場合の数は随分前の課程から重要視されています。
順列と組み合わせは基本的な見分け方は簡単ですが、問題のパターンも多いので少し時間が必要な単元だと覚悟した方が良いです。
先ずは順列、並べ方の問題の解き方考え方から少し見ておきましょう。
順列と組み合わせの見分け方
順列か組み合わせか、これを見分けるのは実は簡単ではありません。
考えたら分かるでしょう?
基本問題なら教科書にあるんだから、
入試などの問題で
「簡単に見分けられる問題つくるかよ!」
って作成者は思いながら問題をつくるでしょう。
単純な問題での見分け方を書いておくと、
問題に、
「並べ方はいくつあるか」と聞かれれば順列、
「組み合わせは何通りあるか」と聞かれれば組み合わせ、
という単純なことです。
日本語の表現が変わることで分かりにくくしてありますが、
「順番や位置が関係する」場合は順列、
「順番は関係しない」という場合は組み合わせ、
ということもできます。
例えば、\( a,b,c,d,e\) の5つもの(人)があったとします。
「5つの中から3つを選び並べる方法は何通りか?」
という場合は順番が関係するので順列です。
リレーの選手を選び走順まで決める問題ですね。
これは3人を選んで、その後並べる、とするより、
第1走者、第2走者、第3走者、と順番に決めた方がはやいです。
第1走者は5人から選べるので「5通り」
第2走者は残り4人から選べるので「4通り」
第3走者は残り3人から選べるので「3通り」
の選び方ができるので、\( \mathrm{_5P_3=5\times 4\times 3}\) となります。
一方、「5人から3人を選ぶ」だけなら組み合わせです。
順番も位置も用意されていませんので、
\(\displaystyle\mathrm{_5C_3=\frac{5\cdot 4\cdot 3}{3\cdot 2\cdot 1}}\)
「5人の中から体育係を3人選ぶ」
という場合は体育係3人に区別はありませんから組み合わせです。
でも、
「5人の中から、委員長、副委員長、書記の3人を選ぶ方法は何通りあるか。」
という場合は、「3人を選ぶ」と考えてはダメです。
選んだ後に順番、位置がある場合は「順列」になります。
これを見分けるのが苦手だという人が多いので、ちょっと方法を変えて見ましょう。
実は簡単に見分けられないように問題はつくられるので、見分けにくくて当然なのです。
方法は簡単で、順列組み合わせでは「置き場」をつくるのです。
3人を選ぶなら置き場は3つです。
○ ○ ○
この3つに区別はあるのかないのかを考えることで、順列か組み合わせを考えなくて良くなります。
この「置き場をつくる」というのは場合の数の問題すべてで役に立つので利用してみてください。
順列、並べる方法について問題で見てみましょう。
(組み合わせは別に説明します。)
同じ色のある玉の並べ方問題
同型同大の赤玉3個,青玉2個,白玉2個がある。
この中から6個を取り出して1列に並べる方法は何通りあるか答えよ。
『同形同大』と書いてあるので、「玉に見分けはつきませんよ」、といっています。
「場合の数」はどのような場合があるか書き出さないと答えまでたどり着けない問題が多いです。
センター試験では「場合」を書き出さないと最終の答えまでたどり着かない問題が、『期待値』も求めさせるときから続いていました。
というか昔からずっとで、期待値が戻れば今後も続きます。
公式や定理に頼ってばかりではなく、
この単元で『書き出す』という数学の基本作業を徹底的に鍛え上げると良いですよ。
例題1のような「順列」問題は基本的には樹形図です。
しかし数が多くなると試験時間内に書ききれません。
なので、何とか計算で処理したいところです。
もちろん「どのような場合があるか」は書き出すことが前庭です。
そこで、いろいろな場合を書き出して規則性を見つけていけば良いのですが、なかなか簡単ではありません。
ここでのポイントは、先ず「同じ色の球を区別する」ということです。
同じ色の球でも区別する
区別の仕方は人それぞれで構いません。
赤球3個を、赤1、赤2、赤3としても良いですし、赤を1,2,3と単なる数字としても構いません。
筆者は書くのに時間がかかるので、
「赤球を1,2,3、青玉を4,5、白玉を6,7とする」
とします。
※
数字に置きかえる場合、問題用紙や解答用紙に
「赤は1,2,3」や「1,2,3は赤」(色分けはできませんが)
のように大きく囲んで目立つようにしておくと確認が散りやすいです。
この七個の数字から6個を取り出して並べる方法は、
①赤3個、青2個、白1個
②赤3個、青1個、白2個
③赤2個、青2個、白2個
の並べる「場合の数」は3通りしかありません。
(青と白を合わせても4個しかないので赤球1個の場合はありません。)
頭の中で想像するといろいろな場合がありそうでややこしそうに見えますが、書き出して見るとすっきりすることが多いのです。
①の場合
「1,2,3,4,5,6」
か
「1,2,3,4,5,7」
の6つの数字の順列になりますが、白はどちらを選んでも同じ白なので
「1,2,3,4,5,白」
で、6!です。
ところが、1,2,3と4,5は同じ色なのでどこに並んでも同じものです。
例えば、
\(\hspace{4pt}\color{red}{1}-\color{red}{2}-\color{red}{3}-\color{blue}{4}-\color{blue}{5}-6\)
(赤-赤-赤-青-青-白)
と
\(\hspace{4pt}\color{red}{2}-\color{red}{3}-\color{red}{1}-\color{blue}{5}-\color{blue}{4}-6\)
(赤-赤-赤-青-青-白)
