解と係数の関係は2次方程式だけではなく、いろいろな問題に応用することができます。
使い方によっては連立方程式にも応用出来ますし、逆に2次方程式をつくることにも応用出来ます。
ここではいくつか例題を取り上げて関係式の使い方と問題の解き方を見ておきましょう。
例題の中で見ていきます。
連立方程式に解と係数の関係を応用する
\( \begin{cases}
\hspace{5pt} x+y=3 \\ \\
\hspace{5pt} xy+2x+2y=2
\end{cases}\)
単なる連立方程式です。
中学生でも解けるものなので普通に解いておきます。
連立方程式を解くときの基本は「一文字消去」なので、
\( y=3-x\) として一文字消去します。
すると、
\( x(3-x)+2x+2(3-x)=2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 3x-x^2+2x+6-2x=2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} x^2-3x-x=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (x+1)(x-4)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} x=-1\,,\,4\)
よって、\( y=3-x\) なので
\( \underline{(x,y)=(-1,4)\,,\,(4,-1)}\)
これなら中学生でも出来ますよね。
そこで高校生で使える解法が別にあるので紹介します。
というか出題者はこちらが目当てではないでしょうか。
解と係数の関係の利用です。
2つの解が \( \color{red}{\alpha,\beta}\) であるとき、
\( \color{red}{(x-\alpha)(x-\beta)=0}\) が成り立つので、
展開して、\(x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta=0\) となることから解と係数の関係が出てくるわけですが、
逆に、
2つの解の「和( \( \color{red}{\alpha+\beta}\) )」と「積( \( \color{red}{\alpha\beta}\) )」が分かっていれば、
\( x^2-(\color{red}{\alpha+\beta})x+\color{red}{\alpha\beta}=0\)
を解けば解が見つかるということです。
連立方程式の第1式 \( \color{red}{x+y}=3\) と、
第2式から \( \color{red}{xy}=2-2(x+y)=2-6=-4\) なので、
\( x,y\) は、\( t^2-3t-4=0\) の解であると言えます。
\( (t+1)(t-4)=0\) より \( t=-1,4\)
どちらが \( x,y\) ということは決めることは出来ませんので、
\( \underline{(x,y)=(-1,4)\,,\,(4,-1)}\)
となります。
次は2次方程式をつくってみましょう。
解と係数の関係を利用して2次方程式をつくる方法
これは例題1と同じことですが、「和」と「積」を出すことがポイントなので確認しておきましょう。
\(x^2-x-5=0\) の2つの解を \( \alpha,\beta\) とするとき,
\( 2\alpha+\beta\,,\,\alpha+2\beta\) を2つの解とする \(x\) の2次方程式をつくれ。
今更ですが2次方程式における解と係数の関係を見直すと、
\( ax^2+bx+c=0\) において2つの解を \( \alpha,\beta\) とすると、
\( \begin{cases}
\hspace{10pt} \alpha+\beta=-\displaystyle \frac{b}{a} \\ \\
\hspace{20pt} \alpha\beta=\displaystyle \frac{c}{a}
\end{cases}\)
が成り立ちます。
前問で書いたように、これは \( \alpha,\beta\) が解なら、
\((x-\alpha)(x-\beta)=0\) となることから係数比較するとすぐに導けるので証明はしません。
こちらで確認しておいてください。
⇒ 解と係数の関係
ここでは、2つの解の「和」( \(\color{red}{\alpha+\beta}\) )と「積」( \(\color{magenta}{\alpha\beta}\) )を計算して、
\( x^2-(\color{red}{\alpha+\beta})x+\color{magenta}{\alpha\beta}=0\) に戻します。
\( x^2-x-5=0\) において解と係数の関係より、
\( \alpha+\beta=1\hspace{5pt},\hspace{5pt} \alpha\beta=-5\)
ここで求める2次方程式の、
2つの解は \( 2\alpha+\beta\) と \( \alpha+2\beta\) なので
「和」は
\( (2\alpha+\beta)+(\alpha+2\beta)\\ \\
=3\alpha+3\beta\\ \\
=3(\alpha+\beta)=3\)
「積」は
\( (2\alpha+\beta)(\alpha+2\beta)\\ \\
=2\alpha^2+4\alpha\beta+\alpha\beta+2\beta^2\\ \\
=2\alpha^2+5\alpha\beta+2\beta^2\\ \\
=2(\alpha+\beta)^2+\alpha\beta\\ \\
=2(1)^2-5=-3\)
よって、\( 2\alpha+\beta \hspace{5pt},\hspace{5pt} \alpha+2\beta\) を2解とする2次方程式は、
\( x^2-(3)x+(-3)=0\) となるので、
\( \underline{x^2-3x-3=0}\)
「2次方程式をつくれ」なのでこれを解く必要はありませんが、解く場合は解の公式です。
解と係数の関係は使えるのは当然ですが、
2解の「和」と「積」が分かっているときの2次方程式の作り方も覚えておきましょう。
ポイントは「和」と「積」をきっちり計算することだけです。
解と係数の関係はいろいろと使える場所があります。
必ず復習しておきましょう。
こちらも解と係数の関係のちょっとした応用問題です。
高次方程式といっても\(3\)次までがほとんどですが、
もっと高次で出題されてもいいように全体を見ておくと良いです。