漸化式が累乗になっている形、数列anの2乗とか3乗の積で表されているパターンの解き方です。
これは3項間の漸化式に変化する場合が多いのですが、単純なものが多いので難しくありません。
他のタイプの漸化式と同じで、最初の処理のしかたで決まるので確認しておきましょう。
累乗になってる漸化式の解き方
このパターンの漸化式は「推測して帰納法」はちょっと難しいでしょう。
普通なら誘導がつくでしょうけど、「誘導なしでも解ける」、が良いですよね。
最初だけが今までと違うだけなので簡単ですよ。
項がすべて正である数列 \( \{a_n\}\) において
\(a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_2=10\hspace{7pt},\)
\( {a_n}^2\,a_{n-2}={a_{n-1}}^3\hspace{7pt}(n=3\,,\,4\,,\,\cdots\,)\)
とするとき、この数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
「数列」が「指数対数」の前に入っている課程のときはどうしてたんだ?
という疑問はさておき、
(メンドクサイことに、指数対数をやって、その後数列の応用として復習に取り入れていたのです。それまではないものとして無視されてました。笑)
漸化式の両辺の常用対数を取ります。
すべての項が正であることから
(対数の真数は正である必要があります。)
\(\hspace{10pt} {a_n}^2\,a_{n-2} = {a_{n-1}}^3\\
\Leftrightarrow \hspace{7pt}\log_{10}\{{a_n}^2\,a_{n-2}\}=\log_{10}\{{a_{n-1}}^3\}\\
\Leftrightarrow \hspace{7pt}2\log_{10}a_n+\log_{10}a_{n-2}=3\log_{10}a_{n-1} ・・・☆\)
ここで\(\, \color{red}{\log_{10}a_n=b_n}\,\)とおくと
\(\hspace{10pt} \color{red} {\log_{10}a_{n-1}=b_{n-1}}\)
\(\hspace{10pt} \color{red} {\log_{10}a_{n-2}=b_{n-2}}\)
となるので、\(☆\)は
\(\hspace{10pt} 2\color{red}{b_n}+\color{red}{b_{n-2}}=3\color{red}{b_{n-1}}\\
\Leftrightarrow 2b_n-3b_{n-1}+b_{n-2}=0\\
\Leftrightarrow \displaystyle b_n-\frac{3}{2}b_{n-1}+\frac{1}{2}b_{n-2}=0\)
ここまでくれば後は普通の3項間漸化式です。
好きな解き方で解いてください。
と、終わるわけにもいきませんので解いておきます。
疑問が出てくるだろうなあ、ということにも後でお答えしておきます。
\(\hspace{10pt} b_n-\displaystyle \frac{3}{2}b_{n-1}+\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-2}=0\)
これを変形しますが特定方程式を利用して、連立することにします。
\(\hspace{10pt} t^2-\displaystyle \frac{3}{2}t+\displaystyle \frac{1}{2}=0\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} 2t^2-3t+1=0\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} (2t-1)(t-1)=0\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} t=\displaystyle \frac{1}{2}\hspace{7pt},\hspace{7pt}1\)
から
\( \begin{cases}
\hspace{7pt} b_{n}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-1}=b_{n-1}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-2}\\
\hspace{7pt} b_{n}-b_{n-1}=\displaystyle \frac{1}{2}(b_{n-1}-b_{n-2})\\\end{cases}\)
とふた通りの変形ができます。
\(\hspace{10pt} b_{n}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-1}=b_{n-1}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-2}\)
これは公比が1の数列、つまり定数数列なので
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
b_{n}- \frac{1}{2}b_{n-1}&=&b_{n-1}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-2}\\
&=&b_{n-2}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-3}\\
&=&\cdots \\
&=&\color{red}{b_2-\displaystyle \frac{1}{2}b_1}\end{eqnarray}\)
ここで
\(\hspace{10pt} b_1=\log_{10}a_1=\log_{10}1=0\)
\(\hspace{10pt} b_2=\log_{10}a_2=\log_{10}10=1\)
から
\(\hspace{10pt}\color{red}{\displaystyle b_2-\frac{1}{2}b_1}=1-0=1\)
なので
