集合問題でベン図を使って解きなさいという問題はあまり見ませんが、
実はベン図を使うと楽に求めることができる問題は少なくありません。
要素が2つの場合は小学生や中学生でも使うでしょうが3つの場合の解き方もあります。
ここではベン図を利用して基本的な作業をすればド・モルガンの法則も覚える必要はないと言うところまでを説明します。


ベン図とは

ベン図とは、集合の「交わり」や「結び」などを視覚的に説明するときに使われる図のことです。

集合の用語や記号の復習はしておいてください。

⇒ 集合の記号と意味(要素,真部分集合,和集合,補集合,ド・モルガンの法則など)

覚えていないと問題の意味さえ分からないと言うことになりますよ。

簡単な集合要素の問題

集合要素が2つの場合は簡単ですね。
ベン図を書いてもすっきりとしてます。

例題
 \( A=\{1,2,3,4\} , B=\{3,4,5,6\}\)
の2つの集合があるとき、この2つの集合の交わりを求めよ。
交わり」は記号で書き表すと、
 \( A\color{red}{ \cap} B\)
のことです。

結び」は \(A\color{blue}{ \cup} B\) です。


 
 \( A\cap B=\{3,4\}\)

少し数を多くしてみます。

例題
100までの自然数の中で、2の倍数の集合を A , 3の倍数の集合を B とする。
 \( n(A\cap B)\, , \,n(A\cup B)\) をそれぞれ求めよ。

 \( A\cap B\,,\,A\cup B\)

は集合を表していますが

 \( \color{red}{ n}(A\cap B)\,,\,\color{red}{ n}(A\cup B)\)

は集合要素の「数」(「number」)を表しています。

数学の記号には書かなくても通用する意味がありますので、
忘れないように確認しておいてくださいね。

最近のセンター試験では教科書にある言葉の定義も、
問題に書いてくれている親切すぎる問題もありますが、
いつもある訳じゃないので気をつけておきましょう。

この問題は数えても100個しかありません。
でも、試験時間を考えると数え上げるのはちょっともったいないです。

倍数の性質と、ベン図を利用しましょう。

100までの自然数の中には
2の倍数は50個、3の倍数は33個あります。

 n(A)=50\,,\,n(B)=33

でも、この中には重ねて数えている数字もあります。
2と3の公倍数である6の倍数です。

だから重なっている数を1回引いておかないと合いません。

 \( n(A\cup B)=n(A)\,+\,n(B)\,-\,\color{red}{ n(A\cap B)}\)

6の倍数は

 6\,,\,12\,,\,18\,,\cdots \,,\,96(=6\times 16)

だから

 n(A\cap B)=16

であるということと、同時にもう一つの答もでます。

 n(A\cup B)=50+33-16=67

これはベン図に要素の数を書き込めば確認できます。
(注意:普通はベン図には要素の数ではなく要素を書きます。)

2の倍数で6の倍数ではないのは34個、
3の倍数で6の倍数ではないのは17個、
6の倍数は16個、
合わせると67個で同じです。

3つ集合要素の個数をベン図で数える方法

集合要素が3つの場合の例題をあげて説明します。

例題
150以下の正の整数で、3の倍数の集合を A ,4の倍数の集合を B ,5の倍数の集合を C とするとき、
 \( A\cap B\cap C\) ,および \( A\cup B\cup C\) の要素の個数をそれぞれ求めよ。

基本的な計算式をあげておきます。

集合Aの要素の個数を
 n(A)
などと表すことにすると、

和集合の要素の個数:

 \( n(A\cup B) = n(A)\,+\,n(B)\,-\,\color{red}{ n(A \cap B)}\)
(重なり部分 A∩B は2回足されているので1回引く

ただし、\( (A\cap B)= \phi \) (空集合) のときは

 \( n(A \cup B)=n(A)\,+\,n(B)\)

ベン図1

補集合の要素の個数:

集合全体の数を \(n(U)\) とすると

 \( \overline{A} = n(U) – n(A) \)
( \(\overline{A}\) は集合 A の補集合です。 )

ベン図2

3つの集合の和集合の要素の個数:

 n(A\cup B\cup C)

 =n(A)\,+\,n(B)\,+\,n(C)\,-\,n(A\cap B)\,-\,n(B\cap C)\,-\,n(C\cap A)\,+\,n(A\cap B\cap C)

ですが、
上に示したようにベン図(確かジョン・ベンさんという人から取った)
で確認した方が確実で早いです。

補集合のド・モルガンの法則もベン図ならすぐ示せるし、
ベン図を書けばややこしい式を覚える事なく解答できるので、
ベン図を書くことをお勧めします。

ただし、ベン図では要素(要素の数ではなく)を書き入れることが原則です。
解答上に示すのではなく、自分で要素の数だけを確認するのに利用するのは問題ありません。

さて、

 n(A\cup B\cup C)

 =n(A)\,+\,n(B)\,+\,n(C)\,-\,n(A\cap B)\,-\,n(B\cap C)\,-\,n(C\cap A)\,+\,n(A\cap B\cap C)

をベン図で表すと、下図のようになり、
 a , b , c , d , e , f , g はそれぞれ区切られた部分の要素の個数を表しています。

ベン図4

 n(A\cup B\cup C)=\,a\,+\,b\,+\,c\,+\,d\,+\,e\,+\,f\,+\,g

 n(A\cap B\cap C)=\,g

(他も要素の個数を出して確認してみて下さい。)

g は3回重なっているのですが、
上の式では3回引かれてなくなっていますので、
一回足し直しているのです。

式に頼る場合はその点が注意ですね。

ここでは、ベン図に要素の数をすべて書き込んで見ます。
(書き込みしてある数字は要素ではなく要素の数です。)

ベン図3

小学生みたいだけど、確実なことが分かります。

150までの数の中には、
A:(3の倍数)50個
 (a+d+f+g)

B:(4の倍数)37個
 (b+d+e+g)

C:(5の倍数)30個
 (c+e+f+g)

A∩B:(12の倍数)12個
 (d+g)

B∩C:(20の倍数)7個
 (e+g)

C∩A:(15の倍数)10個
 (g+f)

A∩B∩C:(60の倍数)2個
 (g)

これをベン図に要素の個数として「 g 」から逆に書き込んでいくと、

 g=2\,,\,f=8\,,\, e=5\,,\, d-10\,,\,c=15\,,\,b=20\,,\, a=30

よって、

 n(A\cap B\cap C)=2

 n(A\cup B\cup C)=2+8+5+10+15+20+30=90

書き込む数字は多くなりますが、式では到底あつかえません。
ベン図を使えば、単純な足し算引き算ですよね。

まとめ

ド・モルガンの法則は覚えられる人は覚えて使えれば良いと思います。

ド・モルガンの法則

 \(\large{ \color{red}{ \overline{A\cup B}=\overline{A}\cap \overline{B}}}\)
 \(\large{ \color{red}{ \overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B}}}\)

でも式自体を覚えるのに時間がかかり、
数学が面白くない、と感じるようであれば、ベン図を書いて処理することをお勧めします。

論理は確かに大切ですが、ここで数学が嫌いになっては後が続きません。

最初の内は楽しめる範囲で答えを出しておいて、
余裕が出来てからド・モルガンなどの法則を式で覚えて行けばいいと思いますよ。

⇒ 集合の記号と意味

集合で使う記号のチェックはしておいた方が良いです。

忘れている人結構いますよ。