確率の問題としては数少ないですが、袋の中にある玉の数を求める応用問題の解き方です。
「確率」という言葉が問題にあると方程式とはつなげにくいと思うのですが、ちょっと柔軟にとらえてください。
基本的な考え方は「排反事象の加法定理」の利用です。
確率に方程式
「確率を求めよ。」
というのが普通の問題の形式なので応用といえるかもしれません。
しかし、確率だから方程式を使ってはいけない、というほど数学は窮屈なものではありませんよ。
文字をうまく使う練習として見ておいてください。
袋の中に赤球と白球合わせて36個入っている。
この袋から2個を取り出すとき、取り出された2個が同じ色である確率が \(\displaystyle \frac{1}{2}\) となるとき、白球は何個入っているか。
ただし、白球の個数が赤球より多いものとする。
確率に方程式を用いた簡単な問題です。
「求めたいものを文字で置く」
という文章題解法の基本から、白玉の個数を \(x\) とおきます。
すると、赤球は \(36-x\) (個)となります。
ここがポイントですが中学1年生のときに「方程式」で練習したと思います。
ただし、ここでは条件がついています。
「白玉の方が赤球より多い」ので、
\( x>36-x\)
から
\( x>18\)
です。これを忘れないようにして下さい。
次に確率を考えます。
排反事象の加法定理とは
同じ色を取り出す場合は、「赤球2つ」か「白玉2つ」のふた通りで、この2つは排反です。
ここで排反事象の定理を1つ確認しておきましょう。
[定理]
\(A_1,A_2,\cdots A_k\) のうち、どの2つも排反ならば、これら \(k\) 個の事象は互いに排反であるといい、そのとき
\( P(A_1\cup A_2\cup \cdots \cup A_k)=P(A_1)+P(A_2)+\cdots P(A_k)\)
が成り立つ。
これを『排反事象の加法定理』というので覚えておくと良いです。
用語は覚えていなくても使っていますね。
場合を分けて確率を足す、ということです。
赤球2つの場合:
一つ目が赤で、二つ目も赤のときです。
赤球は \(36-x\) 個あるので「一つ目が赤」である確率は、
\( \displaystyle \frac{36-x}{36}\)
「二つ目も赤」になる確率は1つ引いて赤が1つ減っているので、
\( \displaystyle \frac{35-x}{35}\)
よって、2つとも赤になる確率は、
\(\displaystyle\frac{36-x}{36}\times \frac{35-x}{35}\) ・・・①
白玉2つの場合:
一つ目が白で、二つ目も白のときです。
白玉は \(x\) 個あるので、「一つ目が白」である確率は、
\( \displaystyle \frac{x}{36}\)
「二つ目も白」になる確率は白が1つ減っているので、
\( \displaystyle \frac{x-1}{35}\)
よって、2つとも白になる確率は、
\(\displaystyle\frac{x}{36}\times \frac{x-1}{35}\) ・・・②
①②より2個が同じ色になる確率は、2つの場合の「確率の和」になるので
\( \displaystyle \frac{36-x}{36}\times \displaystyle \frac{35-x}{35}+\displaystyle \frac{x}{36}\times \displaystyle \frac{x-1}{35}\)
①と②は排反事象のそれぞれの確率を表しています。
「排反事象の加法定理」により、
「2個が同じ色である確率」は「①と②の和」となります。
これが \(\displaystyle\frac{1}{2}\) になることが問題の条件なので
\( \displaystyle \frac{36-x}{36}\times \displaystyle \frac{35-x}{35}+\displaystyle \frac{x}{36}\times \displaystyle \frac{x-1}{35}=\displaystyle \frac{1}{2}\)
この方程式を解きますが2次方程式なので中学生でも解けます。
このときに答は玉の数なので整数じゃないとダメですよ。
整数でない答が出たら、計算ミスの可能性が高いです。
両辺に \( 36\times 35\) をかけて
\( (36-x)(35-x)+x(x-1)=\displaystyle \frac{1}{2}\times 36\times 35\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (x-36)(x-35)+x(x-1)=18\times 35\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} x^2-71x+1260+x^2-x=630\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 2x^2-72x+630=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} x^2-36x+315=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (x-15)(x-21)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} x=15\,,\,21\)
と出てきますが、白玉が多いことから \(x>18\) であったので、
\( x=21\)
つまり、求める白玉は21個。
確率にも方程式は使えるということですね。
「場合」を書き出すという基本的なところは同じです。
で場合の数、確率をもう一度チェックしておきましょう。