数列の一般項の求め方はいろいろとあります。
初項からの規則性で求めるものが基本になりますが、第n項までの「和Sn」が分かっている場合にも一般項を求めることができます。
これは特別な方法があるのではなく、数列の問題に取り組むときの基本的な操作ができれば求まります。

数列の初項から第n項までの和

「和」と見れば「公式」、ではありません。

数列 \(a_n\) において第 \( n\) 項までの和 \( S_n\) は、

 \( S_n=a_1+a_2+\cdots +a_{n-1}+a_n\)

です。
公式だけだと表せない和も出てくるので、
具体的に並べる、ということも覚えておきましょう。

和の公式があるのは

 初項が \( a\) 公差が \( d\) の
等差数列の和

 \(\displaystyle \color{red}{S_n=\frac{n}{2}\{2a+(n-1)d\}}\)

 初項が \( a\) 公比が \( r(r\neq 1)\) の
等比数列の和

 \(\displaystyle \color{red}{S_n=\frac{a(r^n-1)}{r-1}}\)

自然数の累乗の和

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2}n(n+1)}\)

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)}\)

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k^3=\left\{ \frac{1}{2}n(n+1) \right\}^2}\)

です。
シグマの計算公式はこの3つだけで、シグマは単に「和」を表す記号だということは忘れないでください。
⇒ 数列のシグマ(Σ)の意味と公式と計算方法

数列の和と一般項の関係

数列 \( {a_n}\) の初項から第 \( n\) 項までの和 \(S_n\) が \( n\) の式で表されているとき、
教科書的に書くと、

 \( n=1\) のとき \( a_1=S_1\)

 \( \color{red}{n ≧ 2}\) のとき \( \color{red}{a_n=S_n-S_{n-1}}\)

となります。
覚えている人はすぐに
「 \( n=1\) のときに注意するヤツだ。」
と気がつくでしょう。
そうです、階差数列と同じで \( n=1\) のときを別に調べないと不十分なものです。

(教科書にもあると思いますが)
これを数列の和を書き出す形でもう一度説明しておきます。

数列 \(\{a_n\}\) の
第 \(n\) 項までの和は

 \( S_n=a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}+a_n\)

第 \((n-1)\) 項までの和は

 \( S_{n-1}=a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}\)

と表せます。

 \( S_n\) と \( S_{n-1}\) との違いは \( a_n\) だけです。
辺々引くと
 \(\hspace{40pt}\color{red}{S_n} \hspace{7pt}= a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}+\color{red}{a_n}\\
\hspace{20pt}\underline {-)\hspace{7pt} \color{red}{S_{n-1}} = a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}\hspace{30pt}}\)
 \(\hspace{7pt}\color{red}{S_n-S_{n-1}}=\color{red}{a_n}\) ・・・☆

この関係式を見れば分かるように、
数列 \( \{a_n\}\) は \(S_n\) の階差数列になっていることを意味しています。

ただし、\( S_0\) は定義されていないので \( n\,≧\,2\) の場合です。
 \( n=1\) のときは \(S_1=a_1\) を別に調べます。

 \( n=1\) のときと \( n\,≧\,2\) のときで、
同じ式で表される場合に \(n\,≧\,1\) としてまとめて書けるだけなので、
 \( n=1\) のときは必ず調べておきましょう。

和が n の式で表されているときの一般項を求める方法

例題で見ておきましょう。

例題1
初項から第 \(n\) 項までの和が

 \(S_n=n^2+n\)

で表される数列 \({a_n}\) の一般項 \( a_n\) を求めよ。

このように \( S_n\) が \( n\) の式で表されたときは、
すぐに \( S_n-S_{n-1}\) を計算して、
 \( n=1\) のときと \( n\,≧\,2\) のときを場合分けしてください。

他は何も考える必要はありません。
計算に集中してください。

例外もありますが、すぐに見分けがつきます。

ほとんどの問題は \(n=1\) でも一致するのですが、
嫌らしい(少し難しい?)問題では違う場合があるのです。

そのときは、\(n=1\) のときと、\( n\,≧\,2\) のときで答えをかき分けます。

場合分けをするのが標準で、一致するのがたまたまだと思っていて良いですよ。

ここではどうでしょうか、見てみましょう。

 \(S_n\) の \( n\) を添え字といいますが、
 \(S_n\) の \(n\) と多項式の \(n\) とは一致します。

例えば、\( Sn=n^2+n\) の場合、

 \( S_a\) は \(S_a=(a)^2+(a)\)

と、\(\color{red}{すべての n の代わりに a を代入する}\)ことになります。

だから、
 \(S_n=n^2+n\) のとき、

 \(S_{\color{red}{n-1}}=(\color{red}{n-1})^2+(\color{red}{n-1})\)

で☆から、\( n\,≧\,2\) において

 \(a_n=S_n-S_{n-1}\\ \\
=(n^2+n)-\{(n-1)^2+(n-1)\}\\ \\
=n^2+n-(n^2-2n+1+n-1)\\ \\
=n^2+n-n^2+n\)
 \(=2n\) ・・・①

 \( n=1\) のとき \( S_1=1^2+1=2\) で
①において \( n=1\) としたときの \(a_1=2\) に一致します。
よって
 \( a_n=2n \hspace{10pt}(n\,≧\,1)\)

これが一般的です。

ただ、ちょっと次の問題を見てください。

初項だけが違う場合の例題

例題2
初項から第 \(n\) 項までの和が
 \( S=2^n\) で表される数列 \( \{a_n\}\) の
 一般項 \( a_n\) を求めよ。

 \( a_n=S_n-S_{n-1}\) を使います。

 \(n\,≧\,2\) のとき
 \(a_n=S_n-S_{n-1}\\ \\
=2^n-2^{n-1}\)
 \(=2^{n-1}\) ・・・②

 \( n=1\) のとき \( S_1=a_1=2\) ですが、
②で \( n=1\) とおくと \( a_1=1\) で一致しません。

こういう場合は、\(n=1\) を書き分けます。

 \( n\,=\,1\) のとき \( a_1=2\)
 \( n\,≧\,2\) のとき \( a_n=2^{n-1}\)

この数列 \( \{a_n\}\) は
 \( 2,2,4,8,16,\cdots\) となっています。

第2項以降は等比数列ですが、
初項を含めて全体では等比数列ではありません

こっちを標準的な問題としておくと、場合分けの抜け落ちがなくなりますよ。

階差が使えない和も例外としてあります。

⇒ シグマ(Σ)の計算公式が使えない数列と複雑な和の計算方法

これを見れば何が使える問題か、すぐに判断できるようになります。