2次方程式で2つの解の比が与えられた問題や、3次方程式の係数決定問題は解と係数の関係を使うとすっきりするものが多くあります。
解の公式を使うえば2次方程式の問題がすべて解決するかというと、そうではありません。
例え答が求まるとしても、制限時間のある数学の解法としては解決手段とはいえませんよね。
2つの解の比が与えられた2次方程式
\( x^2-kx-k+2=0\)( \( k\) は正の定数)の2つの解の比が1:2であるとき、
\( k\) の値を求めよ。
教科書にもあるような基本問題なので見たことはあるでしょう。
「2つの解」といわれると、
「2つの解を \( \alpha\,,\,\beta\) とする」
というのになれているとは思いますが、
\(\alpha:\beta=1:2\) という条件から \( \color{red}{\beta=2\alpha}\) なので、
(これは解答に書いても書かなくても大丈夫です。)
最初から2つの解を、\( \color{red}{\alpha}\,,\,\color{red}{2\alpha}\) とおいてしまえば良いんです。
2解を \(\alpha , 2\alpha \) とすると解と係数の関係から、
\( \begin{cases}
\hspace{10pt} \alpha+2\alpha=k \\ \\
\hspace{10pt} \alpha \cdot 2\alpha=k+2
\end{cases}
\Leftrightarrow \hspace{10pt}
\begin{cases}
\hspace{10pt} 3\alpha=k \\ \\
\hspace{10pt} 2\alpha^2=k+2
\end{cases}
\)
この連立方程式を先ず \( k\) を消去して解くと、
\( 2\alpha^2=3\alpha+2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 2\alpha^2-3\alpha-2=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (\alpha-2)(2\alpha+1)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} \alpha=2\,,\,-\displaystyle \frac{1}{2}\)
\( \alpha=2\) のとき \(k=6\)
\(\displaystyle \alpha=-\frac{1}{2}\) のとき \(\displaystyle k=-\frac{3}{2}\)
\( k\) は正の定数なので
\(\displaystyle k=-\frac{3}{2}\) は不適で、答えは \(\underline{k=6}\)。
\(k\) を求めれば良いので \( \alpha\) を消去しても良いですが、\(\displaystyle \alpha=\frac{k}{3}\) を代入することになります。
\( 2\left(\displaystyle \frac{k}{3}\right)^2=k+2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} \displaystyle \frac{2}{9}k^2=k+2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 2k^2-9k-18=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (k-6)(2k+3)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} k=6\,,\,-\displaystyle \frac{3}{2}\)
どちらでも良いですが、ポイントは、
「2つの解を \( \alpha\,,\,2\alpha\) とおいて解と係数の関係を利用する」
ということです。
単純に解の公式を使って、\( x^2-kx+k+2=0\) の解が
\( x=\displaystyle \frac{k \pm \sqrt{k^2-4(k+2)}}{2}\)
となるので、「この2つの比が1:2になる」なんて計算は避けましょう。
解けなくはないでしょうが、うまく処理しないととんでもない計算になり時間だけが過ぎていくと思いますよ。
試しにやる必要もありません。
解と係数の関係を使えるようになって下さい。
解と係数の関係を使って3次方程式の係数を決める問題
今度は3次方程式の問題です。
3次方程式 \( x^3+9x^2+6x-5=0\) の3つの解の、
それぞれの2乗を解とする3次方程式は \( x^3+ax^2+bx+c=0\) となる。
\( a\,,\,b\,,\,c\) を求めよ。
\( x^3+9x^2+6x-5=0\) の3つの解を求めて、、、って、
求めることできますか?
解がでたとしても2乗する気にはならないと思います。
あまり記憶にないかもしれませんが、3次方程式にも解と係数の関係はあります。
【3次方程式の解と係数の関係】
3次方程式 \( ax^3+bx^2+cx+d=0\) の3解を \(\alpha,\beta,\gamma\) とすると、
\( \begin{cases}
\displaystyle\hspace{10pt} \alpha+\beta+\gamma=-\frac{b}{a} \\ \\
\displaystyle\hspace{10pt} \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{c}{a}\\ \\
\displaystyle\hspace{10pt} \alpha\beta\gamma=-\frac{d}{a}
\end{cases}\)
これが3次方程式の解と係数の関係です。
\( x^3+9x^2+6x-5=0\) の3つの解を \( \alpha\,,\,\beta\,,\,\gamma\) とすると、
求める方程式はこれら3つの解のそれぞれの2乗を解とするので
\((x-\color{red}{\alpha^2})(x-\color{red}{\beta^2})(x-\color{red}{\gamma^2})=0\)
となります。
これを展開して \( x^3+ax^2+bx+c=0\) と係数比較すると、
\( \alpha^2+\beta^2+\gamma^2=-a\\ \\
\alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2=b\\ \\
\alpha^2\beta^2\gamma^2=-c\)
となりますが、展開する必要はありません。
\( x^3+9x^2+6x-5=0\) の3つの解を \( \alpha\,,\,\beta\,,\,\gamma\) とすると、
解と係数の関係から
\( \begin{cases}
\hspace{10pt} \alpha+\beta+\gamma=-9 \\ \\
\hspace{10pt} \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=6\\ \\
\hspace{10pt} \alpha\beta\gamma=5
\end{cases}\) ・・・①
が成り立つのに対し、
\(x^3+ax^2+bx+c=0\) の3つの解を \(\alpha^2\,,\,\beta^2\,,\,\gamma^2\) とすると、
解と係数の関係から
\( \begin{cases}
\hspace{10pt} \alpha^2+\beta^2+\gamma^2=-a \\ \\
\hspace{10pt} \alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2=b\\ \\
\hspace{10pt} \alpha^2\beta^2\gamma^2=-c
\end{cases}\) ・・・②
となりますので、②の左辺
\( \alpha^2+\beta^2+\gamma^2\\ \\
\alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2\\ \\
\alpha^2\beta^2\gamma^2\)
の値を求めれば良いということになります。
①の値から
\( \color{red}{\alpha^2+\beta^2+\gamma^2}\\ \\
=(\alpha+\beta+\gamma)^2-2(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)\\ \\
=(-9)^2-2(6)=81-12=69=-a\)
\( \color{red}{\alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2}\\ \\
=(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)^2-2(\alpha\beta\beta\gamma+\beta\gamma\gamma\alpha+\gamma\alpha\alpha\beta)\\ \\
=(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)^2-2\alpha\beta\gamma(\alpha+\beta+\gamma)\\ \\
=6^2-2(5)(-9)=36+90=126=b\)
\( \color{red}{\alpha^2\beta^2\gamma^2}\\ \\
=(\alpha\beta\gamma)^2\\ \\
=(5)^2=25=-c\)
(これらの対称式の処理は自分でやって見てください。)
これらから
\( \underline{a=-69\,,\,b=126\,,\,c=-25}\)
\( \alpha^2\,,\,\beta^2\,,\,\gamma^2\) を解とする3次方程式は、
\( x^3-69x^2+126x-25=0\) です。
見ているうちはややこしくい感じますが、自分で実際にやって見ると以外と簡単だったりします。
先ずは解答を見ながらでも自分でやって見ることですね。
解と係数の関係を利用する問題はよく出ます。
基本的な形は覚えておきましょう。
対称式の変形もポイントになりますよ。