相加・相乗平均の関係を使う問題は、不等式の最小値問題の一部と考えて良いです。
ここで相加平均と相乗平均についての関係を説明します。
ただ、勘違いしている人が多いので言っておきますが、相加相乗平均の関係そのものが難しいのではありません。
そこがわかっていないから試験で使えないのです。

相加平均と相乗平均

負ではない \( n\) 個の数 \( a_1,a_2,\cdots ,a_n\) に対して
相加平均とは、(加えたものの平均)

 \( \displaystyle \frac{a_1+a_2+\cdots +a_n}{n}\)

相乗平均とは、(かけたものの累乗根)

 \( \sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\)

のことで、(相加平均)≧(相乗平均)の関係が成り立ちます。

 \( \displaystyle \frac{a_1+a_2+\cdots +a_n}{n}≧ \sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\)

しかし、これを一般的に覚える必要はありません。
「2つの数の関係だけ」で良いです。
つまり、

 【相加平均と相乗平均の関係】

 \(\color{red}{ a≧ 0\,,\,b≧ 0}\) ならば \(\displaystyle \color{red}{\frac{a+b}{2}≧ \sqrt{ab}}\) である。

を覚えておけば良いのですが、これって難しいですか?

「覚えているけど、試験のときには忘れていて使えなかった」
という人多くないですか?

そうなんですよ。
この関係のやっかいなところは、
‘忘れた頃にやってく来る’
ので使えないことが多いのです。

このページにたどり着いた人は関係をまだ知らなかったかもしれませんが、
この後に控えている大きなミスは、
忘れていて、試験で使えなかった
なのです。

復習しても関係式は忘れていません。
しかし、試験中は忘れているのです。

不等式の最小値問題を見たら、「相加相乗平均」は使えないか?からはじめておいても良いかもしれませんよ。

変形しておきましょう。

 \( \displaystyle \frac{a+b}{2}≧ \sqrt{ab}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} a+b≧ 2\sqrt{ab}\)

[証明]

 \( a+b-2\sqrt{ab}\\ \\
=\{(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2-2\sqrt{a}\sqrt{b}\}\\ \\
=(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2≧ 0\)

どちらの形で使っても構いません。

見分けやすい問題

例題1

 \( a>0\,,\,b>0\) のとき
 \(\displaystyle (a+2b)\left (\frac{1}{a}+\frac{2}{b}\right)\)
の最小値を求めよ。

いっておきます。
いまだから「相加相乗平均」を利用するように式変形すると思いますが順序が逆です。
この問題に取り組む前にあなたの頭にはこの関係はありません。

式変形して、最小値を出すには「相加相乗平均だ」、と気がつかなければならないのですよ。

展開するしか糸口がありません。

 \( (a+2b)\left (\displaystyle \frac{1}{a}+\displaystyle \frac{2}{b}\right)\\ \\
=a\cdot \displaystyle \frac{1}{a}+a\cdot \displaystyle \frac{2}{b}+2b\cdot \displaystyle \frac{1}{a}+2b\cdot \displaystyle \frac{2}{b}\\ \\
=1+\displaystyle \frac{2a}{b}+\displaystyle \frac{2b}{a}+4\\ \\
=5+\displaystyle \frac{2a}{b}+\displaystyle \frac{2b}{a}\)

ここでひとつ覚えておいて欲しいことがあります。
相加平均と相乗平均の関係を使って最小値を求める場合、

 \( a+b≧ \sqrt{ab}\)

の \(\color{red}{\sqrt{ab}}\) は定数にならなければ使えません。
文字が残ったら最小値とはいえないでしょう?

 \( \displaystyle \frac{2a}{b}+\displaystyle \frac{2b}{a}\)

はそれぞれの項をかけると文字が消えます。
ここで気がつくのです。

 \( \displaystyle \frac{2a}{b}+\displaystyle \frac{2b}{a}≧ 2\sqrt{\displaystyle \frac{2a}{b}\times \displaystyle \frac{2b}{a}}
=2\sqrt{4}=4\)

よって

 \( 5+\displaystyle \frac{2a}{b}+\displaystyle \frac{2b}{a}\\ \\
≧ 5+2\sqrt{\displaystyle \frac{2a}{b}\times \displaystyle \frac{2b}{a}}=9\)

等号成立は

 \( \displaystyle \frac{2a}{b}=\displaystyle \frac{2b}{a}\)

のときで \( a>0\,,\,b>0\) より \( a=b\) とき成り立ちます。
最小値は \(\underline{ 9 }\) です。

次はちょっと工夫が必要な問題です。

式変形に工夫が必要な最小値問題

例題2

 \( x>-1\) とする。
 \(\displaystyle x+\frac{2}{x+1}\) の最小値とそのときの \( x\) の値を求めよ。

考えられるのは微分かグラフでしょう。
微分は数学Ⅲになりますし、グラフの書き方も知らなければ使えません。

文字が \( x\) だけの場合特に気がつきにくいですが、
やはり最小値問題では計算をゴリゴリやるより何か使えないか?は考えた方が良いです。

微分しても大した計算にはなりませんが、ちょっとした工夫で簡単になりますので見ておきましょう。

分数が混じった関数の最小値問題では次の変形を覚えておくと楽です。

 \(\displaystyle x+\frac{2}{x+1}\\ \\
\displaystyle= (x+1)+\frac{2}{x+1}-1\)

と変形するのです。
分母と同じ形をつくるために \( x+1\) として後で「-1」しているので全体としては同じです。
何故この変形をするかというと、相加・相乗平均の関係が使えるようになるからです。

 \( x+1=a>0\) と見ると、

 \( (x+1)+\displaystyle \frac{2}{x+1}-1\\ \\
=a+\displaystyle \frac{2}{a}-1\)

となるので、

 \( a+\displaystyle \frac{2}{a}≧ 2\sqrt{a\cdot \displaystyle \frac{2}{a}}=2\sqrt{2}\)

から、

 \( a+\displaystyle \frac{2}{a}-1≧ 2\sqrt{2}-1\)

より最小値は \( 2\sqrt{2}-1\) となります。

この最小値は等号成立しなければとらない値ですが、

 \(\hspace{10pt}(x+1)=\displaystyle \frac{2}{x+1}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (x+1)^2\,=\,2\)

から \( x+1=\sqrt{2}>0\) のとき、
つまり \( x=-1+\sqrt{2}\) のとき成り立ちます。

そのままでも構いません。

 \(\hspace{10pt}x+\displaystyle \frac{2}{x+1}\\ \\
=(x+1)+\displaystyle \frac{2}{x+2}-1\\ \\
≧ 2\sqrt{(x+1)\displaystyle \frac{2}{(x+1)}}-1\\ \\
=2\sqrt{2}-1\)

これは条件が \( x>-1\) だから \( x+1>0\) が言えるので使えるのです。
(このとき \( (x+1)\) を利用することも予想できます。)

前問に戻って関係が成り立つ場合をよく見ておいてください。
負でない数のときに使えます。
もちろん等号成立は調べますよ。

微分は置いておいて、この問題のグラフですが、

のようになります。
いろいろ試すことは良いことですけど、これは使いにくいことが分かります。

⇒ 式と証明の要点

どうにも手に負えない最小値問題だな、そういうときは相加・相乗平均の関係利用を思い出してみましょう。