数列で出てくるシグマ(Σ)は公式だと勘違いしている人が多くいます。
シグマの本当の意味と計算方法をここで理解しておきましょう。
シグマで表せる公式も存在していますのではっきりと区別して苦手意識を取り去って下さい。
後は計算力だけの差となります。

シグマの意味と使い方

Σについて始めに

『 \( \sum\) (シグマ)』とはギリシャ語の『和』を意味し、英語の「sum 」と同じです。

だから無理に \( \sum\) 記号を使う必要はなくて、
今まで使ってきた和算の形で表してもいいのです。
しかし、
便利な記号であり頻繁に使われるものなので使えるようになりましょう。

たとえば、

 \( 1+2+3+\cdots +(n-2)+(n-1)+n\)

は自然数の和を表しています。
数列をある程度知っていれば、これを等差数列の和と見ることはできるでしょう。
(初項1、公差1の等差数列 \( n\) 項の和です。)

ただ、この和を表すのに項をいくつも、いつまでも書くのは面倒です。
そこで、
この一つ一つの項を一般的に表したものを利用して、
 \( \sum\) 記号を使って表すと、

 \( 1+2+3+\cdots+k+\cdots+(n-1)+n=\displaystyle \sum_{k=1}^n k\)  ・・・☆

のように表します。(使い方は後で詳しく説明します。)

 \( k\) は1から \( n\) まで変化しますが、
このとき、\( k\) はここでは自然数として変化するということは注意して下さい。
(数列の添え字は「番号」を示しているので整数です。)

☆の左辺は \( n\) が決まっていないのですべて書き出せばいつまでも書かなければなりません。
しかし、右辺のように書けば記号一つで済むという便利なものなのです。

つまり、シグマは公式ではなくて、「和を表す記号」ということです。

シグマの使い方と定義

では、具体的な使い方の説明に入りましょう。
と、その前に \(\sum\) 記号の定義をしておきます。

上の自然数の列を数列 \( \{a_n\}\) に置き換えて、

(定義)
 \( n\) を自然数とするとき、
 \(\displaystyle \sum_{k=1}^n n_k=a_1+a_2+a_3+\cdots+a_n\)
つまり、
 数列 \(\{a_k\}\) において
 \( k=1\,のときの\,a_1\,,\,k=2\,のときの\,a_2\,,\,\cdots\,,\,k=nのときの\,a_n\)
を「和」したものをシグマで表す。
ということです。

繰り返します。
『 \( k\) が \(1\) から \( n\) まで自然数として変化して、出てきた項すべてを加えたもの和』
を \(\sum\) で表しているだけです。

 \(\sum\) 記号の下の数字は始まりの番号数上の数は最後の番号数です。
(自然数で定義されたΣですが、0も習慣的に使っています。)

記号の下には添え字の \( k\) に入る数字を「 \( \color{green}{k=}\) 」と書きますが、\(\color{red}{上の「 k= 」は省略}\)されます。
例1
 \(\displaystyle \sum_{\color{green}{ k=1}}^\color{red}{5} n_k=a_1+a_2+a_3+a_4+a_5\)

数列 \( \{a_k\}\) が複雑な \(k\) の式でも同じです。 
例2
 \(\displaystyle \sum_{\color{green}{k=1}}^\color{red}{3} (k^2-3k)=(1^2-3\cdot 1)+(2^2-3\cdot2)+(3^2-3\cdot 3)\)

ここまでは良いでしょうか?
では、

問題①

 \( 1+3+5+\cdots +(2n-1)\) を \( \sum\) を用いて表せ。

ここまででシグマ(\(\sum\))記号についての誤解は解けましたか?
「和」ですからね。

添え字、添字について

 \(\sum\) の上限、下限に使っている添字 \(k\) は何を使っても構いません。
(上限のものは省略される)

これは項の代表を文字で表していて、何を変化させているか、だけの意味ですので好きな文字を使って構いません。
習慣的には(高校の教科書では) \(k\) が多いですね。

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^3 k=\sum_{i=1}^3 i=\sum_{m=1}^3 m=1+2+3\)

ただ、誤解が多いのが上限に \( n\) があるときです。

多くの一般項は \(\{a_n\}\) のように添字が \(n\) で表されます。
だから添字を \( k\) に変えて、
 \( n\) までの和とするとき、混乱するんでしょうね。

 \(\color{red}{上限の n は単なる定数}\)となっているのでその点に気をつけましょう。
たとえば、
問題①の第 \( n\) 項は、\( a_n=2n-1\) です。
(第 \( n\) 項は末項)

この数列の1つ項を代表する第 \( k\) 項を \( a_k=2k-1\) として、
この \( k\) が1から \( n\) まで変化する、とするのです。
(「 \( n\) が1から \( n\) まで変化する」、としたら変でしょう?)

