとき、
どれだけ空いていれば同時ではなくなるのでしょう?

1秒?10秒?または0.1秒?
現実的には1億分の1秒の差もなく同時に取り出せる、
という人はいないでしょう。

もちろん「理論上の仮定」という設定だというのは分かっていますが、
そんな必要ありますか?
同時に取り出したようで実は1つひとつ取り出していることにはなりませんか?
「同時に取り出して」
という言葉は、
元に戻さず2回とる
というのと確率的に同じだということを示していきます。

玉を取り出して元に戻さない問題の解き方

元に戻さない場合の試行を「非復元抽出」というのですが、
この試行においては1つひとつの「試行は独立していない」といいます。
1つの試行はもう1つの試行に影響する、
つまり順番が関係している、ということです。

難しい言葉はおいておき、問題で確認すべきことを確認しましょう。
「同時」という言葉に惑わされなくなりますよ。

例題1
袋の中に白玉6個と黒玉4個が入っている。
この中から無作為に1個取り出し、これを元に戻さないでさらに無作為に1個取り出すとき、1個が白玉、1個が黒玉である確率を求めよ。

「戻さないで2回玉を取る」問題です。
普通に解いてみましょう。

全部で10個ある玉の中から1回目、2回目と分けて2個の玉を取り出す方法は全部で
 \( N=_{10}\mathrm{P}_2=10\times 9=90\) (通り)で、
10個のものから2個選んで並べる順列です。
これらはすべて同じ確率で起こります。

このうち「1個が白玉、1個が黒玉」となる取りだし方は、
ⅰ)1回目が白、2回目が黒
ⅱ)1回目が黒、2回目が白
のどちらかで
 ⅰ)は \(\mathrm{_6C_1\times _4C_1=24}\) 通り
 ⅱ)は \(\mathrm{_4C_1\times _6C_1=24}\) 通り
で合わせて \( r=24+24=48\) 通り。

よって求める確率 \( p\) は

 p=\dfrac{r}{N}=\dfrac{48}{90}=\dfrac{8}{15}

では問題を変えましょう。

例題2
袋の中に白玉6個と黒玉4個が入っている。
この中から同時に2個の玉を取り出すとき、1個が白玉、1個が黒玉である確率を求めよ。

10個の玉から2個の玉を選ぶ選び方は全部で \( \mathrm{_{10}C_2}\)
という組合せになります。(順列ではありません。)

白玉1個を選ぶ選び方は \( \mathrm{_6C_1}\)
黒玉1個を選ぶ選び方は \( \mathrm{_4C_1}\)
なので求める確率は

 p=\mathrm{\dfrac{_6C_1\cdot _4C_1}{_{10}C_2}}=\dfrac{24}{45}=\dfrac{8}{15}

「1個ずつ取り出す」「2個同時に取り出す」
確率は同じでしょう?

順番に1個ずつ取り出すことと、
取り出す2個を同時に選んで順番を決める、
というのは同じことだからです。

乗法定理を使えるならこの問題はもっと簡単に答が出ます。

白と黒1個ずつ取り出す方法は、
ⅰ)1回目白、2回目黒
ⅱ)1回目黒、2回目白
の取りだし方が考えられます。

1回目白である確率は10固中6個が白なので \(\displaystyle \frac{6}{10}\)
2回目黒である確率は残り9個中4個が黒なので \(\displaystyle \frac{4}{9}\)

ⅰ)はこれをかければ確率が出ます。

 \dfrac{6}{10}\times \dfrac{4}{9}=\dfrac{4}{15}

ⅱ)も同様に

 \dfrac{4}{10}\times \dfrac{6}{9}=\dfrac{4}{15}

ⅰ)ⅱ)は同時には起こりませんので、求める確率はこの和です。

 p=\dfrac{4}{15}+\dfrac{4}{15}=\dfrac{8}{15}

普段は取り出す順序を方法を自分で決めて、
取りだし方を後でかけるということしかしないのですが、
ちょっと長くなるのでここでは省略します。

玉を取り出して元に戻す問題の考え方

「取り出してもとに戻す」これを「復元抽出」といいます。
この方法は1回1回の試行は別々に考えて良いので、
サイコロと同じ考えで良いのです。
サイコロって1回降ると数字が消えるということはありませんよね?
あれと同じです。

ただし、元に戻すということは、
「同時に取り出す」
ということはできませんよ。

例題3
袋の中に白玉6個と黒玉4個が入っている。
この中から無作為に1個取り出して色を確認してからこれを元に戻し、さらに無作為に1個取り出すとき、2個とも白玉である確率を求めよ。

組合せを利用すると、
10個の中から1個取り出す方法は全部で \( \mathrm{_{10}C_1}\)

白を1個取り出す方法は \( \mathrm{_6C_1}\)

元に戻しているのだから1回目白である確率と2回目白である確率は同じで、
求める確率は

p=\dfrac{\mathrm{_6C_1}}{\mathrm{_{10}C_1}}\cdot \dfrac{\mathrm{_6C_1}}{\mathrm{_{10}C_1}}=\dfrac{6}{10}\times \dfrac{6}{10}=\dfrac{9}{25}