\(\displaystyle b_{n}-\frac{1}{2}b_{n-1}=1\) ・・・①
変形したもう一つの漸化式
\(\hspace{10pt} b_{n}-b_{n-1}=\displaystyle \frac{1}{2}(b_{n-1}-b_{n-2})\)
これは等比数列なので、\(\,n\,\) が\(\, 1\rightarrow (n-1)\)まで変化するとき、
項数が\(\,\color{blue}{n-1}\,\)項であることに注意して
\(\hspace{10pt} b_{n}-b_{n-1}=(b_2-b_1)\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{\color{red}{n-2}}\)
初項は\(\,(b_2-b_1)=1-0\,=1\,\)
だから
\(\hspace{10pt}\displaystyle b_{n}-b_{n-1}=\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\) ・・・②
①を2倍して
\(\hspace{10pt} 2b_{n}-b_{n-1}=2\) ・・・①’
①’②から\(\, b_{n-1}\,\)を消去すると\(\,(①’-②)\,\)
\( \hspace{10pt}b_n=2-\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{n-2}\)
よって
\(\hspace{10pt} b_n=\log_{10}a_n \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a_n=10^{b_n}\)
\(∴ \displaystyle \underline{ a_n=10^{\left\{2-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}} }\)
もっときれいな答になる問題にすれば良かった。
漸化式の対数を取るときの底を決める方法
ところで、この底の「\(\,10\,\)」は常用対数を取ったからなのか?
常用対数でなければダメなのか?
と考えた人は物事を深く考える人ですね。
科学者に向いているのではないでしょうか。
違います。
常用対数でなくてもかまいません。
例えば底を「\(\,2\,\)」として、
\(\hspace{10pt}\log_{2}a_n=b_n\)
とすると
\( \begin{cases}
\hspace{7pt} b_{n}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-1}=b_{n-1}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-2}\\
\hspace{7pt} b_{n}-b_{n-1}=\displaystyle \frac{1}{2}(b_{n-1}-b_{n-2})\\
\end{cases}\)
となって
\( \begin{cases}
\hspace{7pt} b_{n}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-1}=b_2-\displaystyle \frac{1}{2}b_1\\
\hspace{7pt} b_{n}-b_{n-1}=(b_2-b_1)\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{n-2}\\
\end{cases}\)
までは同じです。
ここからが違って
\(\hspace{10pt} b_1=\log_{2}a_1=\log_{2}1=0\)
\(\hspace{10pt} b_2=\log_{2}a_2=\log_{2}10\)
なので
\(\hspace{10pt} b_{n}-\displaystyle \frac{1}{2}b_{n-1}=\log_{2}10\) ・・・③
\(\hspace{10pt} b_{n}-b_{n-1}=\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{n-2}\cdot \log_{2}10\) ・・・④
これらから\(\,b_{n-1}\,\)を消去して
(\(\,③\times 2-④\,\))
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
b_n&=&2\log_{2}10-\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{n-2}\cdot \log_{2}10\\
&=&\left\{2-\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}\log_{2}10\\
&=&\log_{2}10^{\left\{2-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}}\end{eqnarray}\)
ここで
\(\hspace{10pt} b_n=\log_{2}a_n\)
なので
\(\hspace{10pt} \log_{2}a_n=\log_{2}10^{\left\{2-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}}\)
底が同じだから真数どうしは等しくなるので
\( ∴ \hspace{7pt} a_n=10^{\left\{2-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}}\)
ね、同じでしょう。
その問題に適した底があるかもしれません。
でも、底は何が良いか?と探し、あれこれ考えるより、最初から常用対数を取った方が早いだろ!ってことです。
次は
指数や対数関数での基本って知ってますか?
そんな感じのパターンです。
⇒ 漸化式の解き方パターン一覧と一般項の求め方まとめ(階差数列、分数、累乗など)
どこまでやるかは本人次第ですが、数学の成績の上限を決めるのも自分次第です。