数学Ⅱの複素数と高次方程式を含む単元の要点まとめです。
複素数の虚数は新しい数の概念になるので少し時間をかけておいた方が後が楽になります。
方程式では判別式と解と係数の関係が出てきますので必ず確認しておきましょう。

複素数と方程式

教科書通り大きく「複素数と\(\,2\,\)次方程式の解」および「高次方程式」に分けてまとめておきます。

複素数と2次方程式の解

複素数とは実数\(\,a、b\,\)と虚数単位\(\,i\,\)を用いて
 \(\color{red}{a+bi}\)
と表される数です。

⇒ 複素数の実数部分(実部)と虚数部分(虚部)と相等定理

数として最後の概念になるのでしっかり確認しておきましょう。 

複素数の計算

複素数に範囲が広がっても、\(\,i^2=-1\,\)となること以外は今までと同じように計算することができます。

⇒ 複素数と共役複素数の計算公式と相等条件を利用する問題の解き方

このページで説明していますが、少しだけ注意しておきたいことがあるので確認しておいて下さい。

それと、複素数の中で虚数は大小を比較することはありません。

2次方程式の解および共通解の性質

\(\,2\,\)次方程式は解の公式で求めることができます。

\(\color{red}{\fbox{ 2次方程式の解の公式 }}\)
 2次方程式\(\,ax^2+bx+c=0\,\)の解は
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \color{red}{x=\frac{-b\pm \sqrt{\,b^2-4ac\,}}{2a}}\)

複素数の範囲まで広げると、すべての2次方程式には解が存在することになります。

⇒ 2次方程式の判別式(実数解の個数の見分け方と使い方)

2次方程式の解が実数解なのか虚数解なのかは、
 判別式\(\,D\,\)を用いて判別するか、
 グラフと\(\,x\,\)軸との交点を見て判別するか、
ですがどちらも同じことですよ。

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
y&=&ax^2+bx+c\\
&=&a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{\color{red}{\,b^2-4ac\,}}{4a}
\end{eqnarray}\)

解の公式のルートの中身が判別式ですが、
平方完成したときの定数項にも判別式と同じ文字式があることは知っておきましょう。

\(\color{red}{\fbox{ 共通解 }}\)

 2つの方程式\(\,f(x)=0\,,\,g(x)=0\,\)のいずれもの解である\(\,x\,\)を
\(\,f(x)=0\,,\,g(x)=0\,\)の共通解という。

それぞれの方程式のすべての解を求めれば共通解は分かりますが、
すべての解を求めなくても良い方法はあります。

\(\color{red}{\fbox{ 共通解の性質 }}\)

 2つの方程式\(\,f(\,x\,)=0\,,\,g(\,x\,)=0\,\)が共通解\(\,\alpha\,\)を持つとき
 \(\,x=\alpha\,\)は、(\(\,m\,,\,n\,\)を定数として)
  \(\hspace{10pt}\,\color{red}{m\,f(\,x\,)+n\,g(\,x\,)=0}\,\)
 の解でもある。

共通解の問題に遭遇したときに確認しておけば良いですが、よく出てくる問題でもあります。

⇒ 2つの2次方程式が共通解を持つときの問題の解き方

\(2\)次関数としても考えられますが、
\(2\)次方程式としての共通解と何かも見ておいてください。

解と係数の関係

\(\color{red}{\fbox{ 解と係数の関係 }}\)

 2次方程式\(\,ax-2+bx+c=0\,\)の2つの解を\(\,\alpha\,,\,\beta\,\)とすると
   \( \begin{cases}
\hspace{7pt} \displaystyle \alpha + \beta=-\frac{b}{a}\\ \\
\hspace{7pt} \displaystyle \alpha\,\beta=\frac{c}{a}
\end{cases}\)

⇒ 解と係数の関係 2次方程式と3次方程式

\(\,3\,\)次方程式については後で説明する「高次方程式」になりますが、解と係数の関係が存在ます。

\(\,2\,\)次方程式においては、\(\,2\,\)つの解を\(\,\alpha\,,\,\beta\,\)とすると
(解と係数の関係を導く逆をたどれば)

 \(\hspace{10pt}\color{red}{ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)}\)

と変形できます。

係数\(\,a\,,\,b\,,\,c\,\)が実数という条件付きになりますが、
\(\,2\,\)次式は複素数の範囲で必ず\(\,1\,\)次式の積に因数分解できるということです。

例 「\(\,x^2+2x+5\,\)を因数分解せよ。」

実数の範囲では因数分解できませんが、複素数まで範囲を広げれば、
 \(\,x^2+2x+5=0\,\)
の解は
 \(\hspace{10pt}\displaystyle x=-1\pm 2i\)
なので
 \(\begin{eqnarray}
x^2+2x+5&=&\{x-(-1+2i)\}\{x-(-1-2i)\}\\
&=&(x+1-2i)(x+1+2i)
\end{eqnarray}\)

さらに、
 \(\,2\,\)数\(\,\alpha\,,\,\beta\,\)を解とする\(\,2\,\)次方程式の1つは
 \(\,\color{red}{(x-\alpha\,)(x-\beta\,)=0}\,\)

と作ることができます。
 「方程式の1つ」
としているのは両辺を何倍しても方程式としては同じなので、たくさんある内の1つだからです。

⇒ 解と係数の関係を応用する2次方程式の作り方と問題の解き方

2次方程式に限らなくても1つの解が分かっているときは、
因数を1つ決めることができるので応用できる範囲は広いです。

高次方程式

高次方程式については整式の3次式までを扱うことが多いのでそれほど難しくはありません。
ただ、高次の整式の剰余、つまり商と余りは苦手にしている人が多く差がつきやすいところではあります。

