解と係数の関係は方程式で使える便利な定理なので多いに使いましょう。
2次方程式の場合は一般的ですが、3次方程式はあまり知られていないのかもしれません。
少し便利な定理も足して紹介しておきますので、覚えていない人がいたら覚えて下さい。
2次方程式の解と係数の関係
解と係数の関係は基本対称式の形をしているので、
難しくはありませんから大丈夫ですよ。
\(\hspace{7pt}\begin{cases}
\hspace{5pt}\displaystyle \alpha+\beta=-\frac{b}{a} \\ \\
\hspace{15pt}\displaystyle \alpha\beta=\frac{c}{a}
\end{cases}\)
「2次方程式」と書いてある場合は、\(\color{red}{ a\neq 0}\) と見てかまいません。
\( a\neq 0\) は「 \(a ノットイコール 0\) 」と読みます。
「 \(a は 0 ではない\)」という意味です。
\(\color{red}{ a=0}\) の場合、
この方程式は2次ではなくなるので、
もし問題に「2次方程式」と書いていないときは、
\(\color{red}{ a\neq 0 のときは2次方程式\\
a=0 のときは1次以下}\)
の場合分けが必要になってきます。
この2次方程式の解と係数の関係は簡単に示すことができます。
そもそも「方程式の解」とはその方程式に代入して成り立つもの、
なので、
\( ax^2+bx+c=0\) は解を \(\color{red}{ \alpha\,,\,\beta}\) とすると
\(a(x-\color{red}{ \alpha})(x-\color{red}{ \beta})=0\)
となっているはずです。
そこで、逆に
\(\hspace{7pt} a(x-\color{red}{ \alpha})(x-\color{red}{ \beta})=0 \)
の左辺を展開すると、
\(\hspace{7pt}a\{x^2-(\color{red}{ \alpha+\beta})x+\color{red}{ \alpha\beta}\}=0\\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} ax^2\color{blue}{ -a(\alpha+\beta)}x+\color{green}{ a\alpha \beta}=0\)
( \(\Leftrightarrow\) は「同値」という意味を持っている記号です。)
これと
\(\hspace{7pt} ax^2+\color{blue}{b}\,x+\color{green}{ c}=0\)
の係数を比較して、
\(\hspace{7pt}\begin{cases}
\hspace{7pt} \color{blue}{ -a(\alpha+\beta)}&=&\color{blue}{ b}\\ \\
\hspace{27pt} \color{green}{ a\alpha \beta}&=&\color{green}{c}
\end{cases}\)
から解と係数の関係がすぐに出てきます。
でも、いちいち計算しなくても基本対称式の形になっているので覚える事は難しく無いでしょう。
というより、これは覚えておきましょう。
二元(2つの文字)の基本対称式2つ
\(\hspace{7pt}\color{red}{ \alpha+\beta}\) と \(\color{red}{ \alpha\beta}\) に対して、
右辺は分母がすべて \(\color{red}{a}\) です。
分子が \(\color{red}{ -b\,,\,+c}\) の順番
なのでこの関係を覚えましょう。
ここまで来れば3次方程式の解と係数の関係もすぐに覚える事はできます。
3次方程式の解と係数の関係
\(\alpha\,,\,\beta\,,\,\gamma\) とすると
\(\hspace{7pt}\begin{cases}
\hspace{10pt}\alpha+\beta+\gamma&=&\displaystyle \color{red}{ -}\,\frac{b}{a} \\ \\
\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha&=& \displaystyle \color{blue}{ +}\,\frac{c}{a}\\ \\
\hspace{20pt}\alpha\beta\gamma&=&\displaystyle \color{red}{ -}\,\frac{d}{a}
\end{cases}\)
2次方程式同様に \(a\neq 0\) として良いです。
何故しつこく
\( a\neq 0\)
を言っているかというと、
「0で割ることはできない」からです。
解と係数の関係の分母はすべて \(\color{red}{ a}\) です。
だから \(\color{red}{ a\neq 0}\) は、いっておかなければなりませんが、
「問題が3次方程式と言っている場合」は使って良いですよということなのです。
これも2次方程式の解と係数の関係と同じように、
\( ax^3+bx^2+cx+d=0\)
と
\( a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=0\)
の係数を比較することですぐに導くことができます。
左辺は、3元(3つの文字)の基本対称式の形をしているので、
基本対称式のページ
を見ておけばすぐにわかるでしょう。
\(\color{red}{ 右辺は分母がすべて a で、}\)
分子は
\(\Large{\color{red}{-}\,b\,,\,\color{blue}{+}\,c\,,\,\color{red}{-}\,d}\)
と符号がマイナスから始まり交互になります。
\(\color{red}{ b\,,\,c\,,\,d は次数の高い順の係数}\)
になっているので覚えるのもそれほど難しくはないでしょう。
難しいですか?
2次方程式はこの短いバージョンだと思えば良いですね。
3次方程式ではこの解と係数の関係を使うと割と簡単になる問題が多いです。
因数定理を使って3次方程式を考えるのも良いですが、
解と係数の関係も使えると引き出しが多くなりますので是非覚えましょう。
1つ、定理を追加しておきます。
この3次方程式の解と係数の関係と一緒に覚えて欲しい事実があります。
共役複素数は3次方程式のもう一つの解となる
3次方程式の問題でよく出てくるのが、
\( i を虚数単位として、\\
「次の3次方程式は x=a+bi を解とする」\)
という問題です。
3次方程式は複素数の範囲で3つの解を持ちます。
もちろん多重解も複数で数えます。
2重解なら2つ、3重解なら3つの解として数えるということです。
このとき、
共役複素数 \bar{x}=a-bi も解である。」}\)
という定理があります。
これって使って良いのか?
使って良いです。バンバン使って下さい。
これらの定理を持って問題集にぶつかってみて下さい。
少しは前に進めるのではないでしょうか。
解と係数の関係の左辺は基本対称式の形をしているので、
基本対称式についても見ておくと良いでしょう。
2次方程式と3次方程式を分けて、
もっと具体的な問題も交えて説明した方が良かったですね。
具体的な問題は別の機会で説明します。
解と係数の関係、使えますよ。
複素数を解に持つ高次方程式では大いに活躍してくれます。