整数とは限られた範囲の数なので「すべて求めよ」という問題が多くなります。
もちろん自然数も整数に含まれますので解き方や求め方は同じと考えて良いです。
問題によっては無限にある解を一般的に聞いてきますが、その前にやっておくべきは有限個の整数問題ですよ。

整数問題は昔からあったのですが、簡単なものがほとんどで余り本格的には取り上げられていませんでした。
一部の大学では本格的な問題もずっと出続けています。

しかし、最近の課程で単元の1つとして導入されたことにより、これから本格的に、より複雑な問題が出てくることが予想されますので基本的なことはしっかり抑えておきましょう。

ただ、センター試験では選択問題構成となっているので、問題の傾向によっては選択する必要はなくなるかもしれませんが、ある程度確実に得点するには選択するのも良いかもしれませんよ。

小学生でもできる整数解(自然数)の求め方

問題で見ていきましょう。

例題1

 \( x^2+4y^2=17\) を満たす正の整数を全て求めよ。

例題は「正の整数」つまり「自然数」なのでせまい範囲の数に限られています。
だから「すべて求めよ」とありますが大した数にはないだろうと見ています。
これが「自然数」ではなく「整数」を範囲にするなら少し増えるかもしれません。

とりあえず解法を考えるより、調べていきましょう。
この作業は小学生でもできます。

しかし、
高校生だから論理的にとかなければならないと勘違いしてやらない人がいますが、難しい問題ほどこういった調べるという作業は必要なんですよ。
 ・ 難しいと感じたら分かることだけでも調べてみる。
それを忘れないでください。

では調べましょう。

 \( x\) を1から見ていっても良いのですが、係数が大きいので変化の大きい \(y\) を変えて調べていきます。

 \( y=1\) のとき、

 \(x^2+4=17 \hspace{10pt} \Leftrightarrow \hspace{10pt} x^2=13\)

これを満たす自然数はない。

 \(y=2\) のとき、

 \(x^2+16=17\hspace{10pt} \Leftrightarrow \hspace{10pt} x^2=1\)

これを満たす自然数は \( x=1\) だけです。

 \( y≧ 3\) のとき、明らかに \( x^2 < 0\) なので

 \( x^2+4y^2=17\) を満たす自然数 \(\color{red}{x は存在しない。}\)

よって、求める整数解の組は \(\underline {(x,y)=(1,2)}\) のみ。

調べ方は他にもいろいろあります。
もちろん \(x\) を変化させても良いです。
(これは自分で、同じ結果になるかやって見てください。)

 \(\displaystyle x^2+4y^2=17 \hspace{10pt} \Leftrightarrow \hspace{10pt} y^2=\frac{17-x^2}{4}\)

と変形し、左辺の \(y^2\) が自然数なので右辺の分子 \(17-x^2\) が4の倍数となる \( x\) を探しても良いですよ。
この方が範囲が絞れるので一般的と言えるでしょう。

無理矢理因数分解による整数解の求め方

例題2

 \( x^2+xy-2y^2+2x+7y-3=3\)

を満たす整数 \( x\,,\,y\) の組み \( (x\,,\,y)\) をすべて求めよ。

何故、

 \( x^2+xy-2y^2+2x+7y-6=0\)

ではないのかという疑問がわいてくるとは思いますが、
問題作成の際の親切心ですので気にしないでください。笑

これは自然数ではないので、調べるにしてもどれだけあるか検討がつきません。

傾向が見えてくるまで調べるというのは良いことですが、整数問題の解法の1つとして、
部分的「無理矢理因数分解」(筆者の造語です)というのを覚えておいてください。

「無理矢理因数分解」って何か?
例えば、

 \( xy+2x-3y-10=0\)

の整数解を求めるとき、

 \( xy+2x-3y\)

の項が出てくるように因数分解の形を作るんです。

 \( xy\) を出すために \( (x \hspace{10pt})(y\hspace{10pt})\) とし、
 \( +2x\) を出すために \( (x \hspace{10pt})(y+2)\) とし、
 \( -3y\) を出すために \( (x-3)(y+2)\) と強引に因数分解の形を作り、

後は定数で調整します。

 \( (x-3)(y+2)\) で出てくる定数は「-6」です。
与えられた方程式では、定数項が「-10」なので「-4」足りません。

だから

 \( xy+2x-3y-10=0 \Leftrightarrow \hspace{10pt} (x-3)(y+2)-4=0\)

と変形できて、\( (x-3)(y+2)=4\) を満たす整数を探すのですが、
 \( (x-3)\,,\,(y+2)\) ともに整数なので、組み合わせが限られて来るということなんです。

