微分係数を使った法線の方程式の公式と求め方です。
ここでいう法線とは接線に垂直な直線のことなので、ベクトルを使う方法もあるのですが微分係数を使って求めることも多いので説明しておきます。
接線とセットで出題されることが多いので接線との組合せも考えてみましょう。
接線に垂直な法線とは?
接線はわかると思いますが、「法線て何?」から始まる人もいるだろうから簡単に説明しておきます。
曲線上の点で接線が引けますよね?
その「接点において接線に垂直な直線を法線」といいます。
つまり、法線の方程式を求めるには、
接線を求めて、その接線に垂直で接点を通る直線の方程式を求めれば良いのです。
ただ、公式もあるので例題を取り上げて説明しておきます。
公式を使えばすぐに法線の方程式は求まりますが、
ほとんどの問題に「接線を求めよ」というのが先にあるので利用していいですよ。
曲線 \( y=x^3-2x^2+3\) 上の\( \,x\,\)座標が\(\,1\,\)の点\(\,P\,\)における、
接線の方程式と、法線の方程式を求めよ。
法線だけでも良かったのですが、
接線の方程式の求め方の復習もかねて入れておきました。
\(\hspace{10pt} y=f(x)=x^3-2x^2+3\)
\(\hspace{10pt} y’=f'(x)=3x^2-4x\)
ここまでは無条件にやっておきましょう。
接線の求め方
先ずは接線です。
接点を \( (\,\color{red}{t}\,,\,\color{red}{f(t)}\,)\) とすると接線は
\(\hspace{10pt} y-\color{red}{f(\,t\,)}=\color{blue}{f'(\,t\,)}(\,x-\color{red}{t}\,)\)
ですが、ここでは接点がわかります。
\( x=1\) より \( y=1-2+3=2\) なので
点\( \,P\,\)の座標は\( \,(\,1\,,\,2\,)\,\)、これが接点です。
つまり、
曲線 \(y=x^3-2x^2+3\) 上の\( \,x\,\)座標が\(\,1\,\)の点\(\, P\,(\,1\,,\,2\,)\,\)における、
「接線」と「法線」を求めることになります。
接線の傾きは
\(\hspace{10pt} f'(1)=3(1)^2-4(1)=\,3-4=\color{blue}{-1}\)
点\( \,(\,\color{red}{1}\,,\,\color{red}{2}\,)\,\)を通るので求める接線は
\(\hspace{10pt}y-\color{red}{2}=\color{blue}{-1}(x-\color{red}{1})\\
\Leftrightarrow \underline{ y=-x+3 }\)
次は法線です。
法線の求め方
ところで、
「平面に垂直な直線」も法線といいます。
しかし、この問題での「法線」とは、
曲線上の点\( \,P\,\)における接線に垂直で点\( \,P\,\)を通る直線のことです。
法線を求めることは条件をそろえれば簡単です。
直線と同じで、接点と傾きを求めれば良いだけです。
ただ、法線は接線と垂直なので傾きが微分係数からは直接出ません。
微分係数を使った公式は後で説明しますので、
その前に、垂直な2直線の傾きが\(\,\color{red}{m}\,,\,\color{blue}{n}\,\)のとき
\(\hspace{10pt} \color{red}{\color{red}{m}\cdot \color{blue}{n}=-1}\)
を使いましょう。
接線の傾きは「\(\,\color{blue}{-1}\,\)」でした。
だから法線の傾きを \( \color{red}{a}\) とすると
\( (\,\color{blue}{-1}\,)\times \color{red}{a}=-1 \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \color{red}{a=1}\)
これから法線の傾きは「\(\,\color{red}{1}\,\)」で \( (1\,,\,2)\) を通るので法線の方程式は
\(\hspace{10pt} y-2=1(x-1)\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \underline{ y=x+1 }\)
あまり使わない(使わなくて済む)公式ですが、法線の方程式を求める公式を表しておきます。
法線の公式
【法線の公式】
関数 \(y=f(x)\) 上の点 \( (\,t\,,\,f(t)\,)\) における法線は
\( \color{red}{y-f(t)=-\displaystyle \frac{1}{f'(t)}(x-t)}\)
である。
ただし、\( f'(t)\neq 0\) とする。
これは \( y=f(x)\) 上の点 \( (\,t\,,\,f(t)\,)\) における接線の方程式が
\( y-f(t)=f'(t)(x-t)\)
です。
法線はこれに垂直なので、法線の傾き \( a\) が
\( f'(t)\times a=-1 \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} a=-\displaystyle \frac{1}{f'(t)}\)
となり、
\( y-f(t)=-\displaystyle \frac{1}{f'(t)}(x-t)\)
が表せるというだけです。
当然 \( f'(t)=0\) の場合も考えなければ不十分です。
このときは 接線が\( \,x\,\)軸に平行なので法線は\( \,x=a\,\)という直線になります。
だから一般的におくと法線の方程式は
\(\hspace{10pt} f'(t)(y-f(x))=-(x-t)\)
となりますが、覚えなくて良いです。
接線を求めて、接点を通る垂直な直線を求める、という方法でかまいません。
大切なのは微分係数が接線の傾きを表しているということですよ。
極値の有無が分かっていない人は多いです。
微分法の大きなポイントの1つは増減表ですが、微分と積分は分けて考えてはダメです。