あくまで \( n\) は定数として扱います。

問題①の答えは、

\( 1+3+5+\cdots +(2n-1)\\ \\
=1+3+5+\cdots+(2k-1)+\cdots +(2n-1)\\ \\
=\displaystyle \sum_{k=1}^n (2k-1)\)

となりますね。
(添字の性質はまた後でも出てきます。)

シグマ(Σ)計算と公式

何度も言うことになってしまいくどいですが、
 \(\color{red}{\sum は一つの決まった演算子ではない}\)
(演算子とは+,-,×、÷などのこと)
ということです。

確かに「添え字の変化分の和」という計算ですが、\(\sum\) 自体に決まった計算式はありません。

何故みんなが\(\sum\)計算を苦手にするかというと、\(\sum\)で表される公式もあるからです。
公式はあるけど、全てが公式で計算できるわけではないのです。

シグマの公式は3つだけ

公式とは、

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2} n(n+1)}\)  ・・・①

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6} n(n+1)(2n+1)}\)  ・・・②

 \( \displaystyle \color{red}{\sum_{k=1}^n k^3=\left\{\frac{1}{2} n(n+1)\right\}^2}\)  ・・・③

の三つだけです。

しかし、今までの数列の内容を見て下さい。
和の公式ってこれだけではなかったでしょう?
⇒ 等差数列の和の公式
⇒ 等比数列の和の公式

またはそれらの混じった数列の和、などを求めて来たと思います。

今までは数列の和を、

 \(S_n=a_1+a_2+a_3+\cdots +a_n\)

としていました。 
この \( S_n\) の代わりに\(\sum\)を使っているだけということです。

 \( \displaystyle S_n=a_1+a_2+a_3+\cdots +a_n=\sum_{k=1}^n a_k\)

シグマが和の表現方法だと分かれば後は使えるようになれるだけ。

ですが、シグマにも線型性(計算法則)というものがあります。

シグマの計算法則(線型性)

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n (a_k+b_k)=\sum_{k=1}^n a_k+\sum_{k=1}^n b_k\)  ・・・④

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n ca_k=c\sum_{k=1}^n a_k\) ( \( c\) は \( k\) に関係しない定数)   ・・・⑤

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n c=cn\) (⑤の \(a_k=1\) の場合です。)  ・・・⑥

これは直感的にわかると思うので説明は簡単にしておきます。(教科書にあるはず。)

たとえば④は、

 \( 1+2+3+4+5+6+\cdots+(2n-1)+2n \\ \\
=\{1+3+5+\cdots+(2n-1)\}+(2+4+6+\cdots+2n)\)

と上の式を下のように分けて計算しても、
逆に下の式を上の式のようにあわせて計算しても結果は変わりません。
(自然数の和だから、奇数の和と偶数の和を合わせれば求まります。)
また、

 \( 2+4+6+8+\cdots+2n \\ \\
=2(1+2+3+4+\cdots+n)\)

ですよね?
元の数を2で割ったものの和を2倍すれば元の和になる。これが⑤です。

⑥は説明するまでもなく明らかでしょう。

 \( 3+3+3+\cdots+3 \\ \\
=3(1+1+1+\cdots+1)=3n\)
( \( k\) には関係の無い定数が \(n\) 個足されるだけです。)

④⑤⑥は組み合わせて使うことができます。
間違えるとすれば、④が積のときにも使えるように計算してしまうことですが、
ここでは基本的なことだけにしておきます。・・・・※①

今は前に進みましょう。

さて、ここまで来れば後はいろいろな数列の和にΣを使ってみましょう。
等差数列から、複雑な数列まで「和」となっているものすべてに使えます。

ここからがあなたにとっての本番です。
自分で書いて、確認しながら進めて下さい。

特に上限が \( n\) ではないときはややこしく感じると思いますが、
添字の性質になれてくれば後は数式の処理能力だけの問題なので、
計算力をつけておくためにも練習が必要です。

「Σが分からない」のではなく、
「式の計算ができない」ということの無いようにしましょう!

ここまでが説明で、後は計算しながらの使い方なので一度止めておきます。

さっき説明を後回しにした「※①」をここで説明しておきます。

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_kb_k=\left(\sum_{k=1}^n a_k\right)\left(\sum_{k=1}^n b_k\right)\)  ・・・⑦

は、一般にはなり立ちません。
たとえば、
計算公式から

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6} n(n+1)(2n+1)\)  ・・・②

ですが、

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n k^2=\sum_{k=1}^n k\cdot k=\left(\sum_{k=1}^n k\right)\left(\sum_{k=1}^n k\right)\)

とすると、①から

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^n k^2=\left(\sum_{k=1}^n k\right)\left(\sum_{k=1}^n k\right)=\frac{1}{4}n^2(n+1)^2\)
(これはうその計算ですよ。)
となり、②と違う結果になります。

もう一つ簡単な確認方法は、\( n=2\) とすると、
②では

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^2 k^2=1^2+2^2=\frac{1}{6}\cdot 2(2+1)(2\cdot2+1)=5\)

⑦では

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^2 k^2=\left(\sum_{k=1}^2 k\right)\left(\sum_{k=1}^2 k\right)=(1+2)(1+2)=9\)

となって結果が違うでしょう? 
繰り返しになりますが、
重要なことなので何度も繰り返します。
①②③は、\( k\) ,\( k^2\) ,\( k^3\) だけに使える限定的な公式なのです。

シグマについておさえておきたいポイントはまだまだ続きますが
⇒ 数列 シグマ(Σ)の使い方や表し方と注意点
は数列全体に影響するので理解しておいた方が良いですよ。