この例題は、やってみると分かりますが、左辺が因数分解出来ます。
(やって見ないと分かりませんね。w)

 \( x^2+xy-2y^2+2x+7y-3=3\)

 \((左辺)=x^2+xy-2y^2+2x+7y-3\\ \\
\hspace{30pt}=x^2+(y+2)x-(2y^2-7y+3)\\ \\
\hspace{30pt}=x^2+(y+2)x-(2y-1)(y-3)\\ \\
\hspace{30pt}=(x+2y-1)(x-y+3)\)

これから

 \( (x+2y-1)(x-y+3)=3\)

となる \( (x+2y-1)\) と \( (x-y+3)\) の組を探していけばいいのです。

 \( A\times B=3\) となる整数の組みは、
 \( (A,B)=(1,3),(-1,-3),(3,1),(-3,-1)\)
の4組です。
よって、

 \(
\begin{cases}
x + 2y-1=1 \\
x-y+3=3 \end{cases}\) 

 \(\begin{cases}
x + 2y-1=-1 \\
x-y+3=-3 \end{cases}\)

 \(\begin{cases}
x + 2y-1=3 \\
x-y+3=1 \end{cases}\)

 \(\begin{cases}
x + 2y-1=-3 \\
x-y+3=-1 \end{cases}\)

の4組のうちで \( x\,,\,y\) がともに整数となるものを求めれば答えが出ます。

 \( \underline{(x,y)=(-4,2)\,,\,(0,2)}\)

の2組だけです。

ただし、2次以上の方程式では因数分解が実数の範囲で出来ない場合があるのですべてに使えるとはいえません。

「整数は実数」であることを利用する解き方

例えば、

例題3

 \( 2x^2-xy+3y^2-4x-5y-6=0\)

を満たす整数 \( (x\,,\,y)\) の組をすべて求めよ。

 \( 2x^2-xy+3y^2-4x-5y-6=0\) の整数解を求めるとき、
実数の係数範囲で(一次式)×(一次式)= とすることはできません。

だから上の例題2の解法は使えません。
例題2は左辺が因数分解できる形になっていたから利用したのです。

では、どうするか?

整数は実数でもあるので、
「整数解をもつ」ならば「実数解を持つ」
ことになりますよね?
そこで、方程式に判別式を応用するのです。

 \( 2x^2-xy+3y^2-4x-5y-6=0\)

を \(x\) の2次方程式と見て判別式をDとすると、

 \( D=(y+4)^2-8(3y^2-5y-6)\\ \\
\hspace{7pt}=-23y^2+48y+64 ≧0\)

 \(\Leftrightarrow  23y^2-48y-64≦ 0\)

が必要で、\(y\) が整数であることから、\(y=0,1,2,3\) と絞れますが、
ここまでだと実数である条件しか使ってなくて、整数でなくても良いことになります。

そこでさらに「整数」という条件を使うのです。

 \( 2x^2-xy+3y^2-4x-5y-6=0\) を \(x\) について解くと、

 \(\displaystyle x=\frac{(y+4) \pm \sqrt{D}}{4}\)

となり、 \( x\) が整数となるには、
「 \( \color{red}{D が完全平方数}\)」
でなければならない、という条件が必要です。

 \( y=0,1,2,3\) のうち \( D\) が完全平方数になるのは、

 \( y=0\) のとき \( D=8^2\)
 \( y=3\) のとき \( D=1^2\)

の場合だけとなります。

 \( y=0\) のとき \( x=-1,3\)
 \( y=3\) のとき \(\displaystyle x=2,\frac{3}{2}\)

このうち \(\displaystyle x=\frac{3}{2}\) は不適(整数でない)なので、
求める整数解の組みは、

 \( \underline{(x,y)=(-1,0),(2,3),(3,0)}\)

のように求めることも出来ます。

例題2をこの判別式を用いた方法で解こうとすると、
 \( D≧0\) を満たす \( y\) は無数にあるので有効な方法とは言えません。

例題2では判別式が使えず、例題3では因数分解が使えない。
ということですが、2つの方法を覚えておけば大丈夫ですよ。

他にも例題にあげていませんが「ユークリッドの互除法」を応用して整数解を求める問題演習はやっておくと良いです。
整数問題では「一般解」として文字で答える場合もあるので、少し慣れてきたら応用に着手しましょう。

「整数」という小学校の頃からなじみ深い数ですが、奥が深くとことん難しい問題はあります。
しかし、まずは因数分解からの整数解を求める練習はやっておきましょう。

⇒ 整数の証明問題 必要条件と十分条件の違いと見分け方

条件を絞っていくとき、必要条件とは何か、理解しておくことは大切です。