は同じ色の並びになります。
つまり、同じ色の並びを考えて、赤は3!、青は2!で割って重なりを消します。
\(\displaystyle \mathrm{\frac{6!}{\color{red}{3!\cdot2!}}=\frac{6\cdot 5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{3\cdot 2\cdot 1\cdot 2\cdot 1}=60}\)
これが①の順列です。
これは基本的な教科書レベルの同じものを含む順列なので細かい説明は不要でしょう。
②も同様に
\(\displaystyle \mathrm{\frac{6!}{\color{red}{3!\cdot2!}}=\frac{6\cdot 5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{3\cdot 2\cdot 1\cdot 2\cdot 1}=60}\)
③は赤2個、青2個、白2個の6個の順列になり、赤、青、白2個の入替が可能なので、
\(\displaystyle\mathrm{\frac{6!}{\color{red}{2!\cdot 2!\cdot2!}}=\frac{6\cdot 5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{2\cdot1 \cdot 2\cdot 1\cdot 2\cdot 1}=90}\)
①~③より、\( 60+60+90=\underline{ 210 }\) 通り
となります。
ところで、7個の数字から6個の数字を選んで並べるということは、
「7個の数字を並べて、一番端のどちらかの数字を消す」
ということと同じだと思いませんか?
例えば、
1245367 の左端1を消せば 245367 と6つの数字の並びになります。
よって、7つとも並べて、左端か右端かのどちらかを消せば良いので、
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{7!}{\color{red}{3!}\cdot \color{blue}{2!}\cdot \color{magenta}{2!}}\\
=\displaystyle \frac{7\cdot 6\cdot 5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{\color{red}{3\cdot 2\cdot 1} \cdot \color{blue}{2\cdot 1}\cdot \color{magenta}{2\cdot 1}}\\
=210\)
と「同じ色を持つ7個を並べる順列」を計算しても同じですよね。
今の段階でここまで考えを広げようとは言いませんが、
考え方としては頭の隅にでも置いておくといいでしょう。
いずれにしても、
「一旦区別 → 区別をなくす」、
という順序で考えた方が組み合わせを考えるよりミスは確実に減ります。
数字の並べ方問題の解き方
今度は数字そのものを並べます。
7個の数字0,1,2,3,4,5,6の中から、
異なる4個の数字を一列に並べて出来る4桁の整数のうち、
5310より大きいものはいくつあるか。
この問題は、書き出しがすべてだといってもいい位なので、具体的に書き出して書き出して書き出しまくってください。
小学生でも出来ます。
これが順列組み合わせには必要な作業なのです。
いや、数学全体でいえることですね。
順列では、先ず置き場所を作っておくと考えやすいです。
この場合4桁の整数なので ○ ○ ○ ○ としておくのです。
小さい方は考えなくて良いので、5310より大きい数字を書き出して見ましょう。
5310 より大きな整数は、
(4桁の整数中に同じ数字は使えないので)
「5310台」は
5312 , 5314 , 5316 の3つ
「5320台」は
5320 , 5321 , 5324 , 5326 の4つ
「5340台」は
5340 , 5341 , 5342 , 5346 の4つ
ここまで来れば少しは見えてくるでしょう。
5360台も4つあります。
ここまでを合わせて5300台で5310より大きい数字は
\( 3+4\times 3=15\) 個。
5400台と5600台は、下二桁が何であろうと5310よりは大きいので、
7つの数字のうち残り5つの数字から2つの数字を並べればいいので
\( \mathrm{_5P_2\times 2=5\times 4\times 2=40}\) 個。
6000台は下3桁が何であっても5310よりは大きいので、
残りの6つの数字から3つの数字を並べて
\( \mathrm{_6P_3=6\times 5\times 4=120}\) 個。
以上から5310より大きい整数は、
\( 15+40+120=\underline{ 175 }\) 個。
問題は5310より大きい数字を書き出すか書き出さないか、です。
4つの数字の置き場の
「53○○ ,54○○ ,56○○ ,6○○○ 」
の場合を数えれば良いということですが、
53○○の場合を書き出せれば後はそれほどやっかいではないです。
解き方としては
「53○○ ,54○○ ,56○○ ,6○○○ 」
の場合しか無い、と「場合」を書き出すことですよ。
組み合わせについても同じことですが、
「場合の数」ではどのような「場合」があるかを書き出すことが大切なのです。
公式は1つひとつの計算方法にすぎないということですよ。
⇒ 組み合わせの考え方と公式(組み分けと道順を求める問題の解き方)
組合せも同じ方法でいけますが公式も確認しておきましょう。