確率のかけ算が使えるなら
1回目に白を取り出す確率は \(\displaystyle \frac{6}{10}=\frac{3}{5}\)
2回目も白を取り出す確率は、最初の状態と同じで \(\displaystyle \frac{6}{10}=\frac{3}{5}\)
2回とも白である確率は \(\displaystyle \frac{3}{5}\times \frac{3}{5}=\frac{9}{25}\)

サイコロも同じように確率は求まります。

同じ色の玉が複数ある問題の解き方と注意点

組合せを考えて確率を求めようとするときは、注意点がありますのでお伝えしておきます。

例題4
袋の中に赤玉4個,白玉4個,黒玉が2個ある。
袋の中より任意に4個の玉を取り 出すとき、その4個の玉が2種類の色からなる確率を求めよ。また、3種類の色からなる確率を求めよ。

順列や組合せを通してここまで来れば、何をするかは分かるでしょう?
そうです。
「場合」を書き出すことから始めます。

4個の球が2種類になるのは、「赤と白」「赤と黒」「白と黒」の3通りあります。
それぞれについて数え上げていきます。
しかし、確率で重要なのは、すべての球を区別しておかなければならないことです。
これは後で説明します。

ⅰ)「赤と白」のとき、赤の数と白の数は何個ずつかは分かりません。
例えば、
「赤3個+白1個」、「赤2個+白2個」、「赤1個+白3個」があります。
それぞれを計算して求めても良いのですが、これを別々に計算すると結構時間がかかります。
そこで、
赤4白4の8個の中から4つを選んで、
 赤4+白0、赤0+白4 の場合を除けば良いのです。

どういうことかと言うと、赤4白4の8個の中から4つを選んで取り出す方法は、
「赤4白0」,「赤3白1」,「赤2白2」,「赤1白3」,「赤0白4」
の場合がありますが、
「赤4白0」,「赤0白4」 (一色だけの取りだし方)
は一通りしかありません。

よって、「赤3+白1」、「赤2+白2」、「赤1+白3」の場合の数は、
8個から4個を取り出す \( \mathrm{_8C_4}\) から「赤4白0,赤0白4」の場合を引けば良いのです。
よって、「赤と白」の取り出し方は、\( \mathrm{_8C_4}-2\) 通り。

ここが分かれば後は問題ありません。
ⅱ)「赤と黒」の場合も同様に考えると、6個の中から4個を取り出し、その中から、
赤4黒0(赤0黒4は黒が2個しかないからあり得ない)の場合を引けばいい。
よって、「赤と黒」で4個を取り出す方法は、\( \mathrm{_6C_4}-1\) 通り。

ⅲ)「白と黒」の場合は、ⅱ)と同じく \(\mathrm{_6C_4}-1\) 通り。

ⅰ)からⅲ)より2色で取り出す方法は、

 (\mathrm{_8C_4}-2)+2\times (\mathrm{_6C_4}-1)

となります。

ところで、全部で10個ある球から4個取り出す方法は、
全部で \( \mathrm{_{10}C_4}\) なので求める確率は、

 \mathrm{\dfrac{(\mathrm{_8C_4}-2)+2\times (\mathrm{_6C_4}-1)}{_{10}C_4}}=\dfrac{16}{35}

と、ここまでは間違えてはいないのですが、注意することがあります。

同色の球を区別せず、4個の組が
 (赤4白0)(赤3白1)(赤2白2)(赤1白3)(赤0白4)
 (赤4黒0)(赤3黒1)(赤2黒2)
 (白4黒0)(白3黒1)(白2黒2)
の11組あり、2色の組みが、
 (赤3白1)(赤2白2)(赤1白3)(赤3黒1)(赤2黒2)(白3黒1)(白2黒2)
の7組あるから求める確率を \(\displaystyle \frac{7}{11}\) とするのは間違いです。

赤、白、黒の球の数が違うので組によって確からしさが違うので、
すべての確率が同じとは言えないからです。

確率は「1つひとつの『場合』が同様に確からしい」、という前提があります。
だから同じように見えるもの(ここでは同色の球)も区別する必要があるのです。

同じ色なんだからあとで区別はなくさなくて良いのか?
というと、分母も区別をしていますので区別をなくす必要がないわけですね。
同等に確からしい上ですべて調べたわけですから。

次に3色の場合も同様に、同色の球は区別して、
「赤-白-黒」の個数が、
「2-1-1」の場合: \( \mathrm{_4C_2\times _4C_1\times _2C_1=6\times 4\times 2=48}\)
「1-2-1」の場合: \( \mathrm{_4C_1\times _4C_2\times _2C_1=4\times 6\times 2=48}\)
「1-1-2」の場合: \( \mathrm{_4C_1\times _4C_1\times _2C_2=4\times 4\times 1=16}\)
の計112通りがあるので求める確率は、

 p=\mathrm{\dfrac{112}{_{10}C_4}}=\dfrac{112}{210}=\dfrac{8}{15}

となります。

確率を求めるときはすべて区別しよう!
という話です。

⇒ 場合の数 順列と組み合わせの違いと並べ方問題の解き方
順列と組合せの違いは区別できるようになっておく必要はありますよ。

次はサイコロの問題を解いておきましょう。

⇒ サイコロを2つまたは3つ以上振る確率の求め方と重複試行

重複試行と呼ばれるものですが、
あまり考えなくて良くなります。