教科書では基本定理は2つだけなのでしっかり理解して使いこなしましょう。
(ここでは定理を4つ紹介しておきます。)

剰余の定理(余りの定理)と因数定理

\(\color{red}{\fbox{ 割り算の基本定理 }}\)

 \(\,f\,,\,g\,\)を\(\,x\,\)の整式とし、
 \(\,f\,\)を\(\,g\,\)で割った商を\(\,Q\,\)、余りを\(\,R\,\)とすれば、
  \(\,f=g\,Q+R\,,\,R\,\)は\(\,g\,\)よりも低次
 が成り立つ。

算数のときから行っている割り算の基本定理は、
整式についても成り立つと言うことです。


 \(\,25\,\)を\(\,3\,\)で割ったときの余りの関係は
 \(\hspace{10pt}25=3\times \color{red}{8}\color{blue}{+1}\)

 \(\,x^4+3\,\)を\(\,x^2-x\,\)で割ったときの余りの関係は
 \(\hspace{10pt}x^4=(x^2-x)(\color{red}{x^2+x+1})+(\color{blue}{x+3})\)
 

少しわかりにくくなる人が出てくるかもしれないのでここは読み飛ばしても良いですが、
 \(\,f\,\)が\(\,m\,\)次式、\(\,g\,\)が\(\,n\,\)次式とすると、
 \(\,m≧n\,\)なら、\(\,Q\,\)は\(\,(m-n)\,\)次式、\(\,R\,\)は高々\(\,(n-1)\,\)次式
 \(\,m<n\,\)なら、\(\,Q≡0\,,\,R=f\,\)
として割り算の基本定理が成り立ちます。
簡単な数を当てはめていうと、
 \(\,5\,\)次式を\(\,3\,\)次式で割ると商は\(\,2\,\)次式で、余りは\(\,1\,\)次以下
ということです。
 余りが\(\,1\,\)次以下というのは余りが定数になるときもある。
ということですよ。

余り\(\,R\,\)が\(\,0\,\)になるときが「割り切れる」場合になります。

⇒ 高次式の割り算のやり方と値を求める方法

整式の割り算の方法は復習しておいて下さい。

\(\color{red}{\fbox{ 剰余定理(余りの定理) }}\)

 整式\(\,P(x)\,\)を\(\,1\,\)次式\(\,x-\alpha\,\)で割ったときの余りは
 \(\,x=\alpha\,\)のときの整式の値\(\,P(\alpha)\,\)に等しい。

この証明は教科書にあると思いますがもう一つ追記したいので簡単に証明しておきます。

(証明)
 \(\,x-\alpha\,\)で割り算したときの商を\(\,Q(x)\,\)、余りを\(\,R\,\)とすると、
\(\,R\,\)は\(\,0\,\)次以下の整式、つまり定数で、
 \(\hspace{10pt}\,P(x)=(x-\alpha)\,Q(x)+R\,\)
が成り立つ。
 これは任意(すべて)の\(\,x\,\)について成り立つので、
\(\,x=\alpha\,\)を代入すれば
 \(\hspace{10pt}P(\alpha)=(\alpha-\alpha)\cdot Q(x)+R\,=\,R .\)

同じように考えれば、
 整式\(\,P(x)\,\)を\(\,1\,\)次式\(\,ax+b\,\)で割った余り\(\,R\,\)は
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \color{red}{P\left(-\frac{b}{a}\right)}\)
となります。
(\(\,1\,\)次式と書いているということは\(\,(a≠0)\,\)です。)

\(\color{red}{\fbox{ 因数定理 }}\)

 整式\(\,P(x)\,\)が\(\,x-\alpha\,\)で割り切れるとき
 \(\hspace{10pt}\color{red}{P(\alpha)=0}\)

これは割り算したときに「割り切れる」というだけのことで,
剰余の定理で余りが\(\,0\,\)の場合です。

因数定理が便利なのは、因数分解に利用できるところですね。

\(\color{red}{\fbox{ 因数定理と整方程式の解 }}\)

 \(\,P(x)\,\)を\(\,x\,\)の整式とすると、
  \(\,x=\alpha\,\)が方程式\(\,P(x)=0\,\)の解である。
⇔ \(\,P(x)\,\)は\(\,x-\alpha\,\)で割り切れる。
⇔ \(\,P(x)\,\)は\(\,x-\alpha\,\)を因数に持つ。

⇒ 剰余の定理(余りの定理)と因数定理の使い方と問題の解き方

因数定理の因数分解への利用法は十分に練習しておきましょう。
因数分解そのもののができないと解けない問題が他の分野にもたくさんありますからね。

高次方程式の解き方

方程式の中でも\(\,3\,\)次以上の方程式を「高次方程式」といいます。

高次方程式の解き方は、
 因数分解を利用する。
 (因数定理を利用する。)

と考えておいて良いです。

⇒ 高次方程式と高次不等式の解き方と因数の見つけ方

複素数の範囲まで考えると次数の数だけ解が存在することになるので、
解が多くなりますが心配することはありません。
ほとんどが\(\,3\,\)次までです。笑

⇒ 3次方程式の1つの虚数解が分かっているときの係数を決める方法

複素数を解に持つ場合は便利な定理があるので確認しておくと良いです。

⇒ 1の立方根(3乗根)のω(オメガ)の性質と関係式の使い方

\(1\)の立方根についてはいくつかポイントがあります。

⇒ 共通テスト(センター試験)数学の勉強法と対策まとめ単元別攻略と解説

共通テストは教科書が出題元です。
定期テストとは応用範囲が違いますが使う定理